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Developers Summit 2016 「ユーザ企業が語る、チーム開発をサポートする生産性や品質の向上を実現する ソフトウェア開発環境とは?」レポート

NTTアドバンステクノロジ株式会社(以下、NTT-AT) コア技術ソリューションビジネスユニット 金城雄氏より、「SIerは如何にしてGitHub Enterpriseを導入するようになったか」と題してご講演いただきました。

金城氏は、本業の傍ら社内の開発文化の改善を実施しているそうです。今回は、GitHub Enterpriseの導入効果ではなく、導入までの軌跡について、導入前の企業のみなさんに参考になる話をしていただきました。NTT-ATでは、現在GitHub Enterpriseを一部で導入中であり、本格導入はこれからのステータスではありますが、導入に際して一番重要な点として、「熱意重要」!理屈じゃなくて、熱意です!とおっしゃっていただきました。
ここ1年の出来事として、ギットハブ・ジャパンが設立され、マクニカネットワークスが国内総代理店になり、その結果日本語によるサポートがうけられるようになりました。また、とても大事なこととして日本の商慣習に対応したことをあげていました。これは、今まではクレジットカードでドル建て決済しか利用できなかったことから、日本円で支払ができるようになり、また請求書による支払いが可能になったことを意味しています。

Sierは如何にしてGitHub Enterpriseを導入するようになったか
ここ1年の出来事

NTT-AT社内で、金城氏は5年以上前から「GitHubは良いものだ」と言い続けており、偶然マクニカネットワークス社員が出席する会議に金城氏も同席し、同社のシステム担当者にマクニカネットワークスの社員よりも金城氏がGitHub Enterpriseのメリットを熱弁してくださった結果、同社は導入に向けた検討を開始することになりました。

検討を始めると費用対効果の説明を求められました。これは多くの企業で画一的に問われる質問ですが、難題と感じたそうです。GitHub Enterpriseでの開発への移行はパラダイムシフトに相当するので、既存の経験から未経験の効果は正確には導き出せないと考えました。また、開発者同士のコラボレーションやイノベーションを事前に予測し数値化する事も困難です。GitHub Enterpriseを使う開発者の立場からすると、GitHub Enterpriseを業務で使うと“こういう良いことがある”という期待を持つことはできますが、導入を決める側(決裁権限がある側)からすると、普段開発に携わらないのでGitHub社が発明したプルリクエスト機能を聞いたことが無かったり、そもそもgitを知らないという場合もあります。そこで金城氏が説明する時に一番大切に伝えたのは、導入後実際に使用する立場のエンジニアの熱意でした。

熱意あるのみ

導入の際に立ちはだかる3つの壁がありました。1つ目は、全社的に社内システムがSVN(Subversion)を中心に連携するようになっていたので、なかなかgitに移行ができなかったこと。2つ目は、GitHubを理解してもらうこと。3つ目はGitHubのオンプレミス版であるGitHub Enterpriseの導入に進めることです。これらを、社内の協力者とともに1つずつ壁を突破していきました。金城氏が社内会議でgit、GitHub、GitHub Enterpriseについて話して下さったこと抜粋させていただきました。

git
GitHub
GHEは如何にしてGitHub Enterpriseを導入するようになったか

さらに、GitHub Enterpriseが社内に及ぼす良い影響として、3つの点でまとめてくださいました。

1つ目は、開発プロセスの変革です。アジャイル開発やスパイラル開発が流行っていても、長期間ウォーターフォール開発を行っているとなかなか抜け出せません。GitHub Enterpriseを導入することで、どの開発スタイルにも対応しやすくなります。また、開発プロセスを変更可能なプロジェクトから順次変わっていける環境になります。2つ目は、社内文化の改革です。協力会社とのウォーターフォール開発はコードのブラックボックス化を招くケースがあります。そのコードがどういう理由で積みあがってきたのか判断できないので、改修や改良が自社ではできずに、協力会社に再度お願いすることになってしまいます。そうなると、自社で技術者が育たないという問題が発生します。そのため、今後協力会社任せではなく、自分たちでコードに責任を持つ文化にしていくことを期待しています。3つ目は、パラダイムシフトです。GitHub Enterpriseの導入は現在の開発スタイルの効率化ではなく、現在の文化や開発スタイルを変えること自体が効果の一つだと考えています。

 

最後に、開発を行っている人と導入を決める立場の人に対して、アドバイスを頂きました。開発者の人にお話ししたいのは、GitHub Enterpriseの導入前に理解してもらえないのは社内の役割が違うので当たり前だと思ってください。そもそも、異文化コミュニケーションとほぼほぼ等しいので、アピールの仕方を理解してもらえないと嘆くのではなく、どうしたらGitHub Enterpriseを導入してもらえるのかを試行錯誤して話をしてみてください。導入を決める側の人にお話ししたいのは、社内で技術に詳しい社員の方に「GitHubってどういうもの?」「社内に導入したらどう思う?」と聞いてみて、その技術者の反応を見てほしいです。きっと目を輝かして話をしてくれると思います。NTT-ATでも社内で初めてGitHub Enterpriseを触った人が数名いますが、半年経たないうちに「もう戻れない」「戻りたくない」という状態になっています。GitHubは開発者のなかでは流行っているという段階ではなく既に広く普及しているもの。ただし、まだ経営者などの導入を決める立場では理解が進んでいない印象を受けています、と講演を締めくくりました。

まとめ(開発側向け)
まとめ(導入側向け)

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