Silicon Labs EFM32:低消費電力MCUの性能指標として、なぜアクティブ電流が重要なのですか?
MCUの消費電力を下げたい場合、間欠動作するようにソフト設計を行うのが一般的です。間欠動作とは、必要な処理が終わったらスリープモードに移行し、定期的に動作モードに復帰(ウェイクアップ)しては処理を行い、その処理が終わったら再びスリープモードに移行する、といった一連の動作です。MCUが処理を行わない期間に、消費電力が低いスリープモードやディープスリープモード、スタンバイモードに留まることで、消費電力の平均値を下げることができます。

動作モード(ランモード、アクティブモード)時の消費電流がアクティブ電流と呼びます。呼称はMCUメーカーごとに異なります。アクティブ電流は△△MHz時○○mA、或いは○○mA/MHzといった単位で定義されていて、使用する動作周波数に依存します。このスペックが優れている(消費電流が低い)MCUを使用することで、平均消費電力を下げることができます。

では、スペックが優れているMCUを選択すれば良いのか?というと、そう単純ではありません。
使用するCPUコアによって命令効率が異なりますので、少々消費電流が高くとも、命令効率が高いCPUコアを使用して短時間で処理を終わらせてしまった方が、トータル的には低消費電力になる場合があります。Cortex-Mは非常に命令効率が良いCPUですので、一般的な8/16bit MCUに比べると、1/1.3~1/4程度のクロックサイクルで処理が完了する傾向にあります。
またスペック規定する際の前提条件には特に決まりはありませんので、NOPを実行している際の消費電力値を使っていたり、フラッシュをフェッチしている際の消費電流値を使っていたり、各社マチマチと思います。正確な比較を行うには、実機で測定するのがもっとも確実です。
CPUが起きて処理をしている時間が非常に短く、それに対してスリープ/スタンバイモードに滞在している期間が長時間に及ぶ場合、アクティブ電流はあまり大きな影響を与えません。
しかし動作モードの比率が高ければ、アクティブ電流は平均電流に大きな影響を与えます。

なお、周波数―電流カーブを意識すると、ベース電流(オフセット値)の違いや、周波数・電流が比例しているかどうかも判り、製品ごとの傾向(高い周波数で使うと低消費電力性能を引き出しやすい等)が見えてきます。EFM32は低消費電力モードのスペックが特に優れていますので、高い周波数で使用して処理を短時間で終わらせ、低消費電力モードに可能な限り長く滞在する方が良い傾向にあります。
