太郎です。今回はバッファ製品について書きます。

 

バッファには大きく分けて 2 種類が存在します。Fanout Buffer と Zero Delay Buffer (以下 ZDB )です。

Fanout Buffer は PLL を介さずに、入力信号を分配するバッファになります。

ZDB は入力信号と出力信号の間に、遅延を持たせないバッファになります。

これら2つのバッファの最大の違いは、内部で PLL を使っているかどうか、です。

 

ここで、 PLL とは、リファレンス信号(入力信号)とフィードバック信号の位相(もしくは周波数)を同期させるものです。PLL のブロック図を以下に示します。

 

PLL の各ブロックの役割を説明します。

  • PFD ( Phase Frequency Detector ) / CP ( Charge Pump ):

    フィードバック信号を、リファレンス信号と位相 / 周波数が合うようにエラー信号を出力する。 位相のみを合わせる PD ( Phase Detector ) が PFD の代替として使用されている PLL も存在する。 CP では、 PFD から出力されたエラー信号を定電流に変換する。

  • LPF ( Loop Filter) :

    PFD / CP からのエラー信号を平滑化し、VCO の制御電圧に変換する。

  • VCO ( Voltage Controlled Oscillator ) :

    電圧制御型発振器。入力電圧に応じて出力周波数を変えることが出来る。

 

バッファについての説明からそれてしまうので、PLL の詳細については次回書かせて頂きます。

ZDB では、フィードバック信号を遅延させることによって入出力間の遅延を無くしています。下図では例として、遅延素子により Y[sec] の遅延が発生しているものとします。

 

PLL により、リファレンス信号とフィードバック信号は同期をとります。同期をとる際、遅延素子があるため、出力信号( VCO )はフィードバック信号よりも

Y[sec] 早く出力することになります。よって、各信号のタイミングチャートは下図のようになります。

 

このように、遅延素子 Y[sec] の設定によって自由に出力信号のタイミングをずらすことができます。

そのため、後段のデバイスのゲート遅延と遅延素子の遅延時間を等しくすれば、Delay を無くすことが出来ます。

これが、 ZDB の原理です。

 

では、ZDB の方が Fanout Buffer より優れたバッファなのでしょうか??

…必ずしもそうとは限りません。 ZDB と Fanout Buffer の使い分けはケースバイケースです。

 

ZDB は説明した通り、入出力のタイミングを調整できるという利点がある一方、出力する信号の周波数を適宜調整するため、Cycle-to-Cycle Jitterがどうしても発生してしまいます。

また、内部 PLL の Jitter Gain ピークが、上段 / 下段のデバイス内部の PLL の Jitter Gain ピークと重なってしまったら、発生する Jitter が増大してしまいます。そのため、設計時に上段 / 下段の Gain ピークをずらすよう注意しなくてはなりません。

一方、 Fanout Buffer は、 PLL による Jitter 発生がないため、 ZDB と比較し、出力信号の Jitter が小さいという利点があります。

 

…長々と書いてしまいましたが、今回のコラムの内容をまとめると、以下のようになります。

ZDB : 入出力のタイミング制御が可能

Fanout Buffer : 出力信号に余計な Jitter を発生させない

 

バッファの使い分けはケースバイケースということになりますが、バッファでお悩みの方は弊社までぜひお問い合わせ下さい。

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