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新人エンジニアの赤面ブログ

ブログをご覧のみなさん、こんにちは。新人FAE月山習です。

これまでの記事では、LT8609Aの特徴や理想的な動作波形、そして評価ボードと自作基板の測定結果を紹介してきました。特に前回は、評価ボードと自作基板の測定結果を比較し、理想と現実のギャップを体感しました。そこで今回は基板のレイアウトや配線などの基板設計という観点に焦点を当てます。

当時、私が基板設計を行った際は、レイアウト設計におけるポイントを抑えられていませんでした。そのため理想的なレイアウト設計からはかけ離れた設計となり、思うような波形を観測できなかったのだと考えています。今回の記事では、レイアウト設計の基本的なポイントと、私の基板の問題点を具体的に解説します。

レイアウト設計のポイント

まずはレイアウト設計において重要となる点を、回路図とレイアウト図で見ていきます。

迷路脱出マシンの製作 LT8609A基板回路図

回路図

迷路脱出マシンの製作 ~LT8609A基板レイアウト

レイアウト図

図を参考に、LT8609Aでのレイアウト設計を行う際に重要となる、目指すべきポイントについて紹介します。

 

1.Cin(入力コンデンサー)は入力ピンの近くに配置すること

  入力のホットループはもっとも電流変化が大きいため、入力コンデンサーはできるだけICのすぐ近くに配置することで寄生のインダクタンス成分、ノイズを抑えることができます。

 

2.インダクターなどの周辺部品は同じ面(表層)に配置し、ビアを介さず太く短い配線で接続すること

  ビアを介すと寄生インダクタンス成分が増加してしまうため、ノイズが発生しやすくなります。表面で直線的に接続することで、安定した動作に繋がります。

 

3.SW(スイッチング)ノードは太く短くすること

  最短距離で太く配線することで、EMIノイズの低減に繋がります。

 

4.Cout(出力コンデンサー)もなるべく近くに配置すること

  出力コンデンサーが遠いと、負荷応答性の低下やリップルノイズ増加の原因となります。

 

5.GNDを適切に

  ICのGNDパッドから直下で基板のベタGNDに繋げることが望ましいです。

 

 

以上のポイントを抑えたうえで、私が実際に設計した基板を見てみましょう。

私が実習で制作した基板レイアウト

ここからは、私が実際に設計した基板レイアウトについて紹介します。以下の図の赤枠部分が電源基板です。(汚くてすみません、、、)

月山習が実習で制作した基板レイアウト(表)

電源基板(表面)

月山習が実習で制作した基板レイアウト(裏)

電源基板(裏面)

次に、この基板レイアウトの具体的な問題点について見ていきます。

レイアウトの問題点

 

入力コンデンサーが裏側にある

 入力コンデンサーがICから離れていることにより、寄生のインダクタンス成分、ノイズの増加を引き起こします。

 

スイッチングノードの配線が細く、長い

 寄生インダクタンス成分が増加し、ノイズも大きくなります。

  

GNDの配線が細く、長い

 ICのGNDパッドから基板のベタGNDまでの配線経路が細く、長いです。こちらも寄生インダクタンス、ノイズ増加の原因となります。

 
前述したレイアウト設計のポイントに対する基板の問題点を挙げました。

 

今回の実習ではユニバーサル基板を用いて実装したため、どうしても理想通りのレイアウト設計を実現するのは難しい部分もありました。特に、電源ICDIP変換基板に実装した上でユニバーサル基板にはんだ付けをおこなう構造だったため、入力コンデンサーやインダクターをICの直近に配置することができませんでした。またLT8609AにはGNDピンがなく、放熱パッドのみがICGNDでした。

そのため、GNDパッドからDIP変換基板のピンを経由し、ユニバーサル基板のベタGNDに繋ぐという形を取るしかなく、ベタGNDまでの配線経路が長くなってしまいました。さらに基板のスペースの関係上、部品の一部を裏面に配置し、ビアを介した配線となってしまいました。これらレイアウトにおける問題が、理想とはかけ離れた波形を引き起こした要因なのではないかと考えております。

実習の総括

今回私が制作した基板は理想的ではなく、前回のブログで紹介した通り安定した出力ではなかったです。ただ、実習期間中は何とか動かすことができました。

今回の制作実習では“迷路脱出マシン”を制作し、実際に走行させることが出来ました。決して綺麗な形ではないですが、簡単に紹介させていただきます。

車体の写真を以下に添付します。

月山習が実習で制作した迷路脱出マシンの車体(上から見た図)

車体(上から見た)

月山習が実習で制作した迷路脱出マシンの車体(横から見た図)

車体(横から見た)

次に、実際の走行動画です。壁を避けながらゴールまで到達することができました。

走行動画画像

実習をとおして

制作期間は3カ月あったのですが、何とか形にできて良かったなと思っております。達成感はありつつも、何処か不完全燃焼な部分もありました。0からの設計の難しさをとても感じた実習でした。特に電源設計に関しては満足できるクオリティーではなく、データシートも読み込めていなかったなと思います。

そんな私の失敗談を含めて、本ブログでは3回に分けて電源設計の基本的な解説をおこなってきました。ここまで読んでいただいた方々ありがとうございました。私の記事が、電源ICの設計を行う上で何か参考になれば幸いです。まだまだ未熟なFAEの私ですが、日々精進して参ります。

またどこかでお会いしましょう。

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