デジタルアイソレーターとフォトカプラーの技術 構造と基本的な技術

デジタルアイソレーターとフォトカプラーの技術

構造と基本的な技術

フォトカプラー

フォトカプラーは、安価な4ピンのデバイスから高価な高速デバイスまで、いくつかのバージョンがあります。最もポピュラーなフォトカプラーは、出力側のバイアス電圧を必要とする8ピンタイプです。ほとんどのフォトカプラーは、発光ダイオード(LED)、光検出器(photo Detector)、および出力ドライバー(通常はトランジスターまたはバッファー)で構成されています。LEDに電流を流すことで発光した光を光検出器(Photo Detector)が受け、出力トランジスターをONにさせ、出力がローになります。逆に、LEDに電流を流さない場合、出力トランジスターはOFFします。

このX線写真はシングルチャネルのフォトカプラーです。LEDと出力側のチップが物理的に絶縁されたフレームに取り付けられているのがわかります。フレーム間にはギャップ(間隙)があり その絶縁体の距離は [DTI:distance through insulation]絶縁幅とよばれ 通常 80 µm〜1,000 µm程度あります。

入力側と出力側の絶縁距離(DTI)については こちらの絵のイメージです。LEDとディテクター・ダイの間にはポリイミド系のフィルムなど透明な絶縁シールドがあります。最近のフォトカプラーのパッケージには、シリコーンフィラーを充填したものもあります。

SKYWORKS デジタルアイソレーター

こちらのデジタルアイソレーターの基本的な動作原理は、フォトカプラーの光の代わりに高周波(HF)のキャリア信号の有無によって信号を送ります。 入力信号のある時だけ2次側にキャリア信号をを送り、基本的にフォトカプラーに近い動作をしますが消費電力やスピードなどの面でフォトカプラーより良い特性が得られます。

これは、150Mbpsの6チャネル デジタルアイソレーターのダイとそのボンディングの内部写真です。同一の絶縁構造を持った送信ダイと受信ダイをワイヤーボンディングしています。それぞれのダイの容量性アイソレーション・バリアを差動接続となる様に構成、設計されています。入力のロジック・レベルに応じて出力状態が決まります。

デジタルアイソレーターは、高電圧のストレスに対し安全に耐えるアイソレーションバリアで絶縁しています。フォトカプラーの絶縁バリアは物理的なギャップに依存しています。つまり DTI(ポリイミドテープやシリコンフィラーおよび絶縁用プラスチックモールドのコンパウンドで絶縁された絶縁距離)に依存しています。一定の物理的な距離を保つ為に組み立てが難しく製造が複雑なのでコスト高となりやすいです。

古くからの国際規格では、フォトカプラーのDTIに基づいた絶縁バリアー要件が設定されていることがあります。

しかし最近の絶縁規格機関がおこなう試験は 絶縁バリアの"耐電圧"に基づいており DTIに寄りません。
別項で絶縁材料と絶縁性能に関する説明をします。

フォトカプラーとアイソレーターの構造、構成上の差異

・動作安定性、信頼性の高いCMOSプロセス技術を採用
    通常フォトカプラーのLEDはGaAsなどの素子を使用しますが デジタルアイソレーターではCMOSプロセスが使用されています。
    CMOSプロセスはGaAsプロセスと比較して動作安定性が良く信頼性が高く 費用対効果に優れています。

・光の代わりに高周波信号を使用
    精度の高い高周波のキャリア信号と狭帯域の受信フィルターの組み合わせで外乱のノイズに強いです。

・CMTの影響を受けにくい完全な差動信号を使った絶縁
    フォトカプラーはシングルエンドデバイスでCMT(common-mode transient)変動の影響を受けやすいです。
    しかしこのアイソレーターは差動信号を使い高い受信性能のあるアウトプットダイにより CMTの影響を受けにくく
    外乱の高周波電界や磁界耐性があります。 
    (例、50kV/us以上のCMTI  300V/m以上の電界
耐性  1000A/m以上の磁界耐性) 

・独自のEMI設計
    デジタルアイソレーターは 伝導および放射EMIの基準 FCC partB を満たしています。
    別資料 “CMOS Isolators Supersede Optocouplers in Industrial Applications” をご参照ください。

アイソレーターの製品ページ

有用な特徴を備えたデジタルアイソレーターの製品ページを紹介します。

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