

主に産業機器や民生機器で使用されるPower over Ethernet(PoE)は、IEEE802.3af(PoE)およびIEEE802.3at(PoE+)規格によって定義されて以降、IPカメラ / ワイヤレスアクセスポイントなど幅広いアプリケーションで使用されています。そんな中、高電力を供給可能なIEEE802.3bt(PoE++)が規格化され、イーサネットネットワークで利用可能な電力が大幅に増加しました。
産業機器においては想定外の故障によるシステム全体への波及を防ぐという信頼性上の理由から、電源の絶縁化が必須となっていますが、IEEE802.3bt(PoE++)規格に対応した給電側機器Power Sourcing Equipment(PSE)は精度要求が厳しく、また市場にリファレンスデザインがないことから設計難易度が高く、モジュール製品を購入し実装することとなりPoEのコストメリットを享受できていないのが現状です。
IEEE802.3bt(PoE++) 規格について
PoEは供給側電力(PSE)や受電側(PD)によって対応規格が異なり、最新のIEEE802.3bt(PoE++)では90Wの電力供給まで拡張されています。
規格 |
PoE IEEE802.3af |
PoE+ IEEE 802.3at |
PoE++ IEEE 802.3bt |
Type |
Type1 |
Type2 |
Type3/4 |
Class |
0~3 |
4 |
5~8 |
PSE供給電力 |
15.4W |
30W |
45W~90W |
PD入力電力 |
12.95W |
25.5W |
40W~71.3W |
IEEE802.3bt(PoE++)準拠PSE絶縁電源リファレンスボード

この度、産業機器向けロボットやスイッチングハブなどクローズドネットワークによる電源供給向けにご評価いただけるIEEE802.3bt(PoE++)規格のPSE絶縁電源に特化したリファレンスボードを開発しました。
絶縁電源の出力精度は、一般的な電源入力12Vから55.8V/1.7A(90W)の電力を供給可能で、本リファレンスデザインをお客様のPSE回路にそのまま用いることでカスタム設計は不要となります。
製品仕様

このリファレンスボードは、アナログ・デバイセズ社のLT8310、LT1431を用いたフォワードコンバーター回路で、Wurth Elektronik社のカスタム絶縁トランス750345284、onsemi社のフォトカプラーMOC207Mによって一次側と二次側を絶縁しています。2次側インダクターにはWurth Elektronik社の74437529203221を使用しています。
項目 | 仕様 | 備考 |
名称 | LT8310 PoE PSE Isolation power board | |
型名 | ALT8310PSEISOREF | |
入力電圧 | 12.0V | |
出力電圧 | 55.8V(54.75V~57V出力可) | IEEE802.3bt(PoE++)、LTPoE++に対応 |
出力電力 | 90W(1.7A) | |
電源回路方式 | フォワードコンバーター絶縁回路 | LT8310、LT1431により構成 |
基板外形 | 120mm x 90mm |
PoE評価構成
本リファレンスボードとアナログ・デバイセズ社製PoE評価キットDC2685B-KITと組み合わせることで、産業機器の12V電源環境での総合的なPoE評価(IEEE802.3af、802.3at、および802.3btに準拠した4ポートに対応)が可能となります。

アプリケーション例
・産業機器や計測機器
・インジェクター
・スイッチルーター
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