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今後の成長が見込まれるIoT(モノのインターネット)市場。なかなか急速な市場拡大とまではいかないようですが、スマートハウスやネットワーク家電というワードを見かける機会も増えましたし、腕時計型のウェアラブル端末を身に着けている人もチラホラ見かけるようになりました。
徐々に拡がりを見せるIoT市場ですが、この市場を狙った非常に画期的なマイコンがSilicon Labs社(シリコンラボラトリーズ)からリリースされました。

IoT時代のマイコンに求められるもの

製品をご紹介する前に…

IoT機器やウェアラブル端末で使用されるマイコンには、どのような機能・性能が求められるでしょうか?

重要だと良く言われるのは「低消費電力性能」です。
特にセンサーノードなどは設置個所の都合で電池駆動させるものが多いですから、消費電力の低いシステムを構築できると大きなメリットがあります。電池交換の頻度を減らすことができればメンテナンスコストが下がりますし、容量の小さい電池を使うことで機器の小型化が実現できたり製造時の部品調達コストを下げたりできるかもしれません。

「ワイヤレス技術との親和性」も重要です。
IoT機器は“ネットワークに繋がる機器”ですので、何かしらの通信手段を持っています。IoTは無線(ワイヤレス)との親和性が高く、Bluetooth®やWiFi、3G/LTE、Z-Wave、ZigBee、Thread、それから特小無線(920MHz帯)などが用途に応じて使い分けられています。BluetoothLow Energyは急速に普及していますし、北米や欧州の一部ではZigBeeも使われています。今後はIPv6対応したThreadの普及が期待されます。日本では電力スマートメータで標準採用されたWi-Sun(920MHz帯)にも注目です。
Silicon Labs社は、この「ワイヤレス技術との親和性」においても非常に強いメーカーなのですが、それはまたの機会にご紹介します。

この2点。とりわけ「低消費電力性能」については、ご存じの方も多いポイントだと思います。
これらに加えて、今後は「セキュリティ」が鍵になってきます。

なぜ今更「セキュリティ」?

機器がネットワークを構成して情報の受け渡しを行うようになると、それに伴って情報が漏れる危険性が増えていきます。例えば、宅内のセンサー情報を盗み見られることで、在宅中か留守中か簡単に判ってしまうなんてゾッとしますね。セキュリティ強化の重要性については色々なところで議論されていますので、詳しい説明はそちらに譲りますが、セキュリティを高める手段の一つとして暗号化があります。

一口に暗号化と言っても、AESやDES/3DESなどの公開鍵暗号、RSAやECC(楕円関数)などの共通鍵暗号、SHA-1・SHA-2などのハッシュ関数、のように様々な方式があります。暗号化を行うか?どの暗号方式を使用するか?…について、メーカー側に選択肢がある場合もありますが、政府・団体や規格によっては特定の暗号化を使用するように義務付けられている場合もあり、特にIoT機器については暗号化の使用が求められるケースが多いようです。

暗号化が必要であれば、ソフトウェアで暗号化を行えば良い訳で、何が問題なの?なぜ「セキュリティ」が鍵なの?と思われるかもしれません。

では何が問題なのか?
それは暗号化のソフトウェア処理にかかる時間です。

暗号化をソフトウェア処理する場合、非常に複雑な演算を行います。処理性能の高くないマイコンを使用していればソフト処理に膨大な時間がかかりますので、その分平均消費電力が高くなってしまいます。電池やバッテリで動作させる機器であれば、電池寿命が縮まることになります。また、暗号認証を高速で行う必要のあるシステムでは、処理に長時間要することをそもそも許容できない場合もあります。
それに対して処理性能の高いCPUを使えば処理時間は短くなりますが、そうしたCPUはベース電流が高いのが常ですし、また部品コストも上がってしまいます。

特にセンサーノードのように、消費電力と製造コストのバランスが求められる機器にとっては、非常に難解な課題です。

暗号化エンジンを搭載してしまおう、という発想

エンジニアを悩ませるこの難問に対して、1つの解となりそうなのが、Silicon Labs社がリリースした EFM32PG/JGファミリです。

このEFM32PG/JGファミリには、暗号化の専用ハードマクロが搭載されています。このセキュリティ・エンジンは、ECC、SHA-1、SHA-2、AESといったIoTで必要とされる暗号方式をサポートしています。
ハード処理しますので暗号化にかかる処理時間も短く、低消費電力性能に優れます。この機能をCortex-M3(EFM32JG)、Cortex-M4F(EFM32PG)クラスのマイコンに搭載したのが肝です。

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次回は、このEFM32PG/JGの詳細について紹介していきます。

EFM32シリーズマイコンが気になった方はこちらもご覧ください

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