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モーター制御やバルブ開度検出、ステアリング角度検出など、さまざまな機器で位置検出を行うポジションセンサーは重要な役割を担っています。一方で近年は、高温環境や振動環境への対応に加え、レアアースを使用する磁石の価格高騰や供給リスクへの対策も求められるようになっています。
 
そのような背景のなか、磁石を使用せず非接触で位置検出が可能なインダクティブポジションセンサー(以下IPS)が注目されています。本記事では、代表的なポジションセンサーとの比較を通じてIPSの特長を解説するとともに、Renesas製IPSのラインアップをご紹介します。

ポジションセンサーの検出方式

ポジションセンサーは、下図に示すとおり、検出方式によって大きく「接触式」と「非接触式」の2種類に分けられます。

接触式は、可変抵抗器に代表されるように、機械的な接点を利用して対象物の位置を検出する方式です。構造が比較的シンプルで取り扱いやすい反面、動作時に接点が物理的に摺動するため、摩耗や経年変化によって製品寿命が制限されるという課題があります。

 

これに対して非接触式は、センサーと検出対象を機械的に接触させることなく、対象物の位置を検出します。光学式、磁気式、レゾルバ、インダクティブ方式などが代表的な検出方式です。機械的な接点を持たないことから摩耗が生じにくく、長寿命で信頼性の高いシステムを構成しやすいという利点があります。

特に、一定の検出精度を確保しながら、磁場、粉塵、振動などに対する耐環境性も求められる用途では、インダクティブ方式が有力な選択肢となります。インダクティブ方式は、磁石を使用せず、かつ非接触で安定した位置検出を行える点が大きな特長です。

代表的なポジションセンサーとIPSセンサーの特長と課題比較

代表的なポジションセンサーについて、方式ごとの特長と課題を比較します。IPSは、検出精度を確保しながら、磁場・粉塵・振動などに対する耐環境性も求められる場面に適した位置検出方式です。
特に、磁石やその原材料となるレアアースの価格変動、供給不安が注目されるなか、磁石を必要としない点はIPSの大きな特長といえます。磁石レスかつ非接触で位置を検出できるため、磁石の調達リスクを抑えながら、厳しい使用環境でも安定した位置検出を実現しやすい方式です。

ポジションセンサー種類 接触方式 特長 主な課題
ポテンショメーター 接触式

・低コスト
・構造が単純

・接触による経年劣化、接触不良
光学式エンコーダー 非接触式 ・高分解能、高精度
・高速で低遅延な信号応答
・光路使用による粉塵、油の影響あり
・高コスト
磁気式エンコーダー ・小型化容易
・埃や振動に強い
・磁場影響あり
レゾルバ ・高耐環境性
・車載分野で長期採用実績あり
・大型、高コスト
IPS ・磁石レス
・高耐環境性
・コイル設計にノウハウが必要

Renesas製IPSラインアップ

ここからは、各種ポジションセンサーの特長ごとに、Renesas製IPSのラインアップをご紹介します。

RAA2P4200/RAA2P4500シリーズ

ポテンショメーターの非接触化に対応

ポテンショメーターは、低コストで導入しやすいという利点がある一方、機械的な接点を持つため、長期間の使用に伴う摩耗や経年劣化が課題となります。こうした接触式特有の課題に対する選択肢として、機械的な接点を使用しないIPSへの置き換えが注目されています。
RAA2P4200
(産業機器向け)およびRAA2P4500(車載向け)は、ポテンショメーター用途への適用を想定した12ビットのアナログ出力モードを搭載しています。
検出対象の位置に応じて、出力電圧が最小電位から電源電圧まで連続的に変化するため、従来のポテンショメーターに近い出力形式で使用できます。
ポテンショメーター出力との親和性を保ちながら、非接触化によって摩耗や経年劣化を抑えられる点が、RAA2P4200およびRAA2P4500の大きな特長です。

参照元:RAA2P4200 Datasheet Rev1.1
https://www.renesas.com/ja/document/dst/raa2p4200-datasheet

 

