Silicon Labs EFM32:低消費電力MCUの性能指標として、なぜスリープ/スタンバイ電流が重要なのですか?
MCUの消費電力を下げたい場合、間欠動作するようにソフト設計を行うのが一般的です。間欠動作とは、必要な処理が終わったらスリープモードに移行し、定期的に動作モードに復帰(ウェイクアップ)しては処理を行い、その処理が終わったら再びスリープモードに移行する、といった一連の動作です。MCUが処理を行わない期間に、消費電力が低いスリープモードやディープスリープモード、スタンバイモードに留まることで、消費電力の平均値を下げることができます。

スリープモードにおける消費電流をスリープ電流、スタンバイモードにおける消費電流をスタンバイ電流と呼びます。呼称はMCUメーカーごとに異なります。このスペックが優れている(消費電流が低い)MCUを使用することで、平均消費電力を下げることができます。

では、スペックが優れているMCUを選択すれば良いのか?というと、そう単純ではありません。
低消費電力モードに移行したMCUにどのような動作を期待するかは、機器の設計仕様に依存します。例えば、タイマを使って一定時間後に自律的にウェイクアップする。外部割込み待ち状態のまま待機し、信号が入ってきたらウェイクアップする。或いは、センサ出力をコンパレータで監視し、閾値を超えたらウェイクアップする、などが考えられます。
用途に応じて最適なモード選択ができるように、MCUは低消費電力モードを複数持っていることが望ましいですが、最近は複数の低消費電力モードをサポートした製品が増えています。ただメーカーごとに低消費電力モードの名称が異なっていますし、同一名称でもそのモードで行えることに差分がある場合が多いので比較する場合には注意が必要です。実現したい設計仕様と照らし合わせて、最適な電力モード同志の消費電流値を比較することが大切です。
EFM32ではEM1~EM4の4段階の低消費電力モードを持っています。またペリフェラルごとに細かく動作限界が設定されていますので、最適な消費電力モードが選択でき、消費電力を削減することができます。
CPUが起きて処理をしている時間が非常に短く、それに対してスリープ/スタンバイモードに滞在している期間が長時間に及ぶ場合、スリープ/スタンバイ電流は非常に重要なスペックになります。
それとは反対に、動作モードの比率が高ければ、スリープ/スタンバイ電流に比べてアクティブ電流の方が支配的になります。
