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1チップであらゆる障害から電源システムを守る ― アナログ・デバイセズの「eFuse」

電源システムの保護が求められるアプリケーションでは、「eFuse(電子ヒューズ)」と呼ばれる保護デバイスの採用が進んでいます。しかし、実際の設計にあたっては、「なぜ保護デバイスを使う必要があるのか」、「ディスクリート構成と比べて、どのようなメリットがあるのか」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

ここでは、電源システムにおける保護の重要性と設計上の課題、eFuseの特長やメリットを解説します。最後に、具体的なeFuse製品も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

ADIのeFuse

電源システムにおける保護の重要性と課題

産業用オートメーションやビル・オートメーション、モーション制御、プロセス制御などのアプリケーションでは、生産性と収益性が重要です。その鍵となるのが稼働時間(アップタイム)で、メンテナンス、人的ミス、装置の故障が原因でダウンタイムが発生します。ダウンタイムは修理コストや生産性の低下を招き、収益に悪影響を与えます。メンテナンスや人的ミスによるダウンタイムは防げる場合と防げない場合がありますが、装置の故障の大半は適切な対策で防ぐことが可能です。

電源システムは、落雷や過電流、静電気など、さまざまな電気的ストレスにさらされます。これらが原因で、性能が低下したり、回路が損傷したりすることがあります。こうした事態を防ぐためには、適切な保護機構の設置が不可欠です。

 

保護が求められるアプリケーションの例

以下は、電源システムの保護が重要視されるアプリケーションの例です。

  • 自動車・輸送:車載バッテリー(12V、48V)、輸送管理システム
  • 工業:N+1の冗長電源、±48V分散電源システム、テスト・測定機器、モーション制御、産業用オートメーション
  • 航空宇宙・防衛:アビオニクス装置、各種アプリケーションの電源ユニット
  • 通信:データセンター、通信インフラ装置、PoEシステム
  • 医療:治療機器、診断装置、測定機器

 
特に、常時稼働が求められるアプリケーションや人体に関わる用途では、電源を確実に保護することが必須です。

電源の保護が必要な箇所

電源システムで保護が必要なのは、入力部・出力部・基板内の3箇所です。このうち、特に重要なのが入力部と出力部です。

■ 入力部の電源保護

入力部では、過電圧(OV)や低電圧(UV)に対する保護、電流制限、突入電流の制限、逆電圧に対する保護が必要です。また、供給元の電力に余裕がない場合は、過剰な入力を防ぐための電力制限が求められます。

複数電源を使用するシステムでは、ORingや冗長化によって電源を切り替えます。このとき、高電圧の電源から低電圧の電源への逆流を防ぐために、逆電圧保護が重要となります。

■ 出力部の電源保護

出力部では、過負荷やコネクター上の短絡に対する電流制限、高電圧のレールへの短絡に備えた逆電圧保護が求められます。複数系統に電力を供給する場合は、配電を制御するために、負荷スイッチ、ORing、電力制限が必要となります。

こうしたさまざまな保護が、電源システムの安全性や信頼性を高めるために不可欠です。

ボード内で電源の保護が必要な箇所
ボード内で電源の保護が必要な箇所

電源システムにおける3つの障害

電源システムで発生する障害は、電圧・電流・温度の3種類に分けられます。

■ 電圧

入力電圧は、落雷やヒューズの溶断、静電気、外部要因での短絡などによって、正常範囲を超えることがあります。

■ 電流

電流に関する障害には、過負荷や短絡があります。過負荷はシステムの能力を超える動作が求められた場合に発生し、短絡は部品の欠陥や誤操作によって起こります。短絡の発生は、基板の致命的な損傷や発火につながる可能性があります。

■ 温度

通常、システムが適切に設計されていれば、温度に関する障害は発生しません。しかし、過負荷の継続やファンの故障、吸気口や排気口の閉塞、エアコンの故障などが原因となって、想定温度を超えることがあります。

これらの障害は頻繁に発生するため、設計時の考慮が不十分だと、検証段階でテストケースをクリアできなくなる可能性があります。また、運用中にダウンタイムを引き起こす原因にもなります。トラブルを未然に防ぐためには、電圧・電流・温度のさまざまな障害に対応できる保護機構が必要です。

電源システムにおける3つの障害
電源システムにおける3つの障害

設計上の課題:小型化・短納期・コスト削減をどう実現するか?

従来は、ディスクリート部品や単機能の保護ICを組み合わせて、電源を保護していました。しかしこの構成では、1つの電源システムに数十個もの保護部品が必要になるケースもあり、設計の複雑化やソリューションサイズの拡大、コストの増加などの課題が生じます。また、部品管理の煩雑さや調達リスクも高まります。

一方、近年はソリューションの小型化や開発期間の短縮、コスト削減がますます求められるようになっています。部品を多く使う従来の設計手法では、こうした要求に対応することが困難です。

そこで注目されているのが、あらゆる保護機能を1チップに統合したeFuse(電子ヒューズ)です。eFuseFETを内蔵し、電流検出・制限、電力制限、サーマル保護、過電圧(OV)・低電圧(UV)保護など、多様な機能を搭載しています。UL規格やIEC規格に準拠したデバイスもあり、安全性をスムーズに確保できます。さまざまな制約の中で信頼性を高めなくてはならない現代の電源設計には、eFuseの活用が有力な選択肢です。

eFuseと同等の保護をディスクリートで組もうとすると・・・
ディスクリートで組もうとすると最大40個も・・・

eFuseの特長とは?多彩な保護機能を1チップに集約

eFuseでは、電源システムに必要な保護機能が1チップに集約されています。これまでは多くの部品で構成していた保護機能を、1個のICで実現できるため、設計の簡素化や部品点数の削減に貢献します。