RAA2P3200/RAA2P3500シリーズ

デジタル出力エンコーダーに対応

RAA2P3200(産業機器向け)およびRAA2P3500(車載向け)は、ノイズの影響を受けにくく、マイコンとの接続にも適したデジタル出力対応のIPSです。
磁石を使用しない電磁誘導方式を採用しているため、従来の磁気式エンコーダーで課題となる、磁石に起因した機構設計上の制約や外部磁場の影響を抑えられます。

インクリメンタル出力(ABI)では、伝搬遅延100ns以下の高速応答に対応しており、リアルタイム性が求められるフィードバック制御に適しています。
また、True Power機能を搭載しているため、インクリメンタル出力を使用する場合でも、電源投入直後から電気的な絶対位置、すなわち現在角度を取得できます。

参照元:RAA2P3200 Datasheet Rev1.2
https://www.renesas.com/ja/document/dst/raa2p3200-datasheet

RAA2P3226シリーズ

高精度エンコーダーに対応

RAA2P3226は、高分解能の位置検出と絶対位置の取得に対応したIPSです。センシング部には、周期特性の異なる信号を生成する2組のコイル構造を採用しています。それぞれのコイルから得られる信号を組み合わせて演算し、バーニア効果を利用することで、最大19ビットの高い位置分解能を実現しています。

また、2組のコイルから得られる複数の位相信号を用いることで、機械角に対して一意となる位置情報、すなわち絶対角を算出できます。
このため、従来のインクリメンタルエンコーダーで必要となる原点復帰動作を行わなくても、電源投入直後から現在の位置情報を取得することが可能です。出力インターフェースにはUARTABIなどを備えており、モーターが高速で回転する用途においても、高分解能な位置情報をリアルタイムに出力できます。

IPS2550シリーズ

レゾルバに対応

IPS2550は、従来のレゾルバと同様のSin/Cosアナログ信号を直接出力できる、レゾルバ用途向けのIPSです。レゾルバに近い出力形式を備えているため、既存のインターフェース回路やシステム構成への影響を抑えながら、置き換えを検討できます。理想条件下では±0.1FS以下の位置検出精度に対応しています。

 
さらに、エアギャップのばらつきを補正するAuto Gain Control(AGC)機能などにより、実使用環境においても安定した検出精度を確保しやすい設計となっています。
このため、レゾルバの置き換えや、高い信頼性が必要とされるモーター位置検出用途に適しています。

参照元:IPS2550 Datasheet Rev:April 24, 2024

https://www.renesas.com/ja/document/dst/ips2550-datasheet?r=1469886

RAA2P4520シリーズ

ステアリングセンサーに対応

RAA2P4520の大きな特長は、1チップで冗長な位置検出システムを構成できる点です。ステアリング用途を想定したIPSで、チップ内部に2組の独立した受信コイルを搭載しています。この冗長構成により、ステアリングシステムに求められる機能安全要件に対応し、システムレベルでのISO 26262 ASIL D対応が可能です。各系統の出力インターフェースはSENTに対応しているため、接続先のシステム要件に応じた構成を検討できます。

まとめ

本記事では、代表的なポジションセンサーの検出方式を取り上げ、それぞれの特長と課題を比較するとともに、用途別に展開されているRenesas製IPSのラインアップをご紹介しました。ポジションセンサーは、接触式・非接触式を含め、方式によって得意とする用途や使用条件が異なります。なかでもインダクティブ方式は、磁石を使用せず、非接触で位置を検出できる点が特長です。磁場・粉塵・振動などの影響が懸念される環境において、必要な検出精度と耐環境性の両立を図りたい場合の有力な選択肢となります。

 

また、磁石やレアアースの価格変動、供給不安への対応が求められるなか、磁石を必要としないことは、調達リスクを抑える観点でも注目すべき特長です。Renesasでは、ポテンショメーター、デジタル出力エンコーダー、高精度エンコーダー、レゾルバ、ステアリングなど、要求仕様に応じて選択できる幅広いIPS製品をラインアップしています

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