『ぽき』です。


アルテラ社の MAX® 10 Evaluation Board に載っていた Enpirion® 。

あれから少し気になって調べたところ、電源選定に有益な情報を入手したのでご紹介いたします!

基板設計するにあたって電源選定は大切ですよね。

FPGA にも電源が必要不可欠なため、たくさんの電源メーカの中から仕様や性能で選定しなければなりません。

では FPGA に適した電源をどのように選べばよいのでしょうか?

 

Pin Connection Guideline の活用

アルテラ社の HP 上では各デバイス・ファミリのピン接続に関するガイドラインを出しています。

 

『 Pin Connection Guideline 』

 

その中にどのような種類の電源が必要かという電源構成例が掲載されています。

Cyclone® IV E デバイスの場合は、図 1 のように示されています。

図 1 : Cyclone IV E デバイスの電源構成例

ただ VCCIO などで複数の I/O Standard を使用している場合等はその電圧に合わせた電源が必要となるので注意が必要です!

一例ではありますがグラフィカルにどんな電圧が必要か分かりますね!

EPE の活用

しかし、これだけではどのような種類の電源を選べばよいかはまだ分かりません。

 

そこで EPE ( Power Play Early Power Estimator ) の活用です!

EPE の説明は梅おにぎり先輩がされているので、その記事を参考にして下さい。

 

『選べる!消費電力の見積り方法~ EPE 編~』



「えっ? EPE ?確かに消費電力の見積もりはできるけど。。。」

 

なんと v13.1 より消費電力を見積もれるだけでなく、 Enpirion の電源を使った場合の型番を調べることができます!

 

今回は製作実習で使用したデザイン ( Cyclone IV E ) を使って Quartus® II プロジェクトからインポートする方法をご紹介いたします!

 

EPE のダウンロードや Quartus II で EPE 用のファイルを生成する方法、生成したファイルを EPE にインポートする方法は上述の梅おにぎり先輩の記事をご覧ください。

ちなみに EPE は下記サイトからダウンロード可能です。

 

『 PowerPlay Early Power Estimators ( EPE ) and Power Analyzer 』

Enpirion の選定方法

1. Main タブ

EPE に Quartus II で生成したファイルをインポートしたら、Enpirion Device を選択できるように Power Characteristics を Typical から Maximum に変更します。

これは電源選定時に最大電力から換算するためです。

 

続いて Power Rail Configuration を Cyclone IV E に変更します。

この変更によって Pin Connection Guideline で紹介されている電源構成例を EPE で採用します。

今回ですと図 1 の電源構成例が選択されます。

図 2 : Typical から Maximum に変更

すると、Error として「 Regulator Group 2 の電源供給が同一の電圧で供給されていない」

というメッセージが表示されます。 ( 図 2 の青線部分です。 )

 

これは、図 1 では 2.5 V 電源で VCCIO と VCCA の供給を行っていますが、

私のデザインでは VCCIO は 3.3 V を使用しているからです。

VCCA は 2.5 V であるため、このような Error が表示されてしまいます。

 

この Error を修正するために Report タブに移ります。

2. Report タブ

この Report タブでは電力推定の結果や算出する元になった各ポートの Static と Dynamic 電流を確認することができます。

 

今回は先ほどの Error を解消するために Power Regulator Group を変更します。

先に記載されている Group 1, 2 は図 1 のブロック図から引用されたものです。

これは main タブで Power Rail Configuration の設定データに依存します。

 

3.3 V に対しての Power Regulator Group はないので、新しく VCCIO の Regulator Group を「 3 」と手打ちで変更します。

Regulator Group が増えたことで Power Rail Configuration が Custom に変更になります。

これで、それぞれ 1.2 V ( Group 1 ), 2.5 V ( Group 2 ), 3.3 V ( Group 3 ) と各電圧に対応する Regulator Group を作ることができました。

 

図 3 : Report タブで Regulator Group の変更

最後に Enpirion タブに移ります。

3. Enpirion タブ

この Enpirion タブでは今までの設定情報に基づいて、各 Power Regulator Group を Enpirion で試算することができます。

また Load Current Margin で負荷電流に対する余裕値、

Regulator タイプの変更、 Power OK ( POK ) の端子の有無を設定して選定に反映させることができます。

 

今回はここで各 Regulator Group への Input Voltage を指定するのみです!

すると先ほどまでの設定により、自動的に型番が選択されます。

製作実習のボードの電源 5 V から 1.2 V , 2.5 V , 3.3 V を作ろうとすると以下のような型番で実現が可能です!

図 4 : Enpirion タブで型番表示

EP5358L は低電圧用電源です。

末尾に L がついているものは 0.8 から 1.5 V までの 7 つのプリセット電圧と、外部抵抗でフィードバックすることで所望な電圧を柔軟に作成することが可能です。

FPGA の推奨電源がこんなに簡単に分かるなんて驚きですね!

終わりに

今回は Cyclone IV E デバイスを使用した簡単な例をご紹介しました。

実際に設計する際には、熱や電流マージン、必要機能を考慮しなければいけませんが、別のデバイスを使用する場合でも同じフローで Enpirion 電源を選定することが可能です!

 

みなさんも実装面積が小さく、高効率な電源 Enpirion の選定を EPE で行ってみてはいかがでしょうか♪