デジタルアイソレーターとフォトカプラーの技術  デジタルアイソレーターの特徴

デジタルアイソレーターとフォトカプラーの技術

デジタルアイソレーターの特徴

デジタルアイソレーターはフォトカプラーに比べ サイズ、速度、安定性、消費電力、使いやすい仕様の定義、信頼性など利点となる特徴があり、色々なアプリケーションに対応します。下記に一部、詳細を紹介します。

・高信頼性
    HEV/EVや風力エネルギーシステムなどのアプリケーションは厳しい環境で使われます。
    その様なアプリケーションでアイソレーターは120℃を超える高温環境で20年以上の寿命が必要です。 
    長期信頼性の面でもアイソレーターは評価されています。    

・高いCMTI
    高速動作するパワー素子の駆動やノイズの多い環境などコモンモードの変化が厳しい環境があります。
    こういった環境に対する特性 CMTI(Common-Mode Transient Immunity)の高いデバイスが必要です。 
    アイソレーターは高いCMTIの製品が多くあります。

・低EMI、高い電界や磁界に対する耐性
    EMIは特に心電計などの低振幅信号を扱う医療アプリケーションにおいてデータエラーの原因になります。 
    高い特性を維持するには外部の電界や磁界の干渉を排除できる特性をもつ絶縁デバイスは重要です。
    アイソレーターは低EMIでかつ磁界や電界に対しても高い耐性を持っています。

・設計しやすい仕様の定義
    フォトカプラーでは温度特性、経時変化が大きく設計時にいろいろな特性の考慮が必要です。
    これに対しデジタルアイソレーターは温度特性,経時変化などを含め 仕様が定義されています。
    経時変化を含めた特性の予測がある程度可能で、信頼性の高い設計がしやすいです。

高速なパワー素子の駆動などでは厳しいタイミング仕様の設計などシビアな設計が要求されます。デバイスのばらつき、温度、電流加えてデバイスの経年変化など多くの考慮すべき項目があります。特性ばらつきが大きいフォトカプラー設計マージンが削られ特性を低下させます。 

この様に デジタルアイソレーターは フォトカプラーに比べて明らかに設計しやすい製品です。  

タイミングのばらつきの温度特性

フォトカプラーの遅延時間は入力信号が同じでも温度などに影響しやすいです。ここでは温度によるタイミングのばらつきの例をご紹介します。

アイソレーター と フォトカプラーの 入出力温度特性

図は 同じ入力信号に対して 同じオープンコレクター出力のSi8710Aの特性を比較したものです。デジタルアイソレーターはSi8710A(LED入力、オープンコレクタ出力)を使用しています。温度が高くなるとフォトカプラーの遅延時間や立上り・立ち下がり特性は顕著に変わりますがデジタルアイソレーターの変化はほとんど変化していません。デジタルアイソレーターは素子毎のばらつきもフォトカプラーに比べて圧倒的に小さいです。

遅延時間 パルス幅歪の温度特性

ここでは遅延時間に関する詳細な特性の違いを示します。下記グラフでは 高速特性を持つHCPL-2400 (20Mbps)のフォトカプラーと Si8660Bx(10Mbps) のCMOSデジタルアイソレーターについて伝搬遅延とパルス幅歪の温度特性に対する安定性を比較しています。

Fig 4A

Figure 伝搬遅延(Propagation Delay) vs. 温度 特性
伝搬遅延の温度特性依存を示しています。
フォトカプラーは立上り立ち下がりで特性が一致していません。
遅い方を満たす様設計する必要があります。
温度が上がると伝搬遅延はより遅くなっていきます。

Figure パルス幅歪(PWD) vs. 温度 特性
PWD(Pulse Width Distortion)パルス幅歪はHiからLowの伝搬遅延とLowからHiの伝搬遅延の違いです。
これにより信号のデューティー比が変わってしまう場合があります。
フォトカプラーは温度が上がると大きく悪化するものがあります。

遅延時間の入力電流による影響

フォトカプラーは入力の電流量なども遅延特性も影響します。メーカのアプリケーションノートに記載されているHCPL-2400フォトカプラーの入力電流や外付けによる遅延時間の影響を示しています。

Figure  フォトカプラー/CMOS アイソレーターの伝搬遅延 vs. 温度 の特性

フォトカプラーは、応答を改善するためにターンオンおよびターンオフ中にLED電流を瞬間的に増加させる「ピーキング」コンデンサー(Cp)を使用した場合と使用しない場合で特性が違います。また立上り/下り時間(tPHLとtPLH)は対称的ではないため、個別に調べる必要があります。CMOSデジタルアイソレーターの伝搬遅延は Si86xxの特性曲線としてグラフの下部にあります。-40 ~ +125℃の温度範囲で平坦です。

 

まとめ

デジタルアイソレーターはフォトカプラーと比較して、高速なデータレートや低遅延を実現可能で、温度変化による特性変化も少なく、タイミング設計に関して高い付加価値があります。

パフォーマンスや信頼性、使いやすさが向上し システムの部品導入や新しい設計での使用に理想的です。

アイソレーターの製品ページ

有用な特徴を備えたデジタルアイソレーターの製品ページを紹介します。

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