日本市場との違いを体感、光通信・ネットワーキングにおける世界最新動向に触れてきました
2023年3月7日-9日にアメリカのSan Diego Convention Centerにて、米国OPTICA・株式会社オプトロニクス社共催イベント「OFC (The Optical Fiber Communication Conference and Exhibition)2023」が開催されました。技術的なコンテンツから市場最新トレンドまでもが披露される世界最大の光通信とネットワーキングの展示会であり、今回は出展社数515社、11,500人以上もの方が来場しました。


スケールの違いに圧倒!
会場はすっかりコロナ前と同じ雰囲気に戻っており、マスクを着けている方もほとんどいませんでした。ブースの規模感は「さすがアメリカサイズ」と感じるほどで、日本の展示会に比べてスケールの違いを感じました。イベントは3日間ありましたが、最終日は14時ごろには片づけが始まってしまうこともあり、すべてのブースを回るには少し時間が足りなかったように感じました。




来場者の特徴
部品メーカーやシステムベンダー、ファイバーケーブルメーカー、ソフトウェア開発、測定機器メーカーなど光通信に関連する幅広い分野から最新製品やサービスなどが展示され、部品・装置メーカー、システム会社、サービスプロバイダー、キャリアなど世界中から参加していました。
現地で体感、光通信の注目トレンドとは
2023年のOFCは3つの大きなテーマがあったと感じました。2社(Coherent社・MultiLane社)の展示内容を振り返りながらトレンドについて触れたいと思います。
1:400Gは当たり前、時代は800G・1.6T
2:オープン化・マルチベンダー化の流れ
3:CO-Packaged Optics
800Gがメイン!MultiLane社の展示
ネットワーク分野において、必要不可欠な最先端製品を取り揃えているMultiLane社は売上が急速に成長している新進気鋭のメーカーです。今回の展示では、800G向けのソリューションや最新製品が展示されていました。
800G向けOSFP-XDのMCB(Module Compliance Board)やHCB (Host Compliance Board)が展示されていました。OSFP-XD Form Factor対応のものとしては世界初のソリューションで、OSFP(8lane)を16laneに拡張した規格で1.6Tbpsまでサポートが可能とのことでした。
こちらも大きな目玉となっていた800Gのデモ展示で、MultiLane社の製品(ML4079EN)とDELTA社のスイッチを組み合わせたデモが2つ行われていました。
①ML4079ENからの送信波形をDELTA社のスイッチに挿したモジュールでループバックし、受信波形を測定。
②XENA社トラフィックジェネレーターからの送信波形にノイズ付加し、ML4081で受信した波形をGUIに表示。
車載市場をターゲットにしたBERT製品も紹介されていました。まだR&Dフェーズのため、詳細情報は公開されていませんでした。
ML4035 DSOを使用した、双方向での波形測定デモも展示されていました。
オープン化の波!Coherent社での展示内容
産業、光通信、ライフサイエンス、半導体機器、消費者市場などの多様な用途に向けた製品を開発・製造するCoherent社ですが、今回のブースでも革新的なデモが展示されていました。デモを閲覧するために順番待ちの列ができるほどで、多くの方の関心を集めていました。
下図はIPoDWDMの相互接続性デモです。会場内で実際にAdtran・ACACIA製品を接続し、エラーなく通信ができている様子を見ました。


また、大きな目玉となったのは最新製品の公開でした。今回Coherent社は独自のDSPを使った最新の100G DCOの光トランシーバーモジュールを公開していました。アンプなしで80km伝送可能、また5W以下という低消費電力を実現する製品で、2023年末に量産立ち上げ予定とのこと。こちらはブースを訪れた多くの方の関心を引いていました。
800G光トランシーバーモジュールの動体展示もされていました。説明員に聞いたところ、このOFCが初披露とのことで非常に興味を引きました。
イベントを通して大きなキーワードとなっていた「CO-Package Optics」の展示が行われていました。こちらは16x50GbaudのCO-Packaged Opticsの展示でした。
アンプ内蔵のQSFPモジュール製品も展示されていました。(POLS EDFA IN A QSFP FORM FACTOR)
参加したセミナー
OFCでは最先端の技術やトレンドに触れることが出来る多くのセミナーが開催されています。私も展示会を回ると同時に、これらのセミナーにもできる限り参加して最先端の情報に触れてきました。人気の高いセミナーは100名規模の募集をかけているにもかかわらず、すでに満席になっているものありました。ここでは参加したセミナーの内容を一部ご紹介します。
タイトル |
概要 |
Data Center Summit |
データセンターの現状と今後の動向を説明。 |
PAM vs Coherent for Data Center |
Coherent、Innolight、Marvell各社の製品・技術サマリーを紹介。 |
800G/128Gbaud Pluggable Coherent |
Infinera、Marvell、Ciena、富士通 FoC、ACACIA、WMENTAM各社の製品、技術サマリーの紹介。 |
Optical Connectibity in Copacakaged |
パネルディスカッションを通してCO-Packaged Opticsの概要を説明。 |
Ethernet Alliance |
Alpha Wave、EXFO、Juniper Networks各社よりイーサアライアンスの概要を説明。 |
OpenZR+ |
OpenZR+の流れや、IPoDWDM向けの400G/800Gソリューションなどについて各社の取り組みを紹介。(Marvell、Coherent、Juniper、Light River、Wind Stream) |
OIF 800ZR/LR |
800ZR/800LRについて各ベンダーが取り組みを発表。(Ciena、ACASIA、Marvell) |
ROADM Technologies |
今後のROADMテクノロジーについて各社が概要を説明。(Coherent、Nokia、TELUS、Lumentum、Ciena) |
Coherent Opticsin Free Space |
地上でのCoherent技術を元に、宇宙空間での通信網の構築方法について説明。(AIRBUS、Axta) |
光通信業界のダイナミズムを肌で感じた3日間
OFC2023の参加レポートをお届けしました。日本からの出張者も多く見かけ、世界から集まった方々とも直接リレーションを深められる機会になったと感じました。大きな会場で、ブースとセミナー間の移動も一苦労でしたが、世界中から集まる最新技術や製品が一度にチェックできたり、トレンドをたくさん感じられたりできる有意義なイベントへの参加となりました。次回は2024年3月24日-28日にサンディエゴの同会場にて開催予定です。是非、足を運んでみてはいかがでしょうか。
マクニカでは、本レポートでご紹介したCoherent社、MultiLane社、Marvell社などの通信業界における世界最先端の製品を取り扱っております。気になる製品や技術動向などございましたら、お気軽にお問い合わせください。