~他人事ではない!!熱問題 基本の 「き」~

 

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メンター・グラフィックス社 山下様執筆の熱解析についての役立つコラム

第一回 熱解析はトレンドの卵

「熱解析に興味がある」、最近このような電気設計者が増えて来ています。高性能なデバイスを使用することにより消費電力は増え、機器の小型により基板は高密度化し、同じく機器の小型化により熱を逃がすためのスペースはより小さくなる一方で、熱を逃がすための部品はコストダウンを達成するために、出来るだけ使いたくないという状況があるのではないでしょうか。そのため設計者は問題を未然に防ぐための手段として「熱解析」というキーワードに興味を持ち始めているようです。

 

 

熱に対する問題はここ数年の間に突然浮上してきたものではありません。熱を解析するためのシミュレータの歴史も 20 年以上あります。超高性能なデバイスを複数使用した場合や、特殊な条件下で使用する場合など、以前は解析ツールの使用範囲が限られていたかも知ませんが、最近はコンシューマ製品などでもその対象となることが多くなりました。もし、熱対策で失敗をしてしまうと大きな損失につながる可能性がありますが、その例として有名なのが、2007 年に発生したゲーム機の不具合ではないでしょうか。

 

 

熱解析ツールは、これから発展していく分野だと私は予想していますが、現在の状況は、シグナルインテグリティが一部の解析専門職の担当者から、各電気設計者に広がっていった、その初めの段階と似ている様に思います。熱の問題が増えれば、熱解析専任者だけで全てをフォローすることは難しくなり、各電気設計者がその役割を担わなければならなくなるでしょう。そうなる前に、最低限の準備はしておきたいものですが、電気設計者の熱解析ツールに関する認知度はまだ低いように思われます。

 

 

今まで一言で熱解析と言って参りましたが、熱解析ツールはいくつかの種類に分けることができ、解析したい対象によって、使用する解析ツールも異なります。例えば、パッケージ単体、基板、それらを含んだ筐体の内部など、解析対象によって使用するツールも異なれば、使用する担当者も異なります。基板は、電気担当者、筐体については、解析の難易度のハードルが上がるので熱解析の専任者が使用する場合が多いようです。

 

 

 

 

伝送線路の問題については伝送線路解析ツール、EMI の場合にはルールチェッカーなど、その対象によって使用するツールは異なるように、熱解析でも問題になる対象によって、解析ツールを使い分けないと、個々の問題の原因究明は時間と労力がかかります。もし、電気設計者であれば、使用するのは基板用の熱解析ツールでしょう。基板用の熱解析ツールであれば、基板上で起こりうる熱の問題を事前に把握することができ、根本から解決をするための糸口にすることができます。この基板用の熱解析ツールがこれからのトレンドになるかもしれません。

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