はじめに

“発振器” の選定において、水晶、MEMS、シリコンなどといった物質の違いは重要です。

また、その発振器が “プログラマブル” なものであるかどうかも決め手の一つとなります。

本記事では、 “プログラマブル発振器” に焦点をあて、そのメリットを解説します。

なおSiTime(サイタイム)のMEMS発振器は、すべてプログラマブルとなっています。

記事の後半では、実際にデータシートを見ながら、一体どんなプログラムができるのか、見ていきたいと思います。

プログラマブル発振器とは

原理

プログラマブル発振器は、“PLL回路を内蔵” しています。

このPLL回路は、入力周波数(振動子)を分周/逓倍し、任意の周波数を出力します。

これにより、お客様は用意された仕様一覧から、「自由な組み合わせの周波数、精度など を選択」できます。

メリット

採用するメリットはズバリ、その “柔軟性” です。

最後に書き込むだけの生品を、サンプルやウエハーで確保することで、大幅なリードタイム短縮が可能です。

また、SiTime製品は「書き込みツール」も購入可能です。

試作の場合には、お客様の方で “自由に書き込んで” 様々な種類のサンプルを評価し、比較することができます。

お客様によっては、新人研修などでもご活用いただいているようです。

PLL回路の “消費電流やノイズ(ジッター)” が、気になる方もいるのではないでしょうか。

それらが大きなデメリットだったのは、もう10年も前の話になります。

それらの性能は、アナログ回路技術の進歩とともに、改善が進んでいます。

SiTimeのMEMS発振器でも、PLL後段のデルタシグマモジュレーターがジッターを相殺し、大幅な性能改善が図られています。

SiTimeのプログラマブルなMEMS発振器を見てみよう!

プログラマブルな項目

SiTimeのMEMS発振器は、小数点PLL(Fractional PLL)を内蔵しているので、小数点以下も6桁まで任意の周波数対応が可能です。

 

ここでは、汎用的で最も水晶製品からの置換実績もあるSiT8008” というシリーズを掘り下げてみたいと思います。

SiT8008は、以下の仕様を自由に選択し、オーダーが可能です。

 

 ・ 周波数

 ・ 周波数偏差(周波数精度ともいう。単位:ppm)

 ・ 動作温度範囲

 ・ パッケージサイズ

 ・ Drive strength(出力ドライブの調整)

 ・ 電源電圧

 ・ Feature Pin (スタンバイやイネーブル、NCの設定が可能)

データシート

実際に、本製品の “データシート”を見てみましょう。

水晶のデータシートと異なり、半導体ICと同様かなり細かい部分まできちんと記載がなされています。

P.13 に以下のような “Ordering Information”、つまり「プログラムのオプション一覧が確認」できます。

SiTime製品は、すべてデータシート内に “Ordering Information” の項目が設けられております。

  

下に、日本語版をご用意しました。見方は大きく変わりません。

選択可能な仕様をすべて指定すると…フル型番(注文時に必要な型番)の完成です!

 

型番を決めるのに困ったら

「型番を決めるのに困ったら…」「完成した型番があっているか分からない…」という場合には、ぜひマクニカにお問い合わせください。

また、SiTimeでは、以下のようなツールも充実しており、お客様でもご使用可能です。

型番生成ツール(SiT8008の場合)

型番から仕様を確認する

最後に

いかがでしたでしょうか。

今回は、プログラマブル発振器にフォーカスした解説記事でした。

ご不明な点がございましたら、お気軽に以下よりお問い合わせください。