さまざまな保護機能を1チップに集約できるADIのeFuse
さまざまな保護機能を1チップに集約

eFuseを利用するメリット

eFuseを利用することで、以下のようなメリットが得られます。

■ 稼働時間の増加

あらゆる障害から電源システムを保護できるため、稼働時間を増加できます。また、ヒューズが壊れることで回路を遮断していた従来の構成とは異なり、eFuseはFETのオン・オフによって回路を遮断します。部品交換が不要で、繰り返し使用できるため、迅速に復旧でき、ダウンタイムを削減できます。自動復帰機能を備えたeFuseであれば、異常が解消された時点で自動的にアプリケーションの動作を再開することも可能です。

■ 設計効率の向上

保護機能を1チップに集約できるため、設計の簡素化や部品削減に有効です。小型化や開発工数の削減も無理なく実現できます。

■ 信頼性と品質の向上

UL規格やIEC規格などに準拠したeFuseを選択することで、安全性要件にスムーズに対応できます。信頼性や品質を効率的に高めることが可能です。

 

 

eFuseを活用することで、小型化、短納期、コスト削減といった開発要件に対応しながら、安全性や信頼性を確保し、稼働時間の向上を実現できます。

アナログ・デバイセズのeFuse 「MAX17616/A」と「MAX17617/A」

アナログ・デバイセズのeFuseから、最大75Vの入力電圧に対応できる「MAX17616/MAX17616A」および「MAX17617/MAX17617A」をご紹介します。

特長

共通の特長として、以下の点があります。

● 最大75Vの高電圧に対応し、幅広いアプリケーションで活躍

3V~75Vの広い入力電圧範囲に対応。12V系・24V系から、48V系・54V系といった高電圧アプリケーションまで幅広く活用できます。高電圧化が進むデータセンターや、産業用オートメーション、モーション制御などの用途でも採用されています。

● 1チップに保護機能を集約し、ソリューションサイズを65%以上も削減

1チップに豊富な保護機能を備えており、ディスクリート構成と比べて、ソリューションサイズを65%以上も小型化できます。例えば、FET内蔵、電流検出、サーマルフォールドバック、電力制限、電流監視、GND喪失保護、外部FETを駆動する統合ゲートドライブなどを搭載しています。

● 出力電圧クランプにより、コンデンサーを90%以上も削減

プログラム可能な出力電圧クランプ機能を内蔵しています。これにより、電圧変動を吸収させるコンデンサーの数を90%以上も減らすことが可能です。大幅な部品削減とソリューションの小型化に貢献します。

● PMBusインターフェース対応で、柔軟な設計が可能

PMBusインターフェースに対応しており、電圧・電流のリアルタイム監視や、電流制限モードの選択、突入電流制限や短期過電流保護などの柔軟な設定が可能です。障害発生時の原因分析も、外付けの監視用デバイスを追加することなく、PMBusインターフェースを利用して実施できます。

型番による機能の違い

以下の表は、4つの製品の違いをまとめたものです。選定の際には、太字部分が特に重要です。

MAX17616

MAX17616A

MAX17617

MAX17617A

入力電圧範囲(逆電流保護なし)

3V-80V

入力電圧範囲(逆電流保護あり)

3V-75V

逆流保護(外付けnFET使用)

あり

電流制限

あり

サーマル・フォールドバック電流制限

あり

入力サージ保護

OVLOのみ

あり(出力電圧クランプ)

OVLOのみ

あり(出力電圧クランプ)

UL1310 Class-2電力制限

なし

あり

PMBus

あり

なし

テレメトリー機能

あり

なし

故障診断機能

あり

FLAG Pinで対応

電流モニタリング

あり

入力UVLO

あり

出力UVLO

あり(PMBusにより)

あり

パワーグッド

あり

接地喪失保護

あり

  • 末尾に「A」が付く製品(MAX17616A, MAX17617A)には、プログラム可能な出力電圧クランプ機能が搭載されています。この機能により、入力サージ保護が可能になります。
  • MAX17616/MAX17616Aは、PMBusインターフェースに対応しており、テレメトリー機能(リアルタイム監視)や故障診断機能を備えています。
  • MAX17617/MAX17617Aは、UL1310クラス2の電力制限機能に対応しています。 いずれも最大75Vの入力電圧、逆電圧・逆電流保護、電流制限、サーマル・フォールドバック機能を搭載しています。アプリケーションの要件に応じて、最適な製品を選択することが可能です。

ピン構成

以下に、4つの製品それぞれのピン構成図を示します。先ほど紹介した機能の違いが、ピン構成にも表れています。選定の参考にご覧ください。

MAX17616/AとMAX17617/Aのピン構成比較

今回は、電源システムに必要な保護機能を1チップに集約した保護デバイス「eFuse(電子ヒューズ)」について、重要性やメリットを紹介しました。アナログ・デバイセズのeFuse製品「MAX17616/MAX17616A」および「MAX17617/MAX17617A」は、豊富な機能を備えており、電源設計の効率化やダウンタイムの削減に貢献します。

 

いずれも評価ボードをご用意していますので、ぜひ一度お試しください。

MAX17616EVKIT

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