MOSFETのパッケージ動向~最新ソースダウンパッケージのメリットとは?

はじめに

パワー半導体は各メーカーから数年おきに新しいパッケージが開発され、市場に投入されています。新しいパッケージに求められる要件は小型化やパッケージの寄生成分やオン抵抗を最小限に抑えることなどです。また、従来はドレインがパッケージ下面側に向いているドレインダウンパッケージが大半でした。

今回はオンセミ社の新パッケージであるソースダウンパッケージを使用した際のメリットを紹介します。
主なメリットは下記です。

放熱性の改善

レイアウトの簡素化・省スペース化

次項にて詳細を解説します。

放熱性の改善

下図はドレインダウンパッケージの内部構造と基板の側面図です。Heat Flux(赤色の矢印)が放熱経路です。ドレイン側は、高電圧でスイッチングするので、他の層に対してビアをうつ(あける)ことができないため、基板表面(トップ層)のパターンにしか放熱経路がありません。

またソース側でビアをあける必要がありますが、ソース部分のパッドが小さいため、ソースパッド直下において、ビアをうてる範囲が狭いです。基本的に熱はソース側に逃げますが、トップ層のパターン(配線)下のビアなどを通るため、放熱経路も長くなります。

一方でソースダウンパッケージでは、この問題を回避することができます。ソースダウンパッケージを採用することで、ソースパッド直下の広範囲でビアをうつことが可能です。ソース側が安定電位なので、ビアをうって各層に熱を逃がすことができます。よって、最短距離で熱を基板に逃がすことができます。

レイアウトの簡素化・省スペース化

ACDCなどの二次側の同期整流回路で使用する場合や降圧コンバーターで使用する場合

以下に一般的な二次側の同期整流回路例を示します。

上記回路において、QSR1とQSR2のMOSFETに、従来のドレインダウンパッケージを使用した場合、下図左のように、放熱特性をあげるためには、デバイス搭載部以外のトップ層のソース配線部にビアをうつ必要があるため、使用基板面積の範囲が大きくなってしまいます。

一方、ソースダウンパッケージを使用した場合、下図右のように、ソースパッド直下にビアをうって、放熱性を向上させることが可能で、また使用基板面積を省スペース化することが可能です。

降圧コンバーターなどにおいては、ハイサイドにドレインダウンを使用し、ローサイドにソースダウンを使用することで、上記同様に基板面積を省スペース化しながら、GNDパターンを広くとることができるため、放熱性がよくなります。右図は降圧コンバーターの一般的な回路例です。

下図左は、ハイサイドにもローサイドにもドレインダウンのMOSFETを使用した場合であり、下図右はハイサイドにはドレインダウンのMOSFETを使用し、ローサイドにはソースダウンのMOSFETを使用した場合です。

並列接続する場合

オン抵抗を小さくするには、デバイスの並列接続が必要です。一般的なドレインダウンのパッケージでは、ゲート信号の配線をデバイス直下のトップ層で直接接続することが難しく、並列接続したいデバイス同士のゲートを接続するためには、ビアを介して接続するため、トップ層以外に、もう1層使用する必要があります。(図左、ゲート信号は青色)

一方でソースダウンパッケージでは、下図右のように、ドレインとソースの中央にゲートを持つ、センターゲート構造を採用しています。センターゲート構造は、並列化されたデバイスのゲート信号を別の層を使用せずに配線できる場合もあります。よって、並列接続されたデバイスの配置やレイアウトが容易です。

アプリケーション適用例

・DCDCコンバーター
・二次側同期整流
・モータードライブ/三相モーター制御
・SMPS
・バッテリーマネジメントシステム

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