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荷物・製品サイズ計測の自動化 | 宅配料金を自動計算

モノの縦×横×高さを、メジャーを当てずに自動で測れないか

近年はネット通販の需要が拡大し、物流の取扱量が増加傾向にあります。その一方で、荷受けをする窓口では人手不足が課題となっており、“料金計算のための計測”も手作業で手間がかかっています。この課題は、物流の荷受けだけの話ではありません。航空機の手荷物、倉庫の入庫検品、食品の包装ラインまで、「サイズを人が手で測っている」現場は業種を越えて共通しています。労働人口が減少していくなかで、物流のさまざまな運用の合理化が求められています。

これらの問題を解決するべく、“荷物サイズを瞬時で計測し料金を自動算出する” 端末の試作機を開発しました。センサーによって手軽に荷物のサイズを計測することで、物流現場や荷受け窓口の運用負担軽減が期待でき、エラーの可能性も減らします。このイノベーションがどのように可能になったのかをご紹介します。

サイズ計測の自動化とは? 「手で測る」を置き換える仕組み

サイズ計測の自動化とは、メジャーやノギスによる手作業の寸法測定を、センサーとソフトウェアで置き換えることです。基本の流れはシンプルです。

  • ① 測る:3Dセンサーが対象物の形状を非接触で捉え、縦×横×高さ(必要なら体積)を算出
  • ② つなぐ:計測データをクラウドや業務システムへ自動送信
  • ③ 使う:運賃の自動計算、検品記録、包装仕様の判定など、後工程を自動化


ポイントは、単に「測る」だけでは効果が出ないことです。測った数値を運賃テーブルや検査データベースと連携させ、「測って→判断して→記録する」までをつないで初めて、手作業と人的ミスがなくなります。サイズ計測に使えるセンサー方式は、大きく4つあります。

サイズ計測の4方式

ToF/ステレオカメラ/LiDAR/レーザーの4方式を、精度・速度・3D対応・コストで比較

これらの選択肢の中から、マクニカのものづくりコンサルティング(ものコン®)では、光の到達時間を計測して対象物までの距離計測ができるToFTime of Flight)センサーを使って外形三辺の計測を手軽にできると考え、『荷物サイズ計測&料金自動算出端末』を開発しました。

ToF(Time of Flight)センサーとは

ToFセンサーは、光が物体から反射して戻ってくるまでの時間を測定することで、物体までの距離を計算します。つまり、ToFセンサーは物体のサイズと位置を正確に計測するのに非常に役立ちます。

ToFセンサーは、荷物サイズの瞬時計測における大きな可能性を秘めています。ToFセンサーを使用すると荷物のサイズを瞬時に正確に計測できます。これは人間がメジャーで計測するよりもはるかに高速で、しかも計測誤差も少ないのです。また、非常に高い精度と信頼性を提供します。これにより、運送会社など使用する側は自信を持って料金を計算し、顧客はその正確さを信頼することができます。

具体的な原理と仕組みは、以下の記事に詳しく記載されています。
人数カウントも可能なToFセンサーの原理とリファレンス・デザインの紹介

ToFセンサーを応用し、荷受け業務を効率化する「荷物サイズ計測&料金自動算出端末」

手動での計測は時間がかかるだけでなく、間違いの可能性もあります。従来のメジャーを使う方法では、大きな箱を測るのは非常に手間がかかり、作業者による計測誤差も生じます。こうした問題を解消するために、計測と料金計算のプロセスを自動化する必要があります。これにより時間と労力を節約し、より正確で信頼性のある結果を得ることができます。

今回開発した「荷物サイズ計測&料金自動算出端末PoC」は、ToFセンサー、OCRカメラ、LCDモニタ、HDMIWi-Fiのインターフェースなどで構成されており、上記の課題を解決できるものです。

荷物サイズ計測&料金自動算出端末

荷物サイズ計測&料金自動算出端末の試作機

ORAT-0092(OMS)
※ Infineon IRS2381Cチップ搭載
※ USBドングルも使用

配送元の設定

1. LCDモニタ画面上の配送元ボタンをタッチ
2. 地図により配送元を選択
3. 決定ボタンをタッチ
4. 配送元が設定されたことを確認

配送元の設定(LCDモニタタッチパネル)

配送先の設定

OCRカメラがあるのは、伝票に書かれた郵便番号を読み取って荷物が到着する地域を設定するためです。発送元の店舗の地域は決まっているので、システム上で事前に設定しておきます。

