Bluetooth®、Wi-Fi、Zigbee、Thread、Z-Wave、Sub-GHz…と、非常に魅力的で、幅広いワイヤレス・ソリューションを持つ Silicon Labs社。その魅力的な製品群をご紹介していきます。

Silicon Labs/ワイヤレス講座 シリーズ一覧

第2回は "Zigbee 開発フロー編"です。
この記事では、Zigbee機器の開発手順について、Zigbee認証の取得プロセスも交えながらご紹介します。

[Silicon Labs/ワイヤレス講座] Zigbee 基礎編

ご存知ですか?「Zigbee機器ができるまで」

Zigbee機器の開発の流れについては、残念なことにあまり情報が出回っていないようです。

手順を簡単にまとめてみると、次のような流れになります。

  1. Zigbee Compliant Platform 認定済デバイスを選定する
  2. 機器を設計する
  3. Zigbee 周辺の設計が完了したら、プレテストを行う
  4. 認定試験機関でテストを行い、Zigbee Alliance から認証を受ける
Article header library 128705 pic01  2
Zigbee機器の開発の流れ

これだけでは判りづらいと思いますので、もう少し細かく手順を見ていきたいと思います。

1. Zigbee Compliant Platform 認定済デバイスを選定する

機器にZigbee機能を搭載する場合、まず行わなければならないのは、どの無線デバイス/モジュールを使用してZigbeeを実現するのか?を決定することです。

過去に使用したことがあるからX社の製品Aを使おう、聞いたことない会社だけど安いからY社の製品Bを使おう、Z社の製品Cを使ってZigbeeスタックは自作してしまおう…という方もいるかもしれません。

でも、ちょっと待ってください!

Zigbeeは、最終製品でのZigbee認証取得が必要な規格です。最終製品でZigbee認証(Zigbee Certified Product)を取得するには、Zigbee Compliant Platform認証を取得したデバイスを使用して機器開発することが前提となっています。
つまり、選択したデバイスがそもそもZigbee Compliant Platform認証を取得していなければ、頑張って機器開発したとてもZigbee認証を得られない可能性があります。

デバイスを決定する前に、そのデバイスがZigbee Compliant Platform認証を取得しているかどうか、必ず事前に確認するようにしましょう。

Zigbee Compliant Platformとは?

このZigbee Compliant Platform認証は、ユーザーではなく、デバイスメーカーが取得するものです。
ハードウェア(デバイス)とソフトウェア(Zigbeeスタック)の組み合わせで、Zigbee仕様に準じていることが確認されています。

どの製品がZigbee Compliant Platform認証を取得しているかは、ZigbeeAllianceのWEBサイトで確認できます。

Zigbee 3.0に準拠したプラットフォームを見てみると、Silicon Labs社の登録がズラリと並びます。Silicon Labs社のZigbee対応デバイス開発の活発さを裏付けるものですし、またSilicon Labs社製品に対する市場からの期待の高さも感じさせます。

Article header library 128705 pic02  3
Compliance Platform の一覧 ( Zigbee Alliance のWeb サイト)

2. 機器を設計する

選択したZigbee Compliant Platformをターゲットに、ソフトウェア設計を行っていきます。

Silicon Labs社のEFR32MG(SOC)やMGM1xx(モジュール)の場合には、Simplicity Studio という開発環境を使用して設計を行います。このSimplicity Studioは、Silicon Lab社の32-bitマイコン(EFM32ファミリ)や、Bluetoothモジュール(BGM1xxファミリ)の開発でも使用する、お馴染みの開発プラットフォームです。

Simplicity StudioにApplication Builderというツールが搭載されており、このツール上でクラスター(Cluster)の設定や、対応するプロファイルの設定、セキュリティ設定、プラグインやコールバックなどの設定を行います。設定が完了すると、設定に準じたソースコードが生成されるようになっています。

Article header library 128705 pic03  1
設定はApplication Builder上で行う

Zigbeeスタックの生成が終わったら、ユーザコードを設計します。

動作は基本的にイベント・ドリブンとなっていますので、あるイベントが発生したら、それに対応したコールバック処理の中で適切な処理を行う、といったコーディングになります。Zigbeeスタックの制御や、各種ペリフェラルの制御用にAPIが用意されていますので、それらを活用しながらソフト設計を行っていきます。

3. プレテストを行う

最終製品が完成してからテストに着手するのでは、開発期間の観点でもリスクが大きいです。開発と並行して、或いは通信部分がある程度完成したタイミングでプレテストを行っておくのは非常に合理的です。

認証試験で使用するハードウェアとツールをZigbee Allianceから購入することで、自分達でもプレテストを行うことができます。テストの概要については、シリコンラボ社からアプリケーションノート(AN1118)が提供されています。プレテストは必須ではありませんが、行うことをお勧めします。

認証用ハードウェアであるテストハーネスと、ユーザーが設計した最終製品との間で通信を行い、認証用制御ツール(ZigbeeTest Tool、略してZTT)を使い、機器で使用しているクラスターに合わせてテストを行っていきます。

なお、ZTT・テストハーネスについては、Zigbee AllianceのWEBサイトにドキュメントが用意されています。


Zigbee Allianceへの加入が必要

ZTT・テストハーネスの入手やテスト仕様書の入手、Zigbee認証の取得には、Zigbee Allianceのメンバーであることが必要です。

メンバーには、Promoter、Participant、Adopterと階層があり、それぞれ権限と年会費とが異なります。

4. 認定試験機関でテストを行い、Zigbee Alliance から認証を受ける

Zigbee認証の取得にあたり、最終製品での実機テストが必要になります。

テスト自体はZigbee Allianceでは行わずに認定試験機関(テストラボ)で行い、そのテストレポートをZigbee Allianceへ申請し、Zigbee Allianceが認証を行います。

Zigbee認証試験が実施可能な認定試験機関は限られます。弊社からご紹介できますので、以下からお問い合わせください。

なお、Zigbee認証は電波法認証ではありませんので、製品の仕向地(輸出先)の電波法認証取得が別途必要になります。(これはZigbeeに限った話ではありません)
あらかじめ、電波法認証を取得済みのモジュールを使用するのも手です。

それから、もしWorks with Alexa認証を取得する場合には、上記に加えてAmazon社への認証申請および実機テストが必要になります。

次回は、Silicon Labs社デバイスを使った 評価・開発の流れについて、ご紹介したいと思います。
[Silicon Labs/ワイヤレス講座] Zigbee 環境構築編


おすすめ記事/資料はこちら

[Silicon Labs/ワイヤレス講座] Zigbee 基礎編
[Silicon Labs/ワイヤレス講座] Zigbee 環境構築編

Silicon Labs/ワイヤレス講座 シリーズ一覧

おすすめセミナー/ワークショップはこちら

IoT開発導入ハンズオンセミナー(HEMS・産業用)