
宇宙環境は半導体デバイスにとって過酷!?
前回は、宇宙放射線による半導体デバイスへの影響と題し、
「宇宙環境には宇宙放射線が存在し、半導体デバイスにとって過酷な環境であること」を解説しました。
今回は、その中で紹介した“SEE”について詳しく紹介します。
SEE(シングルイベント効果)を知ろう
SEE (Singe Event Effects: シングルイベント効果)は、半導体デバイスに、陽子や重イオンなどの1個の高エネルギー粒子が入射し、
その電離作用で生成される電荷が起因となって生じる過渡電流により、「デバイスの一時的な誤動作や永久故障を引き起こすこと」を言います。
前者のSEEによる一時的な誤動作は、ソフトエラーと呼ばれ、
- SEU(Single Event Upset)
- SET(Single Event Transient)
- SEFI(Single Event Functional Interrupt)
などの現象として現れます。
一方、後者のSEEによる永久故障はハードエラーと呼ばれ、
- SEL(Single Event Latch-up)
- SEB(Single Event Burn-out)
- SEGR(Single Event Gate Rupture)
などの現象として現れます。
これらSEEによるエラー、特にハードエラーの発生は、機器やシステム、ミッションに
インパクトを与えることが考えられるため、その影響を検討する必要があります。
SEE(シングルイベント効果)への耐性を持っているデバイスとは?
宇宙用といわれる半導体デバイスでは、その全てではありませんが、
メーカーのデータシート等でSEE耐性に関する記述があります。
一方、それ以外のデバイスではSEE耐性に関する情報はない場合がほとんどのため、
そのようなデバイスに対しては、必要に応じて耐性評価を行う必要があります。
このSEE耐性評価として、加速器により加速された重イオンや陽子などを
評価対象デバイスに照射して行うSEE試験があります。
このSEE試験では、前述の重イオンや陽子をどのような条件で照射したときに、
「どのようなSEEの現象が、どの程度発生するのか」などについて計測を行います。
ここまでの説明で、SEEとは、「ソフト/ハードのエラーがあること」、
また、SEE耐性を持っているデバイスは、「SEE試験に合格し、選び抜かれたものであること」は理解いただけたでしょうか?
次回以降の記事では、SEEが起きにくくするための対策方法について、
掘り下げて解説していきます。お楽しみに。
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