"産業用"対応を1チップで実現可能なプロセッサ

Industry4.0(第四次産業革命)の普及に伴い、「製造業の革命」「つながる工場」「スマート工場」というキーワードをよく目にします。Industry4.0は、様々なものがインターネットにつながり(IoT)、そこから蓄積したデータをAIが解析することで新たな製品・サービスを生み出すと言われています。具体的にはまず、工場にある各装置がネットワークに接続され、リアルタイムな情報伝達の環境を整備するという流れがあります。

ただ昨今では、ネットワークに繋がればよいというだけではなく、ロボットアームやサーボアンプのように、産業用オープンフィールドネットワーク(EtherCAT® 等)に接続して、かつモータから位置や速度などの情報をフィードバックさせる必要があるアプリケーションも増えてきました。

Article header library 126165 pic01  1
ネットワークに接続される工場のアプリケーション例

ところで現在ご使用のプロセッサ製品で、すぐにこれらの対応が可能でしょうか。
産業用ネットワークに対応するため、外付けのFPGAやASICを追加したり、位置検出のためにADコンバータを置くなど、既存のプロセッサでは対応できないケースはありませんか?コスト、設計期間を削減するためにはプロセッサ1チップで実現できるといいなと思われていませんか?今回はそういった方におすすめの製品をご紹介します。

ここがすごい!Sitaraプロセッサ AM437xの特長

Texas Instruments社(以下TI社)のSitaraプロセッサシリーズは、Arm® Cortex® -Aコア内蔵のフレキシブルなペリフェラルを搭載したラインナップとして、主に産業用通信・FA関連のアプリケーション向けに提供されています。
今回はSitaraプロセッサシリーズの中でも、特にAM437xの魅力をご紹介します。

外付けIC不要!産業用イーサネット/フィールドバス通信が可能

EtherCAT®、PROFINET®、Ethernet/IP™、PROFIBUS、Ethernet Powerlink、SercosⅢ® 等の産業用イーサネット/フィールドバス通信プロトコルに対応可能です。
Arm® コアとは別に内蔵されているコプロセッサで動作可能かつ対象の通信プロトコル対応ソフトウェアがTI社から提供されるため、外部にFPGAやASICを用意せず、1chipで実現可能です。
※Sitaraシリーズ全て(AMIC、AM335x、AM437x、AM57x)に対応しています。

外付けIC不要!モータの位置・電流検知が可能

モータのエンコーダとプロセッサ間で位置検知(ポジションフィードバック)や電流検知ができるよう、EnDat2.2やHiperface DSL等の通信プロトコルに対応可能です。
こちらも先ほどと同様に内蔵コプロセッサで動作かつソフトウェア提供で、すぐに試して頂くことが可能です。
※現在AM437xのみ対応しています。

産業用イーサネット通信とモータの位置・電流検知を同時処理可能

こちらが最大の魅力となります。例えばEtherCAT通信をしながら、モータのポジションフィードバックを同時処理させることが可能です。この理由は次の章でご説明します。
※現在AM437xのみ対応しています。

鍵は"コプロセッサ PRU-ICSS"

先ほどご紹介したAM437xの特長ですが、どのように実現するのか、ブロック図と共にご紹介します。

Sitaraプロセッサは、Arm® コアとは別にコプロセッサ PRU-ICSSが内蔵されています。
PRU-ICSSとは、Programmable Real-Time Unit Industrial Communication Sub-Systemの略で、産業用リアルタイム通信を可能にします。

様々な産業用イーサネット通信やモータの位置検出等が可能な理由は、メインコアとは独立してプロトコル処理を割り当てることが可能なためです。1つのPRU-ICSSにPRU0、PRU1のコアがあり、産業用イーサネットなどのプロトコル処理は2つ同時に使用、ポジションフィードバックや電流検知は各PRU0、 PRU1を割り当てることが可能です。

Article header library 126165 pic02  1
Sitara AM437xの活用イメージブロック図

Sitara AM437xには、このPRU-ICSSが2つ内蔵されています。
1つのPRU-ICSSで、EtherCATの制御をし、もう1つのPRU-ICSSで、EnDAT2.2などのポジションフィードバックおよび、電流検知をすることで、エンコーダ付モータの制御が可能です。

上記を実現できるのはSitaraシリーズの中でも AM437xだけです。

すぐに試せる!AM437x 開発キット

AM437x 産業用開発キット(IDK)は、産業用アプリケーション向けの Sitara™ AM4379 および AM4377 プロセッサの産業用通信機能と制御機能を評価するためのアプリケーション開発プラットフォームです。各種ソフトウェアや技術資料も揃っており、すぐ試して頂くことが可能です。

Article header library 126165 pic03  1
AM437x 産業用開発キット:TMDSIDK437X

最後に

いかがでしたでしょうか。産業用途向けのアプリケーションでは是非試して頂きたいSitara AM437xシリーズの他にはない特長をご紹介しました。

今回ご紹介した製品の評価ボードを使用し、実際にモータを動作させてみたデモ内容をご紹介する記事もございます。是非併せてご覧ください。
Sitara AM437xで、ブラシレスDCモータとエンコーダを動作させてみた

お問い合わせはこちら

本記事でご紹介したSitaraプロセッサや産業用イーサネットに関するTI社の製品について詳細な情報をお求めの方は、是非こちらからお問い合わせください。

関連情報

おすすめ記事/資料はこちら

Sitara AM437xで、ブラシレスDCモータとエンコーダを動作させてみた
産業用イーサネット規格にマルチ対応!ASICやFPGA不要のプロセッサ
フレーズに応答する音声認識デモを作ってみよう
専門知識不要!複雑な画像処理が行えるライブラリ"OpenCV"とは?
OpenCV対応のARMプロセッサで人物検知をしよう

商品の購入はこちら

TMDSIDK437X

メーカーサイト/その他関連リンクはこちら

AM437x 産業用開発キット(IDK)
AM437x IDK EVM Hardware User_Guide
Industry 4.0(インダストリー 4.0) - スマート・ファクトリ
産業用 – ロボット
産業用通信