~他人事ではない!!熱問題 基本の 「き」~

 

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メンター・グラフィックス社 山下様執筆の熱解析についての役立つコラム

第二回 熱の伝達のメカニズムを知っておこう

熱の問題を解決するには、熱を発生させない様にすれば一番簡単なのですが、製品のスペックを満足させるためには、ある程度の発熱は仕方ないことですし、逆に発熱の問題をクリアすることも良い製品作りには欠かせない要素だと思います。可能な限りの手段を総動員して熱の対策をしなければならなくなりますが、その際に熱がどの様な仕組みで伝わるのかを正しく理解していれば、限られた条件の下で熱の対策をする手助けになります。


熱の伝わり方は、次の3つがあります。
逆に言うと3つしか無いので、それぞれの特性をうまく利用すれば、発生した熱を効果的に排出するための方法を導き出す手助けになります。


・ 熱伝導 : IC からピンなどを通して、基板に直接熱が伝わること
・ 熱対流 : IC の表面から空気中に対流として熱が伝わること
・ 放熱 : 離れた場所にある2つのオブジェクトに温度差がある場合に、直接熱を伝えます。

 

 

 


少し言い方を変えると、温かい缶コーヒーの缶を直接触ることで熱を感じますが、これが熱伝導。
オイルヒーターで部屋が暖かくなるのは、温かいオイルヒーターに触れた空気が部屋の中で循環したからで、これは熱対流によるものです。太陽の光を直接浴びると暖かさを感じます。直接触れた訳でも、空気を通じて暖かさを感じたものでもないもの、これが放熱です。

 

 

 

 

基板上では、部品の大きさも熱を外に伝える性能に影響してきます。空気と触れている面積が大きければ、それだけ熱を放出しやすくなりますので、大きな部品の方が熱を放出する上では有利です。一方で、消費電力が小さい部品であっても表面積が小さければ、意外なほど高温になる可能性があります。
また、高温になる部品を密集して配置してしまうと、熱対流による放熱の効果が薄くなりますので、部品の配置時には、細かな配慮が必要です。

熱が高くなると機器の性能や寿命に影響が出てきます。「10℃ 2倍則」 と言う法則をお聞きになったことは無いでしょうか。温度が 2 倍に上がると、部品の寿命は半減するというものです。特に、電解コンデンサは熱に弱い部品です。故障率が上がることが無いように、しっかりとした対策が求められています。

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