DDRメモリはより高速化、低電源電圧化へと進化

デジタル機器には、プロセッサと共に大容量のDRAMが搭載されています。DRAMでは現在、DDR、DDR2、DDR3、DDR4と進化を続けるDDR(Double Data Rate)方式のSDRAMが幅広く使用されています。DDRメモリはデータレート、クロックが高速化し続けており、電源電圧も低下することで省電力化を図っておりますが、同時に電源精度へ要求も厳しくなっています。

  DDR DDR2 DDR3 DDR4
クロック周波数[MHz] 100/133/166/200 200/266/333/400 400/533/667/800/933/1066 1066/1200/1333
電源電圧[V] 2.5 1.8 1.5 1.2

DDRメモリに必要な電源

DDRメモリは入出力のインターフェイスに SSTL(Stub Series Termi nated Logic)という高速の信号を少ない波形ひずみで低消費電力な転送ができる方式を採用しています。このため、メモリセルを駆動する電源: VDDQ、入力信号リファレンス用の電源:VTT REF(VDDQ/2)、出力信号の終端用の電源:VTT(VDDQ/2) と3つの電源が必要です。

DDRメモリに必要な電源

VDDQ メモリセル駆動用の電源
VTT REF リファレンス用電源
VTT ターミネーション用電源

※DDR4では、上記の3電源以外に、2.5Vも追加で供給する必要があります。



DDRメモリ電源に要求される機能

では、それぞれの電源に要求される機能についてご説明します。

VDDQ:メモリセル駆動用の電源

VDDQは、メモリセルを駆動させるために使用するメモリのメイン電源です。
ご紹介した3つの中で最も大きな電流容量が必要で、一般的には汎用の同期整流タイプのスイッチング電源を使用します。大きな電流を供給する必要がある上、電流の変化に対する高速な応答性も重視されます。また、±3%の電圧精度が要求されるので、メモリ動作の信頼性を確保するために電源の選択は非常に重要です。

VTT REF:リファレンス用電源

VTT REFは分圧抵抗で代替される方もおられますが、実はVTT REFも専用電源を使用する方が良いです。
VTT REFの電流はデバイス当たり約 1 mAとわずかではありますが、電圧が正しくVDDQの1/2である必要があり、±2%の電圧確度と 10mV 以下の低リップルが要求されます。また、電圧がVDDQにトラッキングすることが必要なため、機能的には電圧デバイダ(分圧器)ということになり、小さなアンプと抵抗のアナログ回路で構成されています。

VTT:ターミネーション用電源

VTTはDDRメモリ特有の電源です。最も専用電源の必要性がある電源です。
VTT REF同様、電圧はVDDQの1/2でVDDQへの追従が必要であることに加え、出力状態のHi/Loに従って電流を吸い込むシンク、電流を吐き出すソース両方の機能を持っている必要があります。

Article header library 119473 pic01  2


「出力状態のHi/Loに従って電流を吸い込むシンク、電流を吐き出すソース両方の機能」が必要な理由は?

何故この機能が必要かというと、メモリ出力Hiの時にメモリ出力は電流を吐き出すので、VTT電源はその電流を吸い込まなければならず、Loの時にはメモリ出力が電流を吸い込みますが、その電流はVTT電源から吐き出さなければならないのです。
もし、一般的な電源を使用した場合、吐き出ししかできないことによって、電源出力の際に外部から規定より高い電圧を掛けられても、吸い込む機能が無いので規定より電圧が上昇してしまう恐れがあります。

特に、VTT、VTT REFの電源は重要

以上のように、VTTとVTT REFはVDDQへの追従と電流を吸い込んだり、シンク/ソース機能には専用の設計が必要です。一般的な電源ではこの設計が出来ないものもある為、DDRメモリ専用の電源が必要という訳です。
 

Texas Instruments社のDDR用電源製品

DDRメモリに求められる3つの電源の中でTexasInstruments社では豊富な製品ラインナップを揃え、JEDEC仕様に対応した最適なDDR電源ソリューションをご提供可能です。また、様々な設計スタイルに幅広く対応しているのも TI の DDR 電源のメリットです。

低速動作でローコストなアプリケーションなど一部では、VTT REF と VTT を抵抗だけで済ませてしまう例も見受けますが、DDR メモリは機器の動作の根幹を担うものであり、確実な動作を得るためにはDDR専用に設計された電源を使うことを推奨しております。

TPS51206 なら DDR、DDR2、DDR3、DDR4 全てに対応!

TPS51206は2Aのシンク/ソース機能を持ったLDOタイプのDDRターミネーション用電源です。
DDR/DDR2向けに、VTT REF & VTT電源を生成し、DDR3以降のメモリ向けにはVTT電源を生成します。2mm角の小型パッケージとLDOタイプのデバイスのため、シンプルで小型に電源回路を構成することが可能となります。

 

データシートはこちら(TI社サイト)
TPS51206の詳細はこちら (TI社サイト)

Article header ddr 3  3

TI社 WEBサイト 関連ページはこちら

※クリックすると TI社サイトに移動します

TPS51206以外の製品をお探しの方はこちら
DDR メモリ電源ターミネータ 概要

電源回路設計手法 6 DDR メモリへの電源供給
DDR メモリ電源ターミネータ  ツールとソフトウェア
電源IC 選択のヒント集

お問い合わせはこちら

本記事でご紹介した製品や、その他のTI社の電源ICに関する詳細な情報をお求めの方はこちらからお問い合わせください。

また、選定に関するお悩みのご相談も承っております。広く深い知識と情報でお客様をサポート致します。

以下のご相談も承っております

・量産に向けた製品開発に関する技術的な内容

・他社製品との置き換えについて

・製品品質

・本当に適正な価格であるか

・将来的な供給性とリードタイム

関連情報

おすすめ記事/資料はこちら

TI社が提供するアナログ回路設計・シミュレーションツール「WEBENCH® 」の機能の1つ、「WEBENCH Power Architect」では DDR もサポートしています。DDR のタイプに応じて適切な標準電圧の印加を可能とし、実際の負荷駆動に必要な電流供給を実現できます。

WEBENCHの概要はこちら
WEBENCH®とは-概要-技術者が語る使い易いポイント

使い方はこちらより、「DDR レギュレータ」の項目をご覧ください
WEBENCH® Power Architect

商品の購入はこちら

※どちらも1個単位から購入できますが、フルリールの個数が異なるため別の型番となっています。
 製品のスペックに差異はありません。

TPS51206DSQR(リール をすべて購入するには、3000 の倍数で注文してください)
TPS51206DSQT(リール をすべて購入するには、250 の倍数で注文してください)