前回は、半導体温度センサの種類や特長について、ご紹介しました。第3回では、リファレンスデザインから見る利用例と、これから開発される方向けの参考文献をご紹介します。
温度センサの種類と特性 シリーズ
第1回 熱電対、RTD、サーミスタの特性
第2回 半導体温度センサとは
第3回 半導体温度センサの利用例
半導体温度センサのアプリケーション例
半導体温度センサは主に以下の3つの用途で利用されています。
- 継続的な温度測定
- 異常動作の検知
- RTD、サーミスタからの置き換え
具体的な活用例
- Internet of Things(IoT)センサーノード
- 工業用RTD(クラスAA)または高精度NTC / PTCサーミスタからの置き換え
- 医療/フィットネス機器
- 医療用温度計
- 人体温度モニタ
- メータリング温度補償
- 環境監視およびサーモスタット
- ウェアラブル
- アセットの追跡およびコールド・チェーン
- ガス・メータおよび熱メータ
- 試験および測定機器
- RTDの代替: PT100、PT500、PT1000
- 熱電対の低温接合部の補償

半導体温度センサを用いたリファレンスデザイン
Texas Instruments社(以降TI社)のWEBで公開されている中でも、特におすすめしたい4種類を紹介します。
- 低消費電力に特化:低消費電力温度デジタル・メーター
- マシン・ビジョン向け:LED ライティング制御
- 医療/ウェアラブル向け:ヒトの皮膚用温度センサ、ウェアラブル・アプリケーション
- 車載向け:車載用高温センサ
低消費電力に特化:低消費電力温度デジタル・メーター

概要
- 超低消費マイコン[MSP430]を用いた温度計
- 動作時、約0.2mWの消費電力。ボタン電池で長期間の稼働が可能
- -10℃~85℃の範囲内で±0.2℃の精度
- 購入可能(購入は こちら)
本リファレンスデザインの詳細はこちら
http://www.tij.co.jp/tool/jp/TIDA-01626
注意事項
MSP430FR5969へのプログラムの書込みには、MSP-FETの様なツールが必要になります。
http://www.tij.co.jp/tool/jp/MSP-FET
接続方法については、下記の資料のP41にあるとおり、VCC, GND, TDO/TDI, TCK
の4つの端子を接続して頂く形になります。
MSP Debuggers User's Guide
マシン・ビジョン向け:LED ライティング制御

概要
- 高輝度LEDを用いた撮像用カメラ照明又はフラッシュ
- 最大2.4A電流が流れるLEDの温度監視(最高70℃)にTMP116のALERT機能を使用
- 温度異常発生時の迅速な保護動作が可能
本リファレンスデザインの詳細はこちら
http://www.tij.co.jp/tool/jp/TIDA-01081
医療/ウェアラブル向け:ヒトの皮膚用温度センサ、ウェアラブル・アプリケーション

概要
- 肌の表面温度を正確に測定するための温度センサを機械的に取り付ける方法を紹介
- ±0.1℃の精度を実現するための熱経路のルーティングに関するレイアウトの考慮事項
- 実装上の理想的なメカニカルケースの設計例
本リファレンスデザインの詳細はこちら
http://www.tij.co.jp/tool/jp/TIDA-00824
車載向け:車載用高温センサ

概要
- 熱電対と温度センサの組み合わせ
- 高密度、低コスト、精度の良い熱電対AFE回路
- –40℃ ~ 1300℃(熱電対の温度範囲)に対応する設計仕様と±1℃の精度
本リファレンスデザインの詳細はこちら
http://www.tij.co.jp/tool/jp/TIDA-01235
参考資料
これまで様々な機器においてRTDを中心とした温度測定回路は、半導体温度センサの登場により、今後加速的に変わっていくでしょう。TI社では半導体温度センサの新規導入をお考えの方々に、設計に役立つ資料を公開しております。
これから置き換えを検討される方向け
デジタル温度センサを使用した高精度検出および補償システムにおけるRTDの置き換え
http://www.tij.co.jp/general/jp/docs/lit/getliterature.tsp?baseLiteratureNumber=snoaa06&fileType=pdf
RTDから半導体温度センサへ変更する際の用例が記載されています。これまでRTDでは必須とされていた回路ブロックが不要となり、とてもすっきりとした回路構成になります。
設計における考慮事項
温度センサPCB設計ガイドライン
http://www.tij.co.jp/general/jp/docs/lit/getliterature.tsp?baseLiteratureNumber=snoa967&fileType=pdf
本資料では、システム設計者に推奨事項を提供し、測定される温度ポイントの精度を改善する方法について説明します。また、レイアウト手法、デバイスの向きなど、実装にもっとも効率の良い手法などが記載されています。
周囲空気温度を測定するための設計上の考慮事項
http://www.tij.co.jp/general/jp/docs/lit/getliterature.tsp?baseLiteratureNumber=snoa966&fileType=pdf
半導体温度センサを使用する際の、基板の熱容量や評価方法について設計上のノウハウが記載されています。最もお読み頂きたい資料です。
ウェアラブル温度センシングのレイアウトに関する考慮事項
http://www.tij.co.jp/general/jp/docs/lit/getliterature.tsp?baseLiteratureNumber=snia021&fileType=pdf
周囲雰囲気温度の測定と異なり、人体の温度測定には高い追従性が必要です。本書ではLMT70とTMP117を用いた体温測定に関するノウハウを解説しております。
TMP116による正確な温度測定
http://www.tij.co.jp/general/jp/docs/lit/getliterature.tsp?baseLiteratureNumber=snoa986&fileType=pdf
電源電圧や基板の材質が測定温度にどのような影響を及ぼすのかを実験の上、そのデータを記載しております。
半導体温度センサの製品選定でお悩みの方は是非お問い合わせください
今回ご紹介した製品のリファレンスデザインや、リファレンスデザインで使用されている製品のお問い合わせは、マクニカオンラインサービスの問い合わせフォームをご利用ください。
また、半導体温度センサの選定や、既存製品からの置き換えでお困りごとがありましたら、お気軽にご相談ください。弊社のエンジニアがお客様の選定をお手伝いさせていただきます。
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