郵便番号のスキャンによる配送先設定

郵便番号のスキャンによる配送先設定の様子

サイズ測定

1. 箱の3辺が画面上に入るように端末を調整
2. シャッターボタンまたは画面にある測定ボタンで箱のサイズを測定
3. 画面に表示されたサイズおよび配送料を確認

ToFセンサーによる荷物サイズ測定

外形サイズの計測をする場合、端末を荷物にかざしシャッターボタンを押すと、ToFセンサーによって瞬時に計測します。荷受けする人は、LCDモニターで、計測結果のサイズを確認できます。発着地と外形サイズが確定したら、配送料を自動計算して画面に表示します。取得したデータはWi-Fi経由でPC等に転送して連携できます。

荷物サイズを瞬時に自動計測

荷物サイズ計測の様子

マクニカで行ったPoCでは、従来の手作業による荷受けに3分かかったのに対して、本端末による荷受けは10秒と大きく短縮されました。なお、今回のPoCの端末は汎用マイコンを使用しているため、より高い性能の機器構成では、読み取りやサイズ測定速度のさらなる短縮が見込めると考えています。

重量の計測も別システムで可能。ネット通販事業者や航空・鉄道の現場にも応用可能

宅配サービスによっては、重量の計測が必要な場合もあります。こういったケースでは以前、店舗運営最適化をサポートするソリューションとして開発した「AIスマート棚」を連携することができます。

これらのシステムによって、様々な物流の現場の効率化をサポートできると考えています。たとえば、日々たくさんの荷物を出荷する“ネット販売業者”では送料の見積作業の簡素化に役立てることができるでしょう。“航空会社” や “高速鉄道”では、乗客の荷物に応じて追加料金が生じる場合があり、荷物サイズの計測は顧客に委ねられる場合があります。システム化によって、交通サービスを利用する顧客の負担軽減も期待できます。

FAQ(よくある質問)

Q1. ToFセンサーの計測精度はどのくらいですか?

一般的なToFセンサーで±数mm〜±1cm程度です。荷物の三辺計測や体積管理にはこの精度で十分ですが、精密部品の検査(±0.01mm)にはレーザー変位計が必要です。逆に「70サイズ」など1cm刻みで料金が変わる用途では、この程度の安定精度が必須になります。用途に必要な精度で方式を選びます。

Q2. スーツケースや小袋など、不定形・曲面のものも測れますか?

はい。ToFセンサーやステレオカメラは3Dの点群を取得するため、不定形物の外形寸法も計測できます。ただし「どの部位を寸法として取るか」を配送業者や現場の基準に合わせて設計する必要があるため、カスタム開発での対応が適しています。

Q3. 寸法だけでなく、箱の損傷(潰れ・へこみ)も記録できますか?

ステレオカメラを使えば、点群とカラー画像を同時に取得できるため、寸法計測と損傷検知を1台で狙えます。倉庫の入庫時に「寸法+状態」を記録すれば、出荷先で損傷が見つかった際の責任追跡にも活用できます。近距離で精度が出しやすいのが特長です。

Q4. 既存の運賃テーブルや業務システムと連携できますか?

カスタム開発であれば、自社の運賃テーブル、WMS(倉庫管理システム)、MES(製造実行システム)、ERPなど、既存システムとのAPI連携を自由に設計できます。計測データをクラウドへ送り、宅配料金の自動計算・帳票作成・請求処理まで自動化できます。

Q5. まずは小さく試したいのですが、デモやPoCから対応してもらえますか?

ものコン®ではデモ機の貸出やPoCから対応しています。実際の計測対象で精度・運用を検証し、効果を確認してから量産に進むのが一般的な流れです。

様々な現場へ幅広く応用が可能です

サイズ計測の自動化は、物流の宅配料金計算だけでなく、空港やホテルの発送業務、倉庫の入庫検品・損傷記録まで、「サイズを手で測っている」あらゆる現場に広がっています。

選び方のフロー:

1. 標準的な箱型荷物を測るだけ → 市販の計測機

2. 不定形・現場ルール適合・ハンディ化したい → 自社開発(ToF/ステレオカメラ)

3. 寸法+損傷の状態も記録したい → ステレオカメラ

4. 既存システムと連携・自社製品として量産したい → 自社開発

業界別の導入パターン

マクニカものコン®では、センサーなどのデバイスと、ソフトウェアやAIなどのテクノロジーを活用し、様々なビジネス課題に対するソリューションを具現化しています。

今回は、コンビニなどを想定した荷受けにおける店舗と顧客双方のストレスを軽減するべく、宅配便の外形サイズ計測に活かした端末を開発しました。これはあらゆる物流の現場での従業員の運用負担を軽減するとともに、顧客体験の向上も期待できるソリューションです。

運送会社、空港の手荷物、工場での検品、靴のサイズ測定など、ほかにも様々な場所での活用が期待できます。「手作業でメジャーを当てている」作業が残っているなら、それはセンサーで自動化できる可能性が高い領域です。まずは現場の困りごとから、お気軽にご相談ください。

ものづくりコンサルティングサービス

ものづくりコンサルティングサービス詳細は以下ボタンよりご参照ください。

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