長期信頼性の維持や生産中止リスクへの対策を検討されていませんか?
電子機器では、回路間を電気的に絶縁するため、フォトカプラーが広く使われています。
一方、フォトカプラーはLEDの経年変化を考慮する必要があり長期運用に課題があります。また、生産中止のリスクも懸念されております。
このようなフォトカプラーの課題を解決するための代替品として注目されているのが、Texas Instruments社(以下TI社)のフォトカプラーエミュレーターです。
本記事では、従来のフォトカプラーとの違い、導入メリット、主要な製品カテゴリーを分かりやすくご紹介します。
なぜ今、フォトカプラーの見直しが必要なのか
長期運用ではLEDの経年劣化リスクの考慮が必要
フォトカプラーは、入力側LEDの光を受光素子で検出して信号を伝送します。
LEDの発光効率は使用条件や時間の影響を受けるため、長期間使用する装置ではCTR(Current Transfer Ratio:電流伝達率)の変化を見込んだ設計が必要です。
具体的には下記です。
・温度、入力電流、使用時間を踏まえた設計マージンが必要
・長期稼働後も必要な出力電流を確保できるか要確認
・保守期間が長い産業機器では、部品交換・再評価の負担が増加する可能性を考慮
フォトカプラーの断面図
引用先:https://www.ti.com/jp/lit/an/jajaa46a/jajaa46a.pdf
生産中止(EOL)による代替選定と再評価のリスク
採用中のフォトカプラーが生産中止・新規設計非推奨になった場合、ピン配置だけでなく、入出力条件、絶縁性能、伝搬特性、温度範囲などを比較しなければなりません。
長期供給を重視する製品では、既存設計の延命だけでなく、次世代の絶縁デバイスを含めた検討が有効です。
フォトカプラーエミュレーターとは
フォトカプラーエミュレーターは、フォトカプラーと同様に電流入力で動作しながら、LEDを使わずに絶縁信号伝送を行うデバイスです。
TI社の製品では、SiO₂(シリコン酸化膜)を用いた容量性絶縁技術で、入力信号を絶縁して出力側へ伝えます。
フォトカプラーエミュレーターの断面図
引用先:https://www.ti.com/jp/lit/an/jajaa46a/jajaa46a.pdf
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比較項目 |
フォトカプラー |
フォトカプラーエミュレーター |
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絶縁材料 |
空気エポキシ樹脂 |
二酸化ケイ素 (SiO₂) |
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誘電強度 |
~1 Vrms/um(空気) ~20 Vrms/um(エポキシ樹脂) |
~500 Vrms/um (SiO₂) |
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絶縁方式 |
光結合方式 |
容量結合方式 |
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寿命 |
△ |
◎ |
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消費電力 |
△ |
◎ |
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データレート |
0.1 Mbps ~ 1 Mbps |
25 Mbps(ISOM871x) |
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ターンオン時間 |
9 us |
4.5 us(ISOM811x) |
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CTR |
△ 温度と時間により劣化 |
◎ 安定したCTR |
フォトカプラーエミュレーター 4つのメリット
1. 長期安定性を考慮しやすい
LEDを使用しないため、LED劣化に起因するCTR変化を設計へ織り込む必要がありません。
長期稼働を前提とする電源・産業機器で、特性変動に対する設計負担の軽減が期待できます。
2. 既存回路からの移行を検討しやすい
フォトカプラーに近い入力方式や、既存品との置き換えを意識したピンコンパチパッケージを持つ製品があるため、置き換えの検討がスムーズにおこなえます。
3. 高速化・低消費電力化も実現可能
フォトカプラーでは限界のあった高速化が可能です。
発光素子が無いため、システムの低消費電力化につながります。
4. 新規設計とEOL対策を同時に進められる
単なる互換品探索にとどまらず、必要な絶縁性能・応答速度・出力形式を整理し、将来の設計へつながるデバイス選定ができます。
TI社フォトカプラーエミュレーター 主要ラインナップ
ラインナップは、置き換え対象となるフォトカプラーの出力形式と信号速度から整理すると選びやすくなります。
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項目 |
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位置付け |
・アナログ・トランジスター出力 |
・高速デジタル出力 |
・FET内蔵の単極・常時開型絶縁スイッチ |
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電流伝達率 |
ISOM8110/8115: 100~155% |
該当なし |
該当なし |
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入力オプション |
DC入力: ISOM8110 ~ 8113 |
単一チャネル・ダイオードエミュレーター入力 |
単一チャネル・ダイオードエミュレーターDC入力 |
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絶縁定格 |
3.75 / 5.0 |
3.75 |
3.75 |
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動作温度範囲(℃) |
-55 ~ 125 |
-40 ~ 125 |
-55 ~ 125 |
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主な検討用途 |
・スイッチング電源のフィードバック |
・電源 |
・ファクトリーオートメーション |
品番をクリックしていただくとTI社のデータシートに遷移します。対応製品、絶縁定格、データレート、パッケージ、認証状況は品番ごとに異なります。採用時は最新のTI社データシートをご確認ください。
置き換え検討時の確認ポイント
・入力電流範囲としきい値
・出力形式、出力電圧、必要なプルアップ条件
・絶縁耐圧、沿面距離、空間距離、サージ要件
・伝搬遅延、データレート、CMTIなどの動特性
・パッケージ、ピン配置、実装条件
・動作温度範囲、安全規格・認証
・システムの故障モードとフェイルセーフ動作
特にPin-to-Pin置換を検討する場合も、外形とピン配置だけで判断せず、ワーストケース条件を含む回路評価が必要です。
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