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ESD保護素子を選定する際に留意するポイントとは?!

静電気によるデバイスの破損や電子機器の誤作動にお困りという方のために、電子機器内部に侵入するESDからデバイスを守るためのESD保護素子について、選定方法及び注意する特性について紹介します。 

ESD保護素子を選定頂く際に注意するポイントは下記の通りです。

  1. 保護素子の端子間容量について
  2. ESD保護素子の各電圧について
  3. 単方向または双方向について
  4. 配置及びレイアウトについて

この4点について詳細を以下に説明します。

1. 保護素子の端子間容量について

ESD保護ダイオードは信号ラインとGND間に挿入されるため保護機能が働いていないときには、ダイオードの端子間容量が信号ラインに影響を与える可能性があります。 

よって、特に高速のデータラインに使用するときには、

  • 端子間容量が小さな保護素子を選定すること
  • 高い周波数に対して挿入損失が小さいこと
  • アイパターンが問題ないこと

を確認する必要があります。 それぞれの比較を下図に示します。

 

<端子間容量比較>

Table 1. CAPACITANCE COMPARISON OF USB 3.0
ESD PROTECTION DEVICES

USB 3.0 ESD Protection Device (Diode Arrays) Max Junction Capacitance (pF) Specified on Datasheet
ON Semiconductor ESD7016MUTAG 0.20 pF @ Vr = 0 V, f = 1 MHz
Competitor A 0.65 pF @ Vr = 0 V, f = 1 MHz
Competitor B − (0.20 @ 3 GHz)
Competitor C − (0.45 TYP at 0 V)

<挿入損失比較>

<アイパターン比較>

2. ESD保護素子の各電圧について

ESD保護素子のデータシート内で表記され、選定時に気を付ける電圧値については、下記3つがあります。

  • 逆ワーキング電圧(ピーク逆動作電圧):VRWM
  • 逆ブレークダウン電圧(逆方向降伏電圧):VBR
  • クランプ電圧:Vc

各々の電圧について、注意する点について記載します。

逆ワーキング電圧:VRWM

この電圧では、ESDダイオードは高インピーダンス素子として非常に低い漏れ電流しか流さないので、「オフ」状態のようになります。

VRWMは逆ブレークダウン電圧VBR以下です。

逆ブレークダウン電圧:VBR

ESD8004 データシートより

この電圧でESDダイオードは導通、すなわちターン「オン」を開始します。

ブレークダウン電圧はテスト電流ITで測定されます。VBRはESDアプリケーションの最小値で規定され、通常VRWMより10~15%高くなります。

ESD保護ダイオードを選定するときは、この電圧が保護対象システムの最大動作電圧よりも高いことを確認してください。

クランプ電圧:Vc

システムレベルで代表的なESD規格は、IEC61000-4-2であり、右図の通りナノ秒以下での立ち上がり時間と高電流レベルの波形によって識別されます。

ESD保護素子は、このESDストレスに耐えることが出来るだけでなく、保護対象となる後段の回路素子が耐えられるように、ESDイベント時に保護対象となる回路素子に印加される電圧を非常に低く維持することも必要です。

クランプ電圧はESDイベント時のESD保護ダイオードによる電圧降下です。

このクランプ電圧を低く抑えることは、保護対象となる後段の回路素子がさらされる電圧値が低くなり、後段の回路素子への残電流を抑えることができます。ゆえに高速ラインなどの敏感な回路の場合、このクランプ電圧を可能な限り低く抑えることが重要となります。

3. 単方向または双方向について

ESD保護素子を選定する際に、単方向(Unidirectional)タイプと双方向(Bidirectional)タイプどちらを選定するかについては、以下の点を確認してください。

一般的には単方向タイプを選定しますが、アンテナラインの保護のような場合、電気信号は+側と-側に振動しています。このような場合には、双方向タイプを使用してください。

また下図のCANシステムのように、共通グランドを使用し、長いケーブルを通じて複数のリモートモジュールが接続されているシステムでは、送信ノードと受信ノードのグランド基準間に大きな電位差が存在する場合、同相電圧仕様が規定されています。

規定されている同相範囲内で、データラインのオフセット(データラインの電圧に対しその公称電圧レベルに数ボルトの正または負のオフセットが加わる)が発生した場合に、保護デバイスがクランプされないようにするには双方向タイプを使用する必要があります。

4. 配置及びレイアウトについて

ESD保護ダイオードの配置は出来るだけコネクタなど、ノイズ発生源の近くに配置すること、PCBの寄生インダクタンスを最小化すること、高速データラインとグランドラインで形成されるループ面積を最小化することなどが求められます。

よって、各々のインターフェースに対応したESD保護素子製品を使用することにより、配線パターン設計などが容易となります。また1チップで複数ラインの保護に対応した製品もあるため、ディスクリート設計と比較した際には、費用や基板面積を抑えることが可能です。

<USB 3.1 Type-Cに対する配置図>

<複数ラインを1チップでサポートした配置図>

参照:オンセミコンダクター社アプリケーションノート

USB 3.0インタフェース用ESD保護を選択する場合の信号インテグリティの維持[AND9114JP/D]
ESD保護の追加時にUSB信号インテグリティを維持する方法[AND8319JP/D]
データ・アイ・ダイアグラム手法による高速デジタル信号解析の概要[AND9075JP/D]
ESDデバイスに関するデータシート・パラメータの解釈[AND8308JP/D]
ESDクランプ性能の特性評価[AND8307JP/D]
TVSダイオードの性能を最大限に高めるPCB設計ガイドライン[AND8232JP/D]
過渡電圧抑制ダイオード回路に関するアプリケーションのヒント[AND8230JP/D]

ESD 保護素子について詳しく知りたい方

この記事では、ESD保護素子を選定する際のポイントについて紹介しました。記事の内容やESD保護ダイオードについて、詳しく知りたい方は以下からお気軽にお問い合わせください。

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