こんにちは、太郎です。

 

今回はクロック信号の精度表記について書きます。

クロック信号の精度を計るファンクションとして、Jitter が挙げられます。

Jitter については以前に書いた記事、「なぜ Jitter に注意しなくてはならないのか?」もあわせて参考にしてください。

 

今回は、以前の記事で紹介していない内容について書きます。

周波数精度について

発振子 / 発振器など、クロック信号を出力する製品のデータシートに記載されている精度表記の代表例は、PPM です。

PPM は Parts Per Million の頭文字をとったもので、100万分の1を表しています。

例えば、25 MHz の発振器の周波数精度に±20 PPM と記載されている場合は、

 

25 MHz x -20PPM = 500 Hz = - 0.5 x 10^-3 MHz

25 MHz x +20PPM = 500 Hz = + 0.5 x 10^-3 MHz

 

という計算結果から、25 - 0.5 x 10^-3 MHz ~ 25 + 0.5 x 10^-3 MHz の周波数範囲で出力することを保証する、ということを意味します。

ここで注意して頂きたいのは、PPM の値は出力周波数の精度を表すもので、Jitter について記載されている内容ではない、ということです。

クロック周波数の定常精度を表すために用いられる周波数ドメインの単位ですので、Jitter 精度を表す単位とは言えません。

Jitter 精度について

Jitter は周波数でなく、クロック信号の周期について記載されています。

以前の記事でも書きましたが、Jitter はクロック信号の立ち上がりエッジからの誤差を時間ドメインで定義しています。

一般的な単位は ps (ピコ秒)です。クロック IC 全般にて、こちらの単位が記載されています。

 

Jitter の表し方はメーカーやデータシートによって様々です。

例えば、「 Period 16 Avg 」と記載されている場合は、Period Jitter に対し、 16 サイクル毎に平均を取った値を示しています。

スペクトラム拡散をしたクロック信号の Jitter 特性を見るときに使用されています。

UI (ユニットインターバル)について

Jitter を表す単位として、UI が記載されていることがあります。

UI とは Unit Interbal の略称で、クロック周期のクロック信号の 1周期内に存在するジッターの割合を示す単位です。(1周期=1UI)

UI は、ASIC などの入力 Jitter 規定でよく用いられている単位です。

例えば、25MHz 0.005UIの場合は、25MHzの1周期が 40 ns なので、Jitter 成分は、

 

40 ns x 0.005 = 0.2 ns = 200 ps

 

となり、Jitter 成分が200 ps であることと同意です。

UI 表記の場合には周波数によって値が変わるので注意してください。

 

Jitter の表記方法は、様々な単位や測定方法から決まります。

データシートを読み解き、お客様にベストサポートができるよう頑張ります!