メカニカルリレーからMEMSスイッチ "ADGM1004" へ検討すべき4つの理由

MEMSスイッチ "ADGM1004"の特長

ADGM1004 はアナログ・デバイセズ社が提供する単極4投 (SP4T) のMEMSスイッチです。
従来のメカニカルリレー(機械式リレー)と比較して小型、省電力、耐久性に優れています。

そのため、以下のようなメカニカルリレーの課題を解決する方法としてMEMSスイッチ ADGM1004 は最適なデバイスです。

  • メカニカルリレーはリレーサイクル寿命が数百万回に制限されるため、メンテナンスにかかるコストと時間を減らしたい
  • メカニカルリレーは起動速度がミリ秒単位と遅く時間がかかってしまう。起動速度を上げる方法を検討している
  • 複数のメカニカルリレーをカスケード接続すると基板面積も大きくなってしまい小型化する方法を検討している、アセンブリーの問題も解決したい
  • メカニカルリレーは帯域幅が狭いので使いにくい


ADGM1004 には、従来のメカニカルリレーに比べて以下の大きな特長があります。

  1. サイズが95%小さい
  2. スイッチング速度が30倍高速
  3. 消費電力が10分の1
  4. 信頼性が10倍高い


この大きな特長について、以下に解説します。

1. 従来のメカニカルリレーに比べて "95% 小さい"

ADGM1004 の大きさはわずか、5mm x 4mm x 1.45mm (LFCSP) です。一般的なメカニカルリレーと比較して大幅にサイズが小さいため、基板サイズを大幅に削減することができます。

ユーザーは ADGM1004 を仕様にあわせて以下の図のように配置することも可能です。そのため、複数のリレー構成が必要なATE(自動テスト装置)などに適しています。

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左: リレー構成例、右: ADGM1004 MEMS スイッチと代表的な電子機械式 RF リレーの比較

2. 従来のメカニカルリレーに比べて "30倍高速"

メカニカルリレーのスイッチング速度は約1,000usec になりますが、ADGM1004 のスイッチング速度は約30usec になるので、30倍高速になります。

また、ADGM1004 は高精度の0Hz/DC性能と13GHzまでの帯域をサポートしています。
そのため、メカニカルリレーの用途だけでなく、RF装置のスイッチング用途(アンテナの切替え)としても使用することができます。

以下の図は、0Hz~13GHzと広い周波数帯域に渡って信号損失が少ないことを示しています。

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ADGM1004 MEMS スイッチの RF 性能(10 MHz 未満は線形スケール)

3. 従来のメカニカルリレーに比べて "消費電力10分の1"

ADGM1004 はCMOS/LVTTL レベルの3.1〜3.3Vで動作します。消費電力は10mWと一般的なメカニカルリレーの消費電力10分の1で動作します。

そのため、システム全体の消費電力削減に大きく貢献することができます。

4. 従来のメカニカルリレーに比べて "信頼性が10倍高い"

メカニカルリレーが機械的に切り替えるのに対して、MEMSリレーは物理的に切り替えるため、耐久性(信頼性)が高く、信頼性に優れています。

ADGM1004 の寿命は10億サイクル以上です。スイッチング時間は標準で30μsec です。一般的なメカニカルリレーと比較して10倍の製品寿命を実現しています。

以下は2GHz、10dBm RF信号をホット・スイッチングした場合の寿命予測です。故障ポイントまでの平均サイクル数は約34億サイクルです。

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10 dBm の RF 信号のホット・スイッチングをおこなった場合の故障確率の対数正規分布。信頼区間(CI)は 95 %。

すぐに評価を開始できる "EVAL-ADGM1004" 評価ボード

ADGM1004 を簡単に評価するために EVAL-ADGM1004 評価ボードが用意されています。

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EVAL-ADGM1004 評価ボード

このボードを利用して、以下の手順で簡単にADGM1004 の評価を開始することができます。

STEP1 必要な機器を準備する

必要な機器は以下の3つです。

  • EVAL-ADGM1004 評価ボード 1台
  • 3.3V DC電源
  • ネットワークアナライザー 1台

STEP2 機器を接続する

以下の図のように機器を接続します。

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EVAL-ADGM1004 評価ボードの接続方法

STEP3 動作を確認する

下表に従って所望のチャネルを選択後、ネットワークアナライザーを使用して特性を評価することができます。

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設定一覧

アプリケーション例

  • メカニカルリレーの置換
  • ATE(自動試験装置):RF/デジタル/ミックスド・シグナル
  • ベンチテスト装置:RF/デジタル/ミックスド・シグナル
  • RF試験用計測装置
  • リコンフィギュラブル・フィルター/アッテネーター
  • 高性能RFスイッチ
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アプリケーション例

製品概要

型  名 ADGM1004
仕  様
  • 下は0 Hz(dc)まで完全に動作可能
    • オン抵抗:1.8 Ω(typ)
    • オフ時リーク:0.5nV(max)
  • -3 dB 周波数帯域幅
    • RF2、RF3:13 GHz (typ)
    • RF1、RF4:10.8 GHz (typ)
  • RF 性能特性
    • 挿入損失:0.45 dB (typ) @ 2.5 GHz
    • アイソレーション:24 dB (typ) @ 2.5 GHz
    • IIP3:67 dBm (typ)
    • 無線周波数 (RF) の電力:32 dBm(max)
  • 動作寿命:10億サイクル(min)
    • ハーメチック・シールされたスイッチ接触部
    • オン・スイッチング時間:30μs (typ)
  • 静電気放電 (ESD) 人体モデル(HBM)定格
    • RF1 ~ RF4とRFCピン:5 kV
    • 他の全てのピン:2.5 kV
  • 内蔵ドライバーにより外部ドライバーは不要
    • 電源電圧:3.1 V ~ 3.3 V
    • CMOS/LVTTL互換
    • パラレル・インターフェース
    • 各スイッチは別々に制御可能
  • 5 mm × 4 mm × 1.45 mmの24ピンLFCSPを採用

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