MEMS(メムス)とは
MEMSとは、Micro Electro Mechanical Systemsの頭文字を取った言葉で、メムスと読みます。
微小電気機械システムとも呼ばれ、機械・電子・光・化学などの多様な機能を集積化した微細デバイス全般を指すことが多いです。
この記事でも、水晶とは異なり、”デバイス”として読み進めてもらった方がより簡単にイメージできるかと思います。
MEMS製品と一般的な水晶製品との比較
1.物質
水晶製品(振動子)はその名の通り水晶を用いてその圧電現象を利用し、一定の周波数を生み出しています。
一方、SiTimeのMEMS製品はチタンの15倍の強度を持つ単結晶シリコンで生成されています。質量が水晶振動子の約1000~3000分の1であるため、振動を受けにくい特長があります。
2.製造工程
特許取得済み MEMS First™ および EpiSeal™ 製造工程を用いて製造され、1100℃で焼き鈍しをおこないます。
この高温製造工程こそ、汚染物質を含まない密閉された高品質の振動子を生産する事を可能としています。
水晶製品の製造はMEMS製品に比べて、非常に複雑かつ製造上での清浄度も低くなります。
3.工程の数
一般的な水晶製造工程の流れは、23の工程で構成されています。
ポイントは水晶製造工程の方が…
①シリコンMEMS工程よりも大幅に多いこと
②水晶の場合は、水晶片の固定、ワイヤーボンディングによる接地、取り付け並びに硬化、周波数の調整の4つの工程はパッケージの蓋を開けた状態でおこなわれていることが挙げられます。
特に、②で指す工程では、水晶製品は特に汚染物質の影響を受けやすくなります。
当然のことながら、対策はとられていますが完全に除去するのは難しく、経年劣化の促進や信頼性の問題につながっています。
発振回路と一体になった発振器製品の場合、暫くすると振動子を固定する接着剤から有機ガスが発生、振動子に付着し質量が変化することで異常を起こすしてしまうこともあります。
MEMS製品の場合、主要製造工程が12つほどで、振動子の製造は、半導体のウエハクリーニング工程でおこなわれます。
清浄度はppbレベルまで管理され、振動子はEpiSeal™プロセスによりウエハの時点で密閉されます。この工程こそが、業界最高の品質と信頼性を実現しています。
これまで振動子起因の不具合は発生していません。
詳細はこちら → メーカーのホワイトペーパー「水晶発振器とSi-MEMS発振器の比較」
MEMS技術を活用したクロックのメリット
SiTimeのクロックが、一般的な水晶製品に比べて優れている点は、主に以下の点が挙げられます。
・振動、衝撃などの周辺環境への強さ(対環境性能)
・不良率
・エージング特性
・温度変化に対する発振周波数の変化
・プログラマブル性能
・サプライチェーン
これらは、シリコンMEMSを使用していることによるそもそもの物質の違い、内部構造の違い、生産工程の違い等が要因として挙げられます。
勿論、水晶製品も年々新しいものがリリースされており、プログラマブルな製品なども発売していますが、従来品とはまだ仕様に開きがあるようです。
内部のPLLによりプログラマブルの性能を持たせている反面、内部回路が複雑になるため消費電力などの課題は、まだMEMSにも残されておりました。
SiTimeは、そういったこれまでの課題の認識を覆すような製品ラインナップも有しております。
SiTimeのMEMS発振器の構成
一番左のMEMS振動子、中央の発振回路を組み合わせ、発振器を提供しております。
発振回路に記載のある小数点PLL(任意の周波数を小数点以下で設定可能)や、OTPを活用し、
急な仕様変更&普通であればカスタム品扱いになってしまうようなレアな周波数にも対応可能なプログラマブルな製品を実現しています。
最後に
いかがでしたでしょうか。
MEMS発振器と使ったことがある方もそうでない方も、少しでも興味を持っていただけたらと思います。
ご不明な点がございましたら、以下よりお問い合わせください。