大手FPGAメーカーがハイエンドFPGAのラインナップ拡充を進める中で、Renesas社が発表したローエンドFPGAファミリー「ForgeFPGA™(フォージエフピージーエー)」は小規模なプログラマブルロジックを必要とするアプリケーションからのニーズが高く、注目を集めています。そこで2023年8月に入手した暫定版開発ツール「ForgeFPGA Advanced Hardware Kit」をもとに、内容物の確認や開発環境の立ち上げを試しました。今後正式リリースがされてすぐに開発に着手いただけるよう、本記事では先行して製品の仕様や開発ツールについてご紹介します。

ローエンドFPGA 「ForgeFPGA」とは?

ForgeFPGAファミリーは、5,000ゲート以下のロジックを必要とするアプリケーション向けのローエンドFPGAで、待機時の消費電流が20µA以下の低消費電力を実現し、1,000個のルックアップテーブルを集積しています。

幅広いユーザーが開発コストを抑えながらForgeFPGAを活用できることを目指し、FPGAの開発経験が豊富なユーザーに向けて、使い慣れたVerilog環境を提供する「HDLモード」と、FPGAの開発経験が浅いユーザーでも利用しやすい、回路図のキャプチャーをベースにした開発フローを採用した「マクロセルモード」の2種類で開発ツールが提供されます。

製品仕様

ForgeFPGAファミリーから、SLG47910という型番の製品リリースが予定されており、暫定版データシート(ルネサス社のサイトよりPDFファイルをダウンロードします)から引用して仕様を紹介します。今後正式リリース後に仕様が変更される可能性があり、あくまで2023年9月時点の情報であることを予めご了承ください。

SLG47910概要

高密度ロジック・アレイ

・900個の4bit LUT相当

・1.8K DFF

・5kbのDistributed memory

クロック

・50MHz/3.41MHzのオシレーター内蔵

電源

-VDDIO:1.71V to 3.6V

-VDDC:1.1V±10%

パッケージ

-24-pin QFN:3.0×3.0mm、0.4mmピッチ (GPIO 19本)

-20-pin WLCSP:1.85mm×1.64mm、0.35mmピッチ (GPIO 15本)

図1. パッケージ24-pin QFN

図1. パッケージ24-pin QFN

図2. パッケージ20-pin WLCSP

図2. パッケージ20-pin WLCSP

内部ブロック図

SLG47910ブロック図から読み解いた特長は以下の通りです。

・384KBのOne Time Programメモリー(OTP)を内蔵:FPGAの接続情報やマクロセル設定のデータをIC内部のメモリーに格納可能

・発振器やコンフィグレーションメモリー(Configuration RAM)を内蔵:外付け部品が不要でBOMコストの低減を実現

マイコン周辺のインターフェース変換や、直交エンコーダのデコード回路といった規模の回路をFPGAで組んでいる設計者にとっては、外付けの発振器やコンフィグレーションメモリー等の外付け部品が削減されることで、BOMコストの低減だけでなく設計開発期間の短縮にもつながります。

図3. 内部ブロック図

図3. 内部ブロック図

開封の儀

ここから、ForgeFPGA Advanced Hardware Kitについて解説します。入手したキットの内容物は以下の通りです。

 

ForgeFPGA Advanced Hardware Kitの内容物:

・電源アダプター

・Development Board

・Socket Adapter Board

・USB Type-Cケーブル

・SLG47910VのICチップ(ブランクチップ)×25個

図4. ForgeFPGA Advanced Hardware Kitの箱

図4. ForgeFPGA Advanced Hardware Kitの箱

図5. ForgeFPGA Advanced Hardware Kitの内容物

図5. ForgeFPGA Advanced Hardware Kitの内容物

PCとの接続

電源アダプターの端子とUSB Type-C コネクターは、それぞれ Development Board に1つずつ付いており、以下のように接続します。

図6. PCとDevelopment Boardを接続した様子

図6. PCとDevelopment Boardを接続した様子

いざ動作確認!

VerilogベースのForgeFPGA WorkshopというツールでAND回路を記述し、エミュレーションしてみました。

IN1IN2端子をVDD_IO端子に接続したところ、OUT端子に接続したLEDが点灯したことで、正常に動作していることを確認できました。

以上で、ForgeFPGA Advanced Hardware Kitの動作確認は問題なく実施することができました。

図7. 正常動作(LEDが点灯)を確認した様子

図7. 正常動作(LEDが点灯)を確認した様子

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