AIネットワーク時代に変わり始めた、光通信技術の役割
2026年3月17日~19日、アメリカのLos Angels Convention Centerにて、「OFC (Optical Fiber Communication Conference and Exhibition) 2026」が開催されました。OFCは光通信分野で世界最大級の展示会です。OFC2026では、大規模AIネットワークを背景に、光トランシーバーの高速化や低消費電力化という従来のトレンドにとどまらない技術が数多く議論されていました。
本記事では、OFC2026で感じた技術トレンドと、Coherent社の取組みを紹介します。
技術トレンド①:CPO / NPOは「現実を見据えた検討フェーズ」へ
CPO (Co-Packaged Optics)やNPO (Near-Packaged Optics)は、光電変換部をSwitch ASICの企画に配置する次世代光技術として、これまでも検討されてきました。しかし、保守や交換が難しいといった運用面の課題から、本格導入には至っていませんでした。
一方で近年、電気信号の高速化が進む中で信号品質の限界が顕在化し、更なる高速化の解決策として、CPO/NPOが再検討されています。
OFC2026では、量産性や保守性も考慮したCPO/NPOに関する議論が進んでおり、CPO/NPOの検討が新たな段階に入っていると感じました。
Coherent社では、保守性を考慮された、着脱可能なソケット構造のOptical Engine(CPO/NPO向けコンポーネント)を紹介されており、実運用を見据えたアプローチが印象的でした。
技術トレンド②:導入が進んでいるOptical Circuit Switch
Optical Circuit Switch(OCS)は、OFC2026において存在感を増していた技術の1つです。
OCSはGoogle社が自社ネットワークに導入したことで注目を集め、Spine/Leafアーキテクチャーにおける Spineスイッチの置き換えが代表的な用途として語られてきました。
OFC2026では、大規模AIクラスターにおける、低遅延化・低消費電力化を実現する重要な要素として、OCSが認識されていました。また、Spineスイッチの置き換えに加え、新たなユースケースの議論が行われていました。
ハイパースケールAIクラスターにおいては、OCSは検討段階から導入へ進んでいると感じました。
Coherent社もOCSを提供しており、同社が長年展開してきたWSS(波長選択スイッチ)で実績のあるDigital Liquid Crystalをコア技術に採用しております。
この方式は、機械的な可動部を持たないため、高い信頼性が期待されています。
技術トレンド③:Scale-across ― Pluggable DCO+光伝送システムの取組み ―
AIクラスターの巨大化が進む中で、データセンター間接続を通じて、複数のAIクラスターを1つのAIクラスターとして扱う、「Scale-across」の関心が高まっています。
その中でも、800Gや1.6TのPluggable DCO (Digital Coherent Optics)を用いたScale-acrossの具体的な構成が数多く紹介されていました。
Coherent社はPluggable DCOに加えて、コンパクトな光伝送システムも紹介しておりました。
ハイパースケーラーでは、複数のペアファイバーによるScale-across、いわゆるMulti-rail構成が進んでいます。しかし、それに伴い、光伝送システムの設置スペースや消費電力の急速な増加が課題となっています。
これに対しCoherent社は、同社の光アンプなどの伝送向けコンポーネンツを組み合わせることで、コンパクトな光伝送システムを提案しており、スペースおよび消費電力の増加を抑制できます。
まとめ
OFC2026では、光トランシーバーだけでなく、CPO/NPO、OCS、Scale-acrossといった光通信技術を通じて、AIネットワークの今後の進化が示されました。
マクニカでは、本レポートでご紹介したCoherent社など通信業界における世界最先端の製品を取扱っております。気になる製品や技術動向などございましたら、お気軽にお問い合わせください。