はじめに
炭化ケイ素(SiC)は、ワイドバンドギャップ(WBG)半導体材料の一部です。近年、高耐圧や高速スイッチングが求められるアプリケーションにおいて、SiC製品は急速に普及しています。また、SiCのモジュール製品に関してもリリースされていて、従来の回路をディスクリートで構成するよりも、スイッチング速度の向上、損失軽減、最終製品の小型化を実現します。しかし、ディスリート製品よりもパッケージが特徴的であるため、敬遠されがちです。
今回はオンセミ社のSiCモジュール(PIM)の実装方法について説明します。
プレスフィットピンとは?
オンセミ社のSiCモジュール(PIM)は、プリント基板(PCB)に接続するため、はんだピンまたはプレスフィットピンを使用するパッケージ・オプションがあります。
下図は、プレスフィットピンを使用した Q1 モジュールの例です。
プレスフィットピンは、実装後にピンとメッキされたスルーホール(PTH)を圧入による方法で接続するものです。この方法は、余分な加熱や汚染を防止し、優れた電気的特性を実現します。パワー半導体モジュールの接続方法として定着しているのがプレスフィット方式です。
プレスフィットピンを使用する事で、プレスフィットピンとメッキされたスルーホールとの密着性が良くなります。
プリント基板とモジュールの実装方法
ヒートシンクの上面とプリント基板(PCB)の下面との距離は、モジュールの高さによって決まります。オンセミ社のQ0、Q1、F1、F2パッケージの場合は12mm、Q2パッケージの場合は17mmです。
また、固定にはPCBスペーサーを使用することができます。固定点の数や位置は、回路のレイアウトやコンデンサーやインダクターの位置、システムの環境に依存するため一般的なスペーサーの数や位置の推奨はありません。しかし、スペーサーを使用する場合、高さについて推奨高さがあります。
オンセミ社のQ1パッケージは、電源コネクターと端子がプラスチックケースの表面に分散して配置されています。電気的な接続は、これらの端子をプリント基板(PCB)にはんだ付けまたはプレスフィットの技術を使用することで接続されます。(下図)
プリント基板(PCB)には、スペーサー用の4つの取り付け穴と、ヒートシンク取り付け用の2つの穴があります。切り抜き穴、メッキされたスルーホール(PTH)穴、取り付け穴の寸法と位置はデータシートに記載されています。
下図、左図はQ1パッケージ製品のデータシート内に記載されている推奨取り付けパターン図です。また右図はQ0パッケージ製品のデータシート内に記載されている推奨取り付けパターン図です。Q0パッケージでは、PCB基板の厚さによって、取り付け穴の推奨形状も異なりますので、注意してください。
まとめ
オンセミ社のSiCモジュール(PIM)は、プリント基板(PCB)に接続するため、プレスフィットピンを使用するパッケージが多くあります。
プレスフィットピンを使用することで、半田実装工程を省略し製造コストの低減や優れた電気的特性を実現できます。
アプリケーション適用例
・ソーラーインバーター
・UPS(無停電電源装置)
・電気自動車用充電スタンド
・産業用電源
さいごに
その他のSiCモジュール 製品をお探しの場合は、下記オンセミ社のWebサイトの製品ページをご確認ください。
また本記事で紹介した内容やさらに詳しい情報については、下記オンセミ社のアプリケーションノート(AND9867/D)を参照ください。
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