非常に特長的なカスコード接続された「SiC-FET」
本記事では、非常に特徴的なカスコード接続された、Qorvoの「SiC-FET」について説明します。
Qorvo社のカスコード接続されたデバイス
実際のデバイスの内部の簡易回路図が下図に記載しています。見ていただくとわかる通り、SiC-JFETとSi-MOSFETがカスコード接続されていることが分かります。このような接続をすると、ユーザー様からはSi-MOSFETをつないでいるように見えるため、使い勝手が非常に向上します。また、SiC-JFETはノーマリーオンといって、ゲートなどがOPENになると、ONしてしまい危険なモードに入るのですが、カスコード接続することによって、ノーマリーオフにすることができます。Qorvo社だけが、このようなSiCを現在開発しています。
Qorvoのデバイスが単位面積あたりのオン抵抗が低い理由
さて、下図は一般的なSiC MOSFETとQorvo社のカスコード接続したSiC FETの簡易的な断面構造になります。電圧を印加したときのオン抵抗を分析していきますが、RDRIFTとRJFETというパラメーターはSiC MOSFETでもSiC JFETでもほとんど同じになります。しかしながら、SiC MOSFETにはチャネル抵抗というものが存在しており、この値は非常に高い値となっています。Qorvo社のSi MOSFETの値にくらべて一般的なSiC MOSFETは10倍ほど悪い値となりたとえば650Vを印加した状態では、チャネル抵抗が全体のオン抵抗の50%以上を占めます。
Qorvo社のFETを見ると、SiC MOSFETのようなチャネル抵抗はJFETにありませんが、Si MOSFETのオン抵抗が存在します。このSi MOSFETはQorvo社が独自に設計しており、非常に低いオン抵抗になります。このため、FET全体のオン抵抗に対して10%以下の値となって、結果的に合計のオン抵抗が低くなります。
これがQorvo社のSiC FETのオン抵抗が非常に低くくなっている理由となります。さて、デバイスのオン抵抗が低いことを理解いただいたので、次にSiC FETシリーズのドライブの容易性について説明いたします。
Qorvoのデバイスのドライブの容易性
次に説明するのはSiC-FETの駆動の容易性です。一般的なSiC MOSFETは完全なオフ状態とするために-5Vなどの負電圧が必要になります。完全にオンするためには15Vなどの高い電圧が必要になります。また、VGSは-7Vまでしか許容できないケースが多いです。これはSiCのMOSFETがチャネル構造をとっていることが原因になり、VGSの耐圧に対して駆動電圧のマージンがあまりない状態になります。上記にVGSの最大定格とVGSの推奨動作電圧のグラフがありますが、SiCのMOSFETはマージンがあまりなく、最大定格を超えると、デバイスの寿命に影響を与えてしまいます。UnitedSiC社のFETをみると、VGSは0~12Vとなっており、耐圧は±20Vとなるので一般的なSiのMOSFETと同程度の値となっています。この値からもわかる通り、SiCのMOSFETとくらべても非常にロバスト性にすぐれておりゲートドライブ回路の選択肢が広がります。
このように、既存のSi-MOSFET/SiC-MOSFET/IGBTなどのドライバーをそのまま流用できることを意味しており、現在Si-MOSFETでアプリケーションを設計されているお客様は、あらたにマイナス電源など用意する必要がないことを示しています。
Qorvoのポートフォリオについて
Qorvoには下図のような製品ポートフォリオがあります。SiCのダイオード、SiCのJFET、そしてSiCのFETが存在します。
関連情報
Qorvoの特長的なSiC-FETシリーズについては、下記リンクに製品ラインアップがありますのでご参照いただくか、個別にお問合せください。また、最新の第四世代のデバイスについても下記リンクにて説明していますので、より詳細な情報を見たいお客様は、ご参照をお願いします。
お問い合わせ
本記事に関してご質問などありましたら、以下より問い合わせください。
Qorvoメーカー情報Topページへ
Qorvoメーカー情報Topページへ戻りたい方は、以下をクリックください。