はじめに
クロック周りを設計される方は、振動子(発振子)や発振器といった種類から、部品選定されると思います。
今回は主に発振器にスポットライトを当て、基礎的な内容を中心に、その選び方や種類に迫りたいと思います。
振動子と発振器、どっちを使う?
振動子と発振器について、簡単に表にまとめました。
大きな違いとして分かりやすいのが、マッチングが不要という点です。
振動子は、圧電現象をもつセラミックや水晶の振動片を利用した受動部品です。
振動させるためには、発振回路(IC)を用いる必要があります。
発振器は、振動子と発振回路をパッケージングし、ワンチップとなったものを指します。
①種類 | 振動子 | 発振器 |
②発振回路 | 要 | 不要 |
③マッチング | 要 | 不要 |
④その他 | 発振器よりも基本的に安価 | 駆動用の電源電圧を基板上に用意する必要がある |
発振器を採用するとマッチングが不要に
上記のように、マッチングが不要である点は、発振器の大きなメリットです。
振動子を採用した際、具体的には、発振回路ICのメーカーまたは設計者側で、発振回路とマッチング評価を行います。
工数がかかるだけでなく、振動子と発振回路の負荷容量がマッチしていない場合には、以下のような不具合が生じます。
・発振しない
・特定の周波数を得られない(不安定)
・電源や温度の変化に対して、周波数が変わったり、止まったりする。
こういった評価工数やトラブルを事前に回避するためにも、発振器を採用することはメリットが大きいと言えます。
また、振動子では満たすことのできない周波数精度が要求されるケースでも、発振器のスペックでカバーできることが可能です。
発振器の種類
(パッケージ発振器) |
最も汎用的で、振動子の周波数安定度を活かした発振器 温度補償や制御はしていない |
(温度補償型発振器) |
温度補償回路を付加して、周囲の温度変化に対する周波数変動を抑えた発振器 |
(恒温槽付発振器) |
恒温槽を用いて発振器/振動子の温度を一定に保つことで、周囲の温度変化による周波数変動を最も抑えた発振器。最も精度がよく過酷な環境下で使用される |
(電圧制御型発振器) |
外部から電圧をかけることで、出力周波数をコントロールできる発振器 |
DCXO (デジタル制御型発振器) |
外部のデジタル信号によって、出力周波数をコントロールできる発振器 |
SSXO (スペクトラム拡散発振器) |
スペクトラム拡散の機能が付いた発振器 EMIノイズの対策などに最適 |
プログラマブル発振器 |
その名の通り、プログラムを書き込むことで仕様を決めることができる発振器 要求仕様に柔軟に対応可能 |
SiTime(サイタイム)のMEMS発振器を採用するメリット
SiTime(サイタイム)のMEMS発振器が、一般的な水晶製品に比べて優れている点は、主に以下の点が挙げられます。
・振動、衝撃などの周辺環境への強さ(対環境性能)
・不良率
・エージング特性
・温度変化に対する発振周波数の変化
・プログラマブル性能(すべての製品がプログラム可能)
・サプライチェーン
これらは、シリコンMEMSを使用していることによるそもそもの物質の違い、内部構造の違い、生産工程の違い等が要因として挙げられます。
最後に
いかがでしたでしょうか。
今回は、発振器を振動子の選定基準ややその種類について、まとめました。
発振器のなかでも、SiTime(サイタイム)のMEMS発振器はMEMSを使った技術で様々な特長を持ちます。
是非、選定に迷われた際には、お気軽にお問い合わせください。