【無料公開】振動計がすぐに開発できる!加速度センサーを使ったリファレンスデザイン

物体の傾きや振動を検知する加速度センサーは、小型化、低消費電力化が進み、構造ヘルスモニタリングや地震観測など、さまざまな場面に活用が広がっています。

  

しかし、加速度センサーの取扱いには測定対象の振動特性に合わせた特有のノウハウが要求されるため、「微細な振動にもセンサーが反応して、扱いが難しい」「どの加速度センサーが自社のアプリケーションに適しているのかわからない」「手っ取り早く、必要なデータを取って評価したい」など、技術者の悩みは尽きないのではないでしょうか。

  

ここでは、アナログ・デバイセズ社の高精度3MEMS加速度センサーを搭載した、振動計がすぐに開発できるリファレンスデザインを紹介します。振動計を活用した新たなアプリケーションをスピーディーに開発したい方、加速度センサーによる振動計の実現に悩んでいる方は、ぜひお読みください。

振動計が活躍するユースケースとは?

振動計はどのようなアプリケーションに活用されているのでしょうか?

代表的なユースケースとして、次のような場面が挙げられます。

(1)構造物の健全性診断(構造ヘルスモニタリング)

ビル、工場、橋梁といった大型構造物にセンサーを設置して振動を計測し、そのデータを解析することにより、見えない損傷や劣化を診断・予測します。損傷をいち早く検知して、安全性確保や予防保全に役立てることができます。

<例>

・建物固有の振動の計測による、性能評価や損傷診断

・橋などのインフラの欠陥を早期検知する老朽化監視システム

(2)地震観測

観測地点に振動計を設置し、地震や地すべりのデータを取得します。防災研究に活用するほか、建物などの被災状況を即時に解析して、その場にとどまるべきか、待避すべきかといった避難行動を判断する目的にも活用されています。

<例>

・地震や地すべりの定量的観測

・地震発生後の振動モニタリングによる建物の損傷診断

・避難行動の判断支援アプリケーション

(3)機器や機械の状態監視

土木建機や農業機械、産業用機器などに取付けて、状態を監視します。振動による予知保全に活用したり、ロボットの姿勢を検出したりと幅広く普及しつつあります。

<例>

・建設機械、農業機械などの水平維持装置

・産業用ロボットの姿勢検知システム

・傾斜計を使用した無人航空機の航行システム

    

従来、振動測定器は大型・高価で、気軽に利用できるものではありませんでした。しかし、近年は傾きや振動を小型・低消費電力の加速度センサーで正確に取得することが可能になり、さまざまなところに取付けて、ネットワーク経由でデータを集約・活用する動きが活発化しています。

振動計の開発に必要な加速度センサーがすぐに使いこなせるリファレンスデザイン『MEMS Acc Logger』

こうしたアプリケーションの実現には、どのような課題があるのでしょうか?

その1つが、高精度な加速度センサーを取扱うことの難しさです。

 

例えば、アナログ・デバイセズの3MEMS加速度センサー「ADXL355」は、傾き角度検出0.1度という高精度で、業界最先端の温度特性・ノイズ耐性に優れ、屋外など過酷な環境でも安定した測定が可能です。他にも、フルスケールレンジ±2g ~±8gの出力、1 Hz~1 kHzの間で選択可能な周波数デジタル・フィルタリング、200µA以下の消費電流で25µg/√Hzの低ノイズ密度などの特長を備えており、高額なデバイスと同等の性能を、より少ない消費電力、部材費で実現します。

※加速度センサー「ADXL355」について、詳細は以下をご参照ください。


一方、高精度ゆえにチップに微細な振動が加わるだけで、取得できるデータが変わってしまうため、ノウハウのない方が取扱うのはハードルが高い側面があります。また、センサーの検知内容を、上位アプリケーションで使えるデータとして抽出するためには、ソフトウェアによる複雑な制御が必要で、評価環境の構築にも時間がかかります。

 

