産業用モーターの信頼性に向上に大事なもの
産業用モーターを駆動に使用する制御回路は電気的に過酷な環境下でも高い信頼性で動作する必要があります。一方で、コントローラー側のICは低電圧化進んでおり、電気的ノイズに対してよりシビアな設計が必要になってきています。
ここではアナログ・デバイセス「ADUM4135」による産業用モーター制御の信頼性上げるたの機能を中心に解説してきますのでどのような設計思想が大事なのかがわかるようになります。すぐにADUM4135を評価するための環境についても紹介します。
特に
- モーター制御の信頼性を向上させたい
- IGBTインバーター回路を設計している
- これからモーター制御設計を検討している
- IGBT周辺回路について調査している
といった方にとって重要な情報です。
産業用モーター制御を取り巻く過酷な環境
産業用モーターの消費電力削減への需要とパワースイッチ周辺の低コスト化の実現によってパワーインバーターの正解ではスイッチング方針が主流になってきています。一方で、大電力のスイッチング回路からはノイズが発生しますが、いかにスイッチング速度を損なわずに耐ノイズ性能を向上させるかが課題となっています。
また、モーターを高精度に制御するためにはモーターからのフィードバック信号をコントローラー側への回路に送る必要がります。
しかし、コントローラー側のICは半導体プロセスの微細化により低電圧化がすすんでおりコントロールするマイクロプロセッサーのコア電圧は3.3vが増えています。
このため、パワーインバーター回路と制御回路はアイソレーターで絶縁するのが一般的です。
一般的に採用されているアイソレーターはフォトカプラーですが、問題もあります。
標準的なフォトカプラーは、
- 数ms程度の伝搬遅延
- 温度条件に依存
- 使用年数による変化
などの問題も抱えています。
モーター制御の信頼性を向上させる3つのポイント
1. モータードライバー側と制御回路側の絶縁対策
産業用モーターを駆動するインバーターはノイズが発生し、低電圧化が進む制御回路側のマイコンなどには大きな負荷がかかります。特にモーターを高い性能で駆動するにはフィードバック信号の信頼性が重要になります。
そこで、ノイズ対策としてインバーター側と制御回路側を絶縁する必要があります。従来、安全に絶縁する方法としてフォトカプラーが使用されてきました。しかし、フォトカプラーは伝搬遅延、温度条件、使用年数によってシステムレベルでの性能に影響がでるため、対策が必要です。
アナログ・デバイセズの「ADUM4135」はiCoupler® 技術を搭載したデジタルアイソレーターです。
iCoupler®技術はフォトカプラーのようにLEDやフォトダイオードを用いるではなくチップスケール・トランスによって高い絶縁性能と高速化を実現しています。
そのため、標準的なフォトカプラーではカバーできない低コスト化と高速動作を実現しています。
また、チップ・スケール・トランスにより、 チップの高電圧領域と低電圧領域間の制御情報の絶縁された通 信も可能です。チップの状態に関する情報は、専用の出力から 読み出すことができるため、制御回路のマイクロプロセッサーがインバーター側の状況を確認できます。

2. 寄生素子にる誤動作対策
アイソレーターでIGBTをドライブする場合、一般的にはハイサイドとローサイドで2つのIGBTのゲートに接続します。
ハイサイドIGBTがON担ったときローサイドIGBTのエミッターの電位およびローサイドIGBTのコレクターゲート感で寄生容量とゲート抵抗を通してローサイドIGBTのゲート電圧が上昇し、ローサイドIGBTの閾値を超えるとアーム短絡を引き起こすことで誤動作が起きます。
この誤動作を防ぐ対策方法は、
- ミラー容量が小さい素子を選択する
- ハイドパワー素子のゲート抵抗を大きくし、dv/dtを小さくする
- ローサイドパワー素子のゲート抵抗を小さくする
などの対策に工夫が必要ですが、評価に時間もかかります。
アナログ・デバイセズの「ADUM4135」は寄生素子対策としてミラー・クランプ回路を内部に搭載しています。
そのため、寄生素子の起因によるアーム短絡を回避することができます。

3. 短絡による不具合対策
IGBTを使用する場合には短絡耐量にも注意が必要です。出力側で短絡事故が発生した場合、IGBTの破損の危険があります。IGBTはオン抵抗が低いため短時間でも過大電流が流れるからです。
例えば、インダクター、モーター巻線、電源、グランドバスへの短絡がある場合には電流がIGBTへ過度に流れ込みIGBTが破損する可能性です。
そのため、IGBTを保護するには負荷回路などによる対策が必要になります。
アナログ・デバイセズのデジタル・アイソレーター「ADUM4135」は内部に非飽和状態を検出する回路が搭載されています。
IGBTに短絡が発生し、非飽和状態になった場合「ADUM4135」は2μs未満で非飽和状態を検出し、IGBTをオフにします。
この時、「ADUM4135」はRESETピンを通してマイクロプロセッサー側に状況を通知することができるため、システム全体での制御が可能になります。
上記3つの対策が重要ですが、次にアナログ・デバイセズが提供するソリューションについて紹介します。
ADUM4135をすぐに評価できるボード 「EVAL-ADuM4135EBZ」とは?
アナログ・デバイセズのデジタル・アイソレーター「ADUM4135」を評価したい場合、すぐに、評価するための評価ボード「EVAL-ADuM4135EBZ」が供給されてます。
EVAL-ADuM4135EBZには、すぐに手持ちのIGBT、MOSFETが評価できるように基板上にフィットプリントが用意されています。
- アイソレーター、IGBTドライブ確認
- 不飽和検出
- ミラークランプの動作確認
の評価が容易にできるようになっています。
この評価ボード「EVAL-ADuM4135EBZ」はアナログ・デバイセズのマイクロプロセッサー評価ボード「ADSP-CM408F EZ-Board」と接続して評価することができます。
「ADSP-CM408F EZ-Board」は ARMマイコンの評価ボードとしても使えます
この「ADSP-CM408F EZ-Board」はARM Cortex-M4が搭載されているためマイクロプロセッサー評価ボードとしても使用可能です。
特に、
- 浮動小数演算可能な 240Mhz ARM Cortex-M4
- 高精度デュアル16ビットADC
- 384KBのSRAMメモリー
- 2Mバイトのフラッシュ・メモリー
- CAN、SPI、UART、USB、イーサネット
- 直交エンコーダー・インターフェース
を搭載しているためモーター制御の評価用だけでなく、他のアプリケーションにも使用することができます。
アプリケーション例
- モーター駆動
- PVインバーター
- 電源
__1.png)
製品概要
型 名 | EVAL-ADuM4135EBZ ※アナログ・デバイセズ製品「ADUM4135」の専用評価ボードです。 |
機 能 |
|
商品の購入はこちら
メーカーサイト/その他関連リンク
ADUM4135 製品情報
EVAL-ADuM4135EBZ 製品情報
ADSP-CM408F EZ-Board 製品情報
お問い合わせ
本記事に関してご質問がありましたら、以下よりお問い合わせください。
アナログ・デバイセズ メーカー情報Topへ
アナログ・デバイセズ メーカー情報Topに戻りたい方は以下をクリックしてください。