数式をできるだけ使わずに解説しました
近年の急激なネットワークトラフィック増加に伴い、光通信に「デジタルコヒーレント方式」を採用するケースが増えていますが、原理や従来方式であるNRZやPAM4との違いをしっかり理解して導入・運用されている方は少ないのではないでしょうか。
そんな思いから、本セミナーではJANOG54のBoFにて当社エンジニアが講演した内容を中心に、デジタルコヒーレントとはどのような技術なのか、なぜ長距離・大容量伝送に向いているのかを、数式をできるだけ使わずに分かりやすく解説しました。本記事では、その概要を資料を用いながらご紹介します。
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当日のアジェンダ
時間 |
内容 |
2024/8/8(木) |
・JANOG54@奈良の振り返り ・デジタルコヒーレント方式が長距離大容量通信に向いているワケ ・JANOG50@函館での発表 ・電気側(ホスト)と光側(メディア)のデータレート ・変調の方法(送信側) ・検出の方法(受信側) ・FECはどこでかけるのか ・動画による100G DCOの動作デモ |
まずは400G-ZR/ZR+の技術解説を理解

400G-ZR/ZR+が出始めたころ、函館で開催された「JANOG50」にて、どのように400G伝送を実現するか検証した内容を数社から共同で発表しました。当社からは、400G-ZR/ZR+の仕様やブロック図について技術解説をしました。今回のセミナーは、函館で発表した内容をより深く理解することを目標としました。
電気側と光側のデータレート

デジタルコヒーレントオプティクスの紹介の前に、400G-ZR/ZR+のブロック図を用いて電気信号のデータレートがなぜ400Gbpsの通信を使用しているのに425Gbpsに増えているのか、光信号のデータレートがなぜ478.75Gbpsに増えているのか、についてご説明しました。
変調の方法(送信側)
光信号にデジタルデータを乗せて送出する場合の変調方式で、一番基本的なものはNRZ(Non Return to Zero)といいデジタル信号をそのまま光の振幅にのせます。この方式は色々な製品で採用されています。また、より複雑なPAM4(Pulse Amplitude Modulation, 4-level)は、同じようにデジタル信号を光の振幅にのせますが、1つの信号レベルに対してビットが2つマッピングされるような形式になっています。そのため、同じ信号の繰り返し周期でも2倍のデータ容量を送ることができます。
400G-ZR/ZR+で使用される変調方式は、16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation)といい、デジタル信号を光の振幅だけでなく位相にものせています。ボーレートを低く保ちつつビットレートを早くできるため、たくさんのデータを送る大容量通信に向いている変調方式になります。
具体的にどうやって変調信号をつくっているのか、また、I信号やQ信号とは何か、について複数の図を用いながら解説しました。また、1度に2倍の容量で通信ができる仕組み「偏波多重技術」についても、解説しました。


変調の方法(受信側)

受信側の解説では、受信した光信号をどのように処理して電気信号に変換するか、また、ローカル光と干渉させること(コヒーレント検出)で受信感度を向上させる方法についても詳しく説明しました。
FECはどこでかけるのか?
400G以上の通信では、ホスト側でRS-FECを必ずかけるようになっています。そのためホスト側から光トランシーバーがもらう送信電気信号は、RS-FECがかかっています。ただし、400G-ZR/ZR+のようなデジタルコヒーレントオプティクスの場合は、ホストのRS-FECを一旦終端し、より強力なFECをかけるため別途光専用のFEC(400G ZRの場合はC-FEC、400G ZR+の場合はO-FEC)をかけます。このため、より長距離の伝送に寄与していると考えられます。


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ここまでで、なぜデジタルコヒーレント方式が大容量・長距離伝送に向いているかを簡単にご説明しました。
本セミナーを見逃した方やもう一度ご覧になりたい方、そして実機の動作している様子なども動画でご覧いただけますので、この機会に是非、下記フォームよりご登録いただきご参照ください。