非接触検出が可能なジェスチャーセンサー

以前、非接触での検出ができるセンサーとして超音波センサー、静電容量センサー、インダクティブセンサーの検出原理と各センサーで検出できる物を紹介しました。今回は、ユーザーインターフェース(UI)として利用可能なジェスチャーセンサーを紹介します。

ユーザーインターフェース(UI)としてのジェスチャーセンサー

多くの組込み機器において、ユーザーインターフェース(UI)は製品の「顔」だと言えます。

 

気の利いたUIはユーザーが機器を使いこなすのを助け、ファンを作り、ユーザーをリピーター化する力があります。その一方で、使いにくいUIは製品の評価を下げることもあります。つまり、UIは機器に“違い”を生むポイントの一つになります。

 

UIと一口に言っても色々な方式がありますので、機器を設計する上でUIの選択には注意を払わなければなりません。UIで使用される技術も日々進歩しています。

 

メカニカルなボタンやメンブレンスイッチが静電容量式タッチスイッチに置き換わり、タッチパネルが登場し、最近では音声認識をユーザーインターフェースに利用した製品も出てきています。静電容量式タッチスイッチの普及には、故障率やコスト面、あるいは筐体設計の柔軟性(防水加工など)など“製造側のメリット”が背中を押した部分が大きいと思われますが、その後に普及したタッチパネルでは直感的に使えるという“利便性”をユーザーにもたらしました。そして音声認識など、利便性に加えて“ユーザーエクスペリエンス”を意識したものにトレンドが移りつつあります。ただし、いかに技術的に進んだ方式を使用したとしても、それがユーザーにとって価値あるもの(=洗練されたもの)になるかどうかはアイディア次第とも言えます。

UI技術の進歩

機器のUIを価値あるものにしたいと考えるなら、アイディアを活かす“余地”のあるUIを選択するのが良いと思います。

前出のタッチパネルや音声認識も良いですが、利用できるUIはこれだけではありません。今回ご紹介したいのはジェスチャーセンサーというUIです。

LEDでジェスチャーを識別

このジェスチャーセンサーは、LEDの光が対象物に当たって反射した入射光の強度と入射角を検出することで、ジェスチャー認識や近接度を検出することができます。

ジェスチャー認識に必要な機能

以下の図は、あるジェスチャーセンサーの機能ブロック図です。外部にLEDを置いて内蔵のLED DriverでそのLEDを発光。その反射をPosition Sensor(フォトダイオード)で検出し、アンプで増幅してアナログ-デジタル変換回路(ADC)で取り込みます。ジェスチャーセンサーからは、X1、X2、Y1、Y2のデータがでてきます。ジェスチャー(動くもの)の検出なので時間との関係性も重要です。ということで同時サンプルのため、4つのアンプが備わっています。

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ジェスチャーセンサーの機能ブロック図の例

X1、X2、Y1、Y2から位置を読み取る

X1、X2、Y1、Y2がどのような関係性があるのかというと・・・、以下の図を見てください。

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Y方向にスワイプした場合の値

図は、Y方向(左から右)にスワイプした場合の X1、X2、Y1、Y2のそれぞれの値をプロットしたものです(X1-青、X2-緑、Y1-赤、Y2-黒)。
赤色(Y1)だけ他の3本と違う軌跡となっていることが確認できるかと思います。ここでXとYで考えてみると、X1とX2を比べた場合はほとんど差がありませんが、Y1とY2を比べると違いが見られます。

A・B点ではY1>Y2、C点ではY1=Y2、D・E点ではY1<Y2となっています。
横軸は時間的な経過のため、その過程において、出力データであるX1、X2、Y1、Y2の変位を解析してジェスチャーを判別します。

ジェスチャーセンサーは非接触で対象物の動きを検出することができますが、センサーを利用するには、移動スピードや方向、距離などの要素をふまえ、判別アルゴリズムを作りだす必要があります。
マクニカで開発したジェスチャー認識アルゴリズムをご用意しておりますので、ご興味がある方はぜひお問い合わせください。

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