CN038x 高精度アナログ/デジタル変換: ADI社の便利な実用回路

アナログ・デバイセズ の Circuits from the Lab ®リファレンス・デザインは、アナログ・デバイセズの熟練エンジニアが、さまざまな分野の最終製品を目指して作り込んだ基板、レイアウトも含む全ての設計情報、ソフトウェアなどはもちろん、性能評価リポートも含んだソリューションです。

Circuits from the Lab (CFTL) は、まるで自社で試作した基板と評価レポートのように、お客様のプロジェクトの性能検討、時間/コストの低減に貢献します。

Circuits from the Lab リファレンス・デザインでは、以下の資料を提供しています。

  • 性能評価も含む包括的なドキュメント
  • BOM、ガーバーデータを含む全ての設計データ、およびソフトウェア
  • 出荷時テスト済みのハードウェア

この記事では、低消費電力、低ノイズ、全機能内蔵の24ビットA/Dコンバーター AD7124-4を使用したアナログ/デジタル変換のリファレンス・デザインをご紹介します。

CN038x 高精度アナログ/デジタル変換回路の特徴

温度や圧力などの情報をシステムに取り込むためには、それらの情報をアナログ値からデジタル値に変換する必要があります。

そして正確なデータの取り込みにはセンサーだけでなくアナログ・フロント・エンドも高精度である必要があります。

高精度なアナログ/デジタル変換には高分解能のA/Dコンバーターが使用されますが、そこにはノイズやドリフトなど様々な設計上の課題があります。

Analog Devicesでは24ビットA/Dコンバーター AD7124-4を使用したリファレンス・デザインを用意しており、様々な設計上の課題にお応えします。

この記事では、AD7124-4の以下の3つのリファレンス・デザインについて解説します。

  1. CN0381/CN0383 4線式および3線式RTD測定システム
  2. CN0382 温度・圧力用4-20mAトランスミッター
  3. CN0384 熱電対測定システム

24ビットの分解能とは?

リファレンス・デザインの解説に入る前に、24ビットがどれ程の分解能か考えてみましょう。

フルスケールを1.0とすると、LSB(最も小さな値)= 1/2 ^𝑛= 1/2 ^ 24 = 1 / 16,777,216 = 0.000,000,059,604、...です。

約3900kg のトラック

例えば、トラックの重量が約3,900kgだとすると、24ビットで変換した場合のLSBは0.244gになります。

つまり、24ビットの分解能があればトラックの運転手が噛んでいるガムが1枚か半分かを知ることができます。

低消費電力、低ノイズ、全機能内蔵の24ビットA/Dコンバーター AD7124-4とは

AD7124-4は低消費電力、低ノイズ、全機能内蔵のアナログ・フロントエンドで、高精度計測アプリケーションが対象です。

この製品には24ビットΣ-Δ A/Dコンバーター (ADC) が内蔵されており、4個の差動入力、あるいは7個のシングルエンドまたは擬似差動入力に設定することができます。低ノイズ・ゲイン段があるので、小振幅の信号でもA/Dコンバーターに直接インターフェースできます。

AD7124-4の詳細に関しては[AD7124シリーズ] Σ-Δ型でありながら低消費を実現させたA/Dコンバーターでも紹介されています。

1. CN0383 4線式および3線式RTD測定システム

RTDは工業用アプリケーションの温度測定によく使用されるセンサーです。

白金、ニッケル、銅のような純粋な金属でできており、温度変化により抵抗値が変化します。
RTDは、他の種類の温度センサーと比較した場合、高精度と優れた安定性があります。
4線式または3線式の接続を使用すると、長いケーブルを使用する際の抵抗による誤差を排除できます。

CN0383は4線式または3線式のRTD測定システムのリファレンス・デザインです。
誤差は全温度範囲で1℃以下で、オプション機能でパワーダウンが可能です。
CN0383はAD7124-4の評価ボード EVAL-AD7124-8SDZとEVAL-SDP-CB1Zで構成されています。

EVAL-AD7124-8SDZ ブロック図(出典:EVAL-AD7124-8SDZ User Guideより抜粋)

AD7124-4はアナログ入力回路の構成を変更することで、4線式と3線式の入力に対応します。
また、評価ボードのSPI通信を使用してソフトウェアも4線式と3線式に変更が可能です。

4線式RTDのアナログ入力構成(左)、3線式RTDのアナログ入力構成(右)
AD7124-4 EVAL+SOFTWAREによる設定変更

2.CN0382 温度・圧力用4-20mAトランスミッター

CN0382は温度センサー (RTD、熱電対) やブリッジ圧力センサーなど、さまざまなタイプのアナログ・センサーに接続できる絶縁型スマート・フィールド計測器です。

この計測器は4 mA ~ 20 mA のアナログ出力とHART® (Highway Addressable Remote Transducer) インターフェースを介して通信をおこないます。
HART®は、ピーク toピーク 1 mA の周波数シフトキー (FSK) 信号を、標準的な 4 mA ~ 20 mA のアナログ電流信号上で変調する双方向デジタル通信です。
HART®インターフェースを使用すれば、温度や圧力制御などのアプリケーションに必要なリモート・キャリブレーション、フォルト調査、プロセス変数送信といった機能を実現することができます。
CN0382はのハードウェアはDEMO-AD7124-DZで構成されています。

DEMO-AD7124-DZ ブロック図(出典:CN0382 Circuit Noteより抜粋)

3.CN0384 熱電対測定システム

CN0384の構成

CN0384は、高度に集積化された高精度・低消費電力の熱電対測定システムです。

24ビット分解能のA/Dコンバーター AD7124-xは低ノイズのプログラマブルゲインアレイ (PGA) を内蔵しているため、小振幅の信号をADCに直接インターフェースすることができます。

このシステムを使用した熱電対測定では、測定温度範囲-50°C〜+ 200°Cにわたってシステム全体の精度は±1°Cです。
また、AD7124-xは電源オプションにより、低消費電力電力のアプリケーションにも適しています。

CN0384はEVAL-AD7124-8SDZとEVAL-SDP-CB1Zで構成されます。

CN0384のブロック図(出典:CN0384 Circuit Noteより抜粋)

アプリケーション例

  • 高精度測定
  • 分析機器
  • 温度コントローラー
  • プログラマブル・ロジック・コントロー (PLC)
  • 分散型制御システム (DCS)
  • フィールド機器

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