PCB設計の重要性

SiTime(サイタイム)のMEMS発振器を採用したお客様の中で、“PCB設計” をご担当されたお客様もいらっしゃるのではないでしょうか。

“発振器” も他の半導体デバイス同様、特性を活かすための適切な「デカップリングやバイパス」を行う必要があります。

一般的に、コンデンサーを近くに配置する方法があります。

これらのコンデンサーは、以下3つの重要なポイントをおさえるために、必要不可欠です。


 1. デバイスに瞬間的な電流を供給する!
 2. システム上のノイズを低減する!
 3. 電源ノイズを GND に逃す!

  

ここからは、MEMS発振器を使用する上でのガイドラインと、推奨レイアウトについて、解説します。

MEMS発振器のPCB設計の手引き

デカップリングコンデンサー

発振器には、かなり大きい負荷が電源にかかります。

特に、高周波で信号の立ち上がりが急峻な場合には、電源から電流を速やかに供給することが難しいです。

十分な電流をデバイスへ供給するためには、デカップリングコンデンサーが必要になります。

SiTime製品の場合、シングル、差動に関わらず、発振器のVDDピンとGND間に0.1μF のセラミックデカップリングコンデンサーを使うことを推奨します。

下の図は、4ピンの発振器に0.6×0.3 サイズのデカップリングコンデンサーを付けた場合の、レイアウト例です。

 ※1  各パッケージ別に記載

 ※2  配線はソルダーレジストで保護してください。

 ※3  ピン1は採用する発振器によって、ファンクションが割り当てられる場合があるので注意

       (イネーブルやスタンバイ、スペクトラム拡散のディセーブル、電源制御など)

(出典:SiTime Corporation)

バイパスコンデンサー

システムのノイズ抑制を目的とした際、SiTime のMEMS発振器では、0.1μF のデカップリングコンデンサーで十分なバイパス効果が期待できます。
追加のバイパスコンデンサーは不要です。なお、150MHz を超えるような高い周波数を出力する差動の発振器などでは、電源へのノイズを減らす
対策も有効です。例として、1nF あるいは 10nF のバイパスコンデンサーを追加すると効果がある場合があります。 困った際にはお試しください。

電源ノイズの低減

0.1μFのコンデンサー×1pcs を VDD-GND間に付けることでVDDにかかる電源ノイズをGNDへ逃すことが可能です。
SiTimeのMEMS発振器は、レギュレータを内蔵していますので、電源ノイズの影響を受けにくくなっています。

通信系のアプリケーションのような、ジッターが重要なシステムでは、注意が必要です。

電源ノイズの影響をさらに減らすため、RCかLC を使った電源ノイズフィルターを使用することも有効です。

MEMS発振器の推奨レイアウトについて

詳細はメーカーに定義されていますが、一般的な内容を含めて以下にそのポイントをまとめました。

 

 ・ VDD-GND 間のデカップリングコンデンサーは、できるだけVDDの近く(1~2mm)に配置!
 ・ 発振器は、できるだけクロック供給先の近くに配置!
 ・ クロック信号の配線は、短く!
 ・ クロック信号は、PCBのエッジ近くに配置しない!
 ・ 発振器の下のPCB 領域に、 VDD や他の高速信号の配線を配置しない!(GNDを配置することを強く推奨)
 ・ Viaを使ってクロック信号を配線しない!(インピーダンスが変化し、反射のリスクが高くなる)
 ・ クロック信号を、PCBのVDDやGNDレイヤーに配置しない!
 ・ クロック信号は、直角に曲げない!
 ・ 差動型のクロック信号を配線する場合は、ペアの長さが同じになるように!

最後に

いかがでしたでしょうか。

今回は、SiTimeのMEMS発振器のPCB設計の注意点やガイドラインをまとめました。

是非、設計時に迷われた際には、お気軽にお問い合わせください。