アプリケーション側の開発者からは「もっと手軽に加速度センサーを評価したい」、組込み側の開発者からは「加速度センサーから振動計を実現するのが難しい」といった声が寄せられてきました。

 

そこで、このたびマクニカが提供するのが、「MEMS Accelerometer logger」リファレンスデザインです。

3軸MEMS加速度センサー「ADXL355」とNXP社製マイクロコントローラー「LPC55S28JEV98」を1枚の基板上に実装し、どこにでも簡単に取付けて、加速度データを取得・評価することを可能にしました。

MEMS Accelerometer loggerの特徴

・高精度3軸MEMS加速度センサー「ADXL355」搭載
  - ノイズ耐性(全軸) 25μg/√Hz
  - 低消費電力
  - 20 bit ADC 3軸デジタル出力
  - 測定範囲 ±2g、±4g、±8g
  - 温度特性 0.15mg/℃
・32GByte大容量ストレージeMMCメモリー内蔵
・800mAhリチウムポリマー電池搭載
・USBでPC接続通信、BluetoothでAndroid接続通信
・マイコン評価ボードとしても活用が可能

MEMS Accelerometer logger 活用メリット

・評価用ハードウェア、ソフトウェアをわざわざ構築する必要がなく、高精度加速度センサーから正確なデータを取得して、実環境に近い環境やサイズ感ですぐに評価できる

・ハードウェア、ソフトウェアのリファレンスデザインから、高性能な振動計を短期間で実現できる

・サンプルアプリケーションのコードを参照して、自社アプリケーションの開発期間も大幅に短縮できる

 

お客さまのさまざまなアプリケーションに応じて、システム評価や開発を加速できるリファレンスデザインです。

初期費用なし!充実した開発環境

MEMS Accelerometer loggerは、無償の開発環境とツールを利用して構築しています。ライセンス不要、初期費用なしで、加速度センサーを開発・評価できます。 

無償で充実した開発環境

・NXP社ソフトウェア統合開発環境(IDE)
・NXP社ソフトウェア開発キット(SDK)
・FreeRTOS

外観仕様

ハードウェア仕様

ハードウェアブロック

ソフトウェアブロック

実践でもすぐに使える!サンプルアプリケーションの提供

サンプルとして、PCおよびAndroid向けアプリケーションをご用意しています。お手持ちのPCAndroid端末とUSBBluetooth経由で手軽に接続し、加速度センサーで計測した値をリアルタイムに表示できます。

 

<機能>

・加速度センサー動作モード設定

XYZ軸グラフ表示

XYZ軸数値表示、Raw表示

FFT解析および結果表示(各XYZ軸)

・傾き角度計算、表示(各XYZ軸を基準としたpitch/roll

CSVファイル保存(軸・FFT・傾き角度・タイムスタンプ・温度)

 

実アプリケーションに近いサンプルコードを提供していますので、ご自身のアプリケーション開発の参考としても大いに活用していただけます。

 

<サンプルコード例>

・加速度センサーデータからのFFT解析

・傾き角度検出

・ロギング

・キャリブレーション

FIFO使用方法

など

評価用PCアプリケーション画面

評価用Androidアプリケーション画面

設計データを無料公開!

 

MEMS Accelerometer loggerを有効活用して、開発をスムーズにスタートしませんか?

ハードウェア設計資料やサンプルソフトウェアを申込みフォームに記載いただければ、無料でダウンロードしていただけます。

まずは下のボタンから、ぜひダウンロードしてください。

 

※ご希望の方には、キットの貸し出しやソフトウェア設計資料もご提供しています。お気軽にお問い合わせください。

加速度センサー入門シリーズ

また、加速度センサーの開発にお悩みの方のために、マクニカでは【加速度センサー入門】シリーズで、アナログ・デバイセズの加速度センサーの基本的な使い方から応用方法までを徹底解説しています。

「加速度センサーが簡単に理解・習得できる」と好評です。ぜひご覧ください。

アプリケーション例

・建物、構造物の損傷診断
・工事現場における傾斜測定

お問い合わせ

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