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はじめに

居眠り運転による重大な交通事故が度々話題になりますが、運転中に眠気を感じる原因の一つとして、CO₂が人体に与える影響が考えられます。厚生労働省が定めるCO₂濃度の基準として、1,000ppm以下が適切であるとされていますが、密閉された空間になりがちな車内のCO₂濃度は基準の1,000ppmと比較してどのくらいなのでしょうか。

今回は、インフィニオン社のCO₂センサーを用いて「内気循環」「外気導入」「窓の開閉」によるCO2濃度の変化を測定しました。

CO₂の人体への影響

CO₂濃度が1,000ppmを超えると、眠気などの悪影響が現れるようになります。さらに2,000ppmを超えると、頭痛や眠気に加えて集中力の低下が引き起こされ、運転するうえで非常に危険な状況となってしまいます。

検証結果

本検証は、8/17の夏場に行ったものになります。

測定環境

  • 乗車人数:2人(1人は後に乗車)
  • 車種:普通乗用車
  • 測定回数:1min/回
  • 外気温:32℃

数値の遷移

  • 乗車&内気循環開始

    • 人が車内に乗り込み、外気を入れず内気循環モードで走行を始めると、CO₂濃度は急激に上昇し、約40分後には約2,300ppmに達しています(赤色ゾーン)。このレベルでは、人体に明らかな影響(頭痛、集中力の低下等)が現れ始める恐れがあります。

  • 外気導入

    • 外気導入モードに切り替えることでCO₂濃度は急速に下がり、再び快適な濃度レベル(1,000ppm以下)になります。

  • エンジンOFF & 降車

    • エンジンを止めて車内に人がいなくなると、CO₂濃度は自然に低下し、よく喚起された屋内のレベルまで戻ります(約700ppm程度)。

  • 再乗車&内気循環(1人)

    • 再び乗車し内気循環を始めると、CO₂濃度が再上昇を開始します。

  • 2人目乗車

    • さらにもう1人が乗車することでCO₂濃度が急激に高まり、ピーク時には3,600ppmを超える極めて高いレベルになります。これは非常に危険な濃度であり、運転に重大な影響を与える可能性があります。

  • 再びエンジンOFF&降車

    • 再びエンジンを切り、人が降車すると、CO₂濃度は急激に低下し、数分後には安全レベル(緑ゾーン)に戻っています。

結論

このグラフからは、車内の換気が十分でない場合、人が1~2人いるだけでも短時間でCO₂濃度が人体に影響を与えるレベルまで急激に上昇することが分かります。適切な換気(外気導入)を行うことが車内の安全性と快適性を保つために非常に重要になります。

本検証で使用したCO₂センサー

今回はインフィニオン社製のXENSIV™ PAS CO2 12V sensorを用いてCO₂を測定しました。主なスペックは下記の通りです。


動作電圧が5VのXENSIV™ PAS CO2 5V sensorもあり、12Vのセンサーと比較して下記の部分が異なります。

電圧:IR発光部:12V / その他:3.3V
精度:± 50ppm ± 5%
反応時間:55秒
サンプルレート:1秒/回

PAS式の原理

インフィニオン社のCO₂センサーはPAS式を採用しています。PAS式はNDIR式に比べ、低濃度域(ppb~ppm)で高感度・高精度に測定でき、小型化・省電力化が可能です。

評価キット

下記は12Vセンサーの評価キットになります。5Vセンサーも同様に評価キットを入手可能です。

お問い合わせ / お見積もり

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