電気化学分析をもっと小型に、もっと簡単に
「電気化学分析は、本格的な高額の装置を持っていないとできない」従来のポテンショスタットやガルバノスタットを思い浮かべて、そんな風に諦めていたかたも多いかもしれません。
ラックマウント型からデバイス型へ。今回ご紹介する「EmStat pico」は、アナログ・デバイセズ社とPalmSens社の共同設計により開発された、小型ポテンショスタットモジュールです。オペアンプを中心に、進化を続けるアナログ・デバイセズ社のICを採用することで、電気化学測定をよりコンパクトに、簡単に実現することのできるシステム・オン・モジュール型の製品を開発しました。
今回は、「EmStat Pico」の持つ2つの特長を紹介します。
1. 従来のポテンショスタット精度はそのままに、小型化・低価格を実現
2. 開発時間を大幅短縮できる、強力で簡単な専用の開発環境
1. 従来のポテンショスタット精度はそのままに、小型化・低価格を実現
EmStat picoは、小型化が要求される時代のニーズに応え、18mm×30mmの中にポテンショスタットに必要とされる機能をすべて内蔵したシステム・オン・モジュール型の製品です。システムへの組み込みは、4本のワイヤ(5V、グラウンド、送信、受信)だけでマイクロコントローラーベースのシステムに組み込むことができるように設計されています。
たとえば、Arduino(アルドゥイーノ)MKRをマスター・コントローラーとして使用したり、USB-UARTコンバーターを使用してPCとのインターフェースを取ったりできます。いずれの例でも、サイクリック・ボルタンメトリー(CV)などの一般的な電気化学測定用のスクリーン・プリント電極(SPE)を使ってEmStat Picoを接続しています。
2. 開発時間を大幅短縮できる、強力で簡単な専用の開発環境
EmStat Pico開発ボードは、SOMを接続できるようになっており、リニア・スイープ・ボルタンメトリー(LSV)、方形波ボルタンメトリー(SWV)、あるいは電気化学インピーダンス分光法(EIS)といった標準的な電気化学測定機能を、最小限の開発時間と労力で容易に製品に組み込めるので、学習曲線のプロセスを省き、開発時間を短縮することが可能となります。
実験室やテスト・ベンチに使用する場合は、PSTrace PCソフトウェアを使うことでUSB接続を介してPCからEmStat Picoを操作することができます。
OEMアプリケーションや実際のシステムに組み込む場合は、MethodSCRIPT™ EmStat Picoスクリプト言語を使ってUART経由でEmStat Picoを制御することができます。
この独自のスクリプト言語により、人間が解読可能なスクリプトでEmStat Picoをプログラムして、電気化学技術による機能を実行したり、ループ、SDへのデータ・ロギング、デジタルI/O、補助的な値の読出し(例えば温度)、スリープや休止といった他の機能を実行することができます。メソッド・スクリプト・コードは、PSTraceで生成するか、手動で記述することができます。
Sensit Smartを使った電気化学測定のデモ動画
EmstatPicoをコアに開発された「Sensit Smart」は、スマートフォンにそのまま接続、スマートフォン用APPを使って電気化学を操作・測定することができます。こちらの動画では、「Sensit Smart」を使ってコーヒーの成分分析デモをおこなっております。
EmStat Picoの主な機能
・デュアルの2電極方式(2×WE、2×RE、2×CE)
・EIS(Electrochemical Impedance Spectroscopy)周波数レンジ:0.016Hz~200kHz
・フルスケールDCポテンションレンジ:-1.7V~+2V
・電流レンジ:100nA~5mA
・最大出力電流:±3mA
・超低消費電力:5μA(Hibernateモード時)
・多様な内蔵された機能
- クロノアンぺロメトリー機能(CA)
- ポテンショスタット機能(OCP)
- 電気化学インピーダンス分光方法(EIS)
・さまざまな計測モード
- スイープ電圧モード、パルス電圧モード、定電圧モード
- 微小電流計測モード
- インピーダンス計測
アプリケーション例
・家電などの環境センサー
・食品安全検査器
・薬物検出
・血糖値測定
・ガス検知
・腐食検出
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