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【製造業向け】AIリアルタイム検査の活用事例~異常検知編~

今こそ求められる、AIによるリアルタイム視覚検査

近年、世界的にAI活用が急速に進み、品質管理や生産効率化にAIを導入する企業が増えています。

しかし、日本の製造業におけるAI導入率はわずか21.4%(※)に留まり、依然として検討段階の企業が多いのが現状です。

ただ、実際にAIを導入した企業の 83.1%が「課題解決の実感がある」(※)と回答しており、AIが現場改善に実効性を持つことが明らかになっています。

※出典:MMD研究所 「製造業でAIを導入している企業は21.4%、AIを導入して課題解決の実感がある人は83.1% 業務に課題を抱えている製造業の人は63.5%」

 

国内製造業では熟練作業者の退職や若手人材の不足により、高い品質を保つための人材が年々減少しています。

これにより、長年現場を支えてきた熟練者の目や勘を再現することが難しく、品質維持そのものが課題になりつつあります。

また、製造ラインには成形品の不良、コンベヤーのわずかなズレ、部材の変形などの目に見えにくい異常が潜んでいます。

一つひとつは目立たない異常でも、見逃せばライン停止・大量不良・高額なリコールに繋がる可能性があります。

 

このような課題に対し注目されているのがAIによるリアルタイムの視覚検査です。

本記事では、製造現場の課題に対してAIがどのように貢献できるのか、実際のデモ動画とともに具体的な活用事例をご紹介します。

事例①:高速包装ラインの微細な変調をリアルタイム検知

高速で稼働する包装ラインでは、わずかな変調が設備トラブルや包装不良に直結します。

特に、コンベヤーベルトの傾きや構造部材のわずかな曲がりといった視覚的な変化は、人の目では気付きにくく、対応が遅れると生産停止や大きな損失につながる恐れがあります。

本デモでは、SiMa.aiMLSoC™を活用したコンピュータービジョンシステム が、カメラを通じて包装ラインを常時監視し、機械の性能に影響を及ぼす可能性のある微細な視覚的異常をリアルタイムで検出します。

 

包装ライン上の異常検出デモはこちらです(英語の動画になります)。

取得した映像から、SoCでは以下の処理が実行されています:
 

①ライン上の対象物や構造物を検出

②正常状態と比較した際のわずかな差異をAIモデルが推定

③微細なズレや曲がりをリアルタイムに可視化

④判定結果をSoC内で瞬時に処理し、異常をフラグとして表示

 

従来は見落とされがちだった微小な変調を早い段階で把握することが可能になり、包装ラインの安定稼働を強力にサポートします。

このようにAIによる常時監視が加わることで、設備の健全性をより高い精度で維持でき、不良流出や突発的なダウンタイムのリスク削減に貢献します。

事例②:プラスチック成形品の表面異常をリアルタイム検知

生産ラインでは、わずかな異常が設備トラブルやライン停止、さらには不良品の流出につながる可能性があります。

特にプラスチック製品は、微細な傷・欠け・凹みといった表面異常が品質に直結するため、早期検出が不可欠です。

本デモでは、SiMa.aiMLSoC™上で稼働するAIを用いて、射出成形されたプラスチック製の蓋の表面状態をリアルタイムで評価しています。

 

表面異常をリアルタイムに可視化している様子がこちらです(英語の動画になります)。

カメラで撮影した画像から、SoCでは以下の処理が実行されています:
 

①CenterNetモデルによる物体検出

②Student-Teacher Feature Pyramid Matching Networkによる異常検知

③学習モデルの期待値との差異をヒートマップとして可視化

④SoCに搭載されているArm Cortexマイクロプロセッサーによる即時判定とライン対応

 

異常箇所はヒートマップとして表示されるため、どの部分にどの程度の問題があるのかを一目で把握できます。

さらに、全ての処理がSoC内で即座に完結することで、製造工程への不良流出を未然に防ぎます

まとめ:AIで変わる不良防止・品質管理の未来

このように、今回ご紹介したような、
 

①生産ラインでの異常兆候をその場で検知してトラブルを未然に防ぐ事例

②熟練者の判断を「見える化」し、品質検査のばらつきを抑える事例

 

など、AIを現場で確実に動かす仕組みを整えることは、生産性向上・品質の安定化・省人化・ノウハウの標準化につながり、これからの製造業にとって大きな武器となります。
 

今回のデモで使用したSiMa.aiMLSoC™は、現場で使えるAIを実現するために最適化された次世代チップです。

小型・省電力でありながら最大50TOPSの高効率推論を実現し、120FPSレベルのリアルタイム処理で高速ラインにも対応。Arm Cortex-A65搭載による柔軟な開発環境も、大きな導入メリットとなります。

 

AI導入を検討されている方は、まず今回の事例のような「スモールスタート」から始めることで、自社ラインにおける改善効果を検証可能です。

ぜひ、AI活用の第一歩として本記事をお役立てください。

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