自動車業界でのAI導入、なぜ止まる?
自動車業界では今、AIを活用したいというニーズが高まっています。
Grand View Researchの調査によると、自動車向けAI市場は2030年までに1,472億米ドル(約21.7兆円)規模へ成長すると予測されており、車両の知能化や快適性向上に向けた投資が進んでいます(※1)。
※1 出典:Grand View Research, Automotive Artificial Intelligence Market Size, Share & Trends Report, 2023–2030
Automotive Artificial Intelligence Market | Industry Report 2030
しかし実際の現場では、次のような課題がAI導入を妨げています。
・PoC(概念実証)では動くが、量産に進めない
・クラウド型AIは高性能でも、消費電力や放熱の制約で車載ユニットに不向き
・AI人材不足により、試作から量産への橋渡しが難しい
その結果、「PoC止まりで終わってしまうAI導入」が業界共通の悩みになっています。
AI=クラウドだけじゃない、“現場で使えるAI”という選択肢
従来、AIといえばクラウド環境を前提とした学習・推論が主流でした。
一方で、近年注目されているのが「フィジカルAI」という新たな選択肢です。
フィジカルAIとは、センサーやアクチュエーターを通じて現実世界を認識・理解し、AIが判断した結果を物理的に実行する技術のことです。
では、従来のクラウド型AIと比べて、フィジカルAIにはどんな違いがあるのでしょうか?以下の表で整理します。
項目 |
フィジカルAI |
クラウド型AI |
定義 |
現実世界の物理環境を認識し 自律的に行動するAI技術 |
主にデジタルデータに基づく 高度な推論・生成・分析を行うAI |
サイズ |
小型モジュール中心で 装置や現場への直接組込みが可能 |
サーバーラック規模で 現場への直接組込みは困難 |
リアルタイム性 |
ローカル処理できるため 低遅延が実現しやすい |
通信経由のため 遅延やネットワーク障害の影響を受けやすい |
セキュリティ |
オフライン処理も可能で 外部送信を避けられる設計がしやすい |
通信・クラウド依存のため 情報漏洩リスクや対策が不可欠 |
PoC→量産 |
開発環境と量産環境の差が小さく スムーズに移行可能 |
リソースを調整できるためPoCはしやすいが 本番環境で再構築が必要になるケースが多い |
フィジカルAIとクラウド型AIとの比較表
フィジカルAIとクラウド型AIは用途や環境に応じて使い分けることで、それぞれの強みを最大限に活かすことが可能です。
フィジカルAIは小型で現場への組み込みがしやすく、処理をローカルで行うため低遅延かつセキュリティ性に優れます。PoCから量産まで環境差が小さく、導入もスムーズです。
クラウド型AIは大規模な計算資源を活用できる一方で、通信依存のため遅延や情報漏洩リスクがあり、本番導入時に再構築が必要となる場合があります。
車載での適用領域 ― まずは周辺のユースケースから
自動運転やADASの中核領域(車線維持支援、衝突回避ブレーキなど)では、すでにGPUや専用SoCを用いたAI搭載が進んでいます。しかし、これらは機能安全に直結する高い安全要求水準が課せられるため、新興技術をすぐに採用するのは現実的には難しいのが現状です。
一方で機能安全に直結しない周辺ユースケースであれば、より柔軟にAIを導入でき、フィジカルAIのメリットを生かしやすい領域です。
<具体例>
・車室内モニタリング(眠気検知、姿勢・乗員数把握)
・駐車支援・周辺監視(死角補完、動体検知)
・エンターテイメント・快適性制御(視線追跡、ジェスチャー検出、音声アシスタント)
こうした領域は短納期・低コストでPoCを立ち上げやすく、量産にもスムーズに展開可能です。まずは周辺領域から導入を進めることで、現実的かつ着実にAI活用を広げていくことができます。
フィジカルAIの特長と、それを実現するSiMa.ai
フィジカルAIは従来のクラウド型AIにはない「現場で使いやすい特長」を備えています。
- サイズ:小型モジュール中心で、装置や現場への直接組込みが可能
- リアルタイム性:ローカル処理できるため、 低遅延での判断・制御が実現しやすい
- 実装のしやすさ:開発から量産まで同じ環境で扱え、スムーズに移行可能
これらの特長を実際の製品として形にしているのが SiMa.ai (シーマ・エーアイ)です。
同社のプラットフォームは、以下のような特長を持っています。
- 高効率AIチップ:毎秒約50兆回の演算を消費電力5W相当で実現
- 高いリアルタイム性・セキュリティ:クラウド通信不要のため低遅延、情報漏洩リスクを低減
- 開発環境:GUIツールによりドラッグ&ドロップで専門家でなくても扱える
- 一貫運用:最適化されたハードウェア+ソフトウェアの包括プラットフォームを提供
製造業向けAI導入で直面する課題に対し、SiMa.aiは現実的な解決策をお届けしています。
まとめ:車載向けAIの新たな選択肢「フィジカルAI」
車載AIの導入は進んでいますが、クラウドベースでは消費電力や量産移行の壁があり、「PoC止まり」が課題となっています。そこで注目されるのが、小型モジュール中心・低遅延・スムーズな実装を実現する「フィジカルAI」です。
特に、車室内モニタリングや駐車支援などの周辺領域では、PoCから量産までスムーズに展開でき、導入ハードルも低くなります。
SiMa.aiは、高効率AIチップとGUI開発環境により、現場で使えるAIを現実のものにしています。車載向けAI導入の第一歩として、フィジカルAIという新たな選択肢を検討してみてはいかがでしょうか?
お問い合わせ
製品の詳細・技術的なご質問・サンプル依頼・お見積りなど、まずはお気軽にご相談ください。