光トランシーバーモジュールを試験する際、BERTやDSO、光トランシーバーコンプライアンスボードなどさまざまなものが必要になります。その中でもBERT(Bit Error Rate Tester)は、発生させたランダムビットパターンと、測定対象を通過したランダムパターンを比較して、どのくらいエラーが発生したかを測定できます。
そんなBERTですが、2台用意すれば信号チャネル数を2倍にして使うことができることはご存知でしょうか。
具体的には、4chのBERT 2台を同期させて使用することで、8chのBERTとして使うことができるようになり、4chのものしかお持ちでなくても400G等の8レーンソリューションの評価をおこなうことが可能となります。本記事では、このようにBERTを2台同期させて試験する方法をご紹介します。
そもそもBERTとは?
BERTはBit Error Rate Testerの略で、測定系におけるBER(Bit Error Rate)を測定する測定器です。PPG(Pulse Pattern Generator)からランダムビットパターンを送出し、ED(Error Detector)で正しく0と1を判定できるか、をチェックします。例えば、109個送って1個間違えていた場合、BER = 10-9となります。
製品タイプは2種類
4ch BERTは4レーン分が測定可能
昨今の高速シリアル信号伝送においては、高速化手法の1つとして多レーン構成(多チャネル構成)が採用されています。例えば、100G伝送で使われる光トランシーバーモジュールでは、25G×4(25Gを4本使う)で実現されているものが主流となっています。
このような製品のBER評価においては一度に4レーン分を測定できる4ch BERTが便利です。
8chのBERTは8レーン分が測定可能
400G伝送で使う光トランシーバーモジュールでは、電気側が8レーンの製品が主流となっています。具体的には、50G×8(50Gを8本使う)で400Gを実現しています。この場合は、8ch BERTがあれば1度に8レーン分のBERを測定できて便利です。
Multilaneでは、4chBERTと8ch BERT共に製品をご用意しています。詳しくはこちらご覧ください。
https://www.macnica.co.jp/business/semiconductor/manufacturers/multilane/products/135373/
4ch BERTを2台使えば8ch BERTが実現できる
上記でご紹介した通り用途に合わせて4chと8chのBERTを使い分けしますが、4ch BERTのみを使用し、8レーン製品のBER測定をおこなう方法もありますので、その方法をご紹介します。
使用機材
ML4039EN Multilane社4ch BERT
ML4015D Multilane社オシロスコープ、波形確認用
接続方法
1つの4ch BERTをBERT:A、もう1つをBERT:Bとします。
BERT:BのクロックでBERT:Aのクロックをドライブすることで、双方のBERTを同期させます。
GUIの設定
BERTをコントロールするGUIを使って、BERT:BとBERT:Aのクロック入出力方法を設定します。
①BERT:Bのクロック設定でRefClkを選択します。
②BERT:AのClk-InでExternalにチェックを入れます。
③BERT:Aのクロック設定でMonitorを選択します。
また、オシロスコープで波形を確認する場合は、オシロスコープ側で対応できるクロック周波数となるよう分割数を選択します。
以上の構成で、BERT:BのクロックでBERT:Aのクロックをドライブして2台の4ch BERTを同期させることができます。
これにより、1台の8ch BERTのように使うことが可能となるのです。
波形の測定例
ここまででご説明した通り、2台のBERTを同期させ使用することが可能です。以下では、実際にその場合の波形測定例を示します。
図1と図2は、BERT:AのCh1とBERT:BのCh1、それぞれからNRZ信号が出力されている例です。共にBERT:1から出力されるクロック信号を使って波形観測しています。両方の波形をロックして表示できているので、2台のBERTが正常に同期していることがわかります。
(図1) BERT:AのCh1
(図2) BERT:BのCh1
お問い合わせください
本記事では、2台の4ch BERTを同期させて使うことにより、1台の8ch BERTのように使えることを解説しました。400Gなどの8レーンソリューションの評価をおこないたいが、8chのBERTが手元になくお困りの方や、複数台4chをお持ちの方はぜひお試しください。
ご質問やご不明点がありましたら下記よりお問い合わせください。