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PCI Express 設計に入る前に押さえておきたい超基本

PCI Express 対応のICを使って設計や評価に取り組もうとしたとき、「レーンって何?」「帯域幅ってどう見ればいいの?」といった言葉に戸惑ったことはありませんか?

こうした用語は、PCI Express の仕組みや世代の違いを理解するうえで、最初に少しだけ整理しておくと、後の理解がぐっとスムーズになります。本記事では、PCI Expressを初めて扱う技術者の方に向けて、設計に入る前に知っておきたい“超基本”の用語と概念を、図解を交えてやさしくまとめました。

これから PCI Express について学んでいくための、最初の一歩としてご活用ください。

インターフェースとは?

 IC 同士が通信するためには、信号のやりとりをする“通り道”が必要です。この通り道のことを「インターフェース」と呼びます。

インターフェースには、信号の種類や通信方式、物理的な接続方法などが含まれており、IC が正しく動作するための“共通ルール”のようなものです。PCI Express もそのひとつで、特定の通信方式と物理仕様に基づいて、IC 間で高速なデータのやりとりを可能にしています。

シリアル通信とレーンの考え方

シリアル通信とパラレル通信の違い

IC 同士がデータをやりとりする方法には、大きく分けて「パラレル通信」と「シリアル通信」があります。パラレル通信は、複数の信号線を使って同時にデータを送る方式で、昔のバスインターフェースなどでよく使われていました。一方、シリアル通信は、1本の信号線で順番にデータを送る方式で、ノイズに強く、高速化しやすいという特長があります。図1 では、パラレル通信とシリアル通信の違いを簡単に比較しています。シリアル通信では、1本の信号線で順番にデータが流れる様子がわかります。

図1:シリアル通信とパラレル通信
図1:シリアル通信とパラレル通信

レーンの考え方

PCI Express はこのシリアル通信を採用しており、信号線のことを「レーン(Lane)」と呼びます。レーンは、送信と受信の 1セットで 1レーンとされ、x1(1レーン)、x4(4レーン)、x16(16レーン)など、用途に応じて複数のレーンを束ねて使うことで、より多くのデータを同時にやりとりできるようになっています。

帯域幅と転送速度の違い

IC同士が通信する際に、「どれくらいの量のデータを、どれくらいの速さでやりとりできるか」はとても重要なポイントです。

そのときによく使われる言葉が「帯域幅」と「転送速度」です。

どちらも“速さ”に関係する言葉ですが、意味は少し違います。この違いを、道路と車の例えで考えてみましょう。

帯域幅 (Bandwidth) は、通信路がどれだけの情報量を通せるかを表す指標で、主に「ビット単位 (bps) 」で表されます。
→ これは「道路の車線の数」に例えられます。車線が多いほど、同時にたくさんの車(データ)を通すことができるため、帯域幅が広いと言えます。

転送速度 (Throughput) は、実際にやりとりされるデータの量を表す指標で、「バイト単位 (B/s) 」で表されることが多いです。場合によっては「転送回数(T/s)」という単位が使われることもあり、これは1秒間に何回データを転送できるかを示します。
→ これは「実際に道路を走っている車の数」に例えられます。道路が広くても、車が少なければ転送速度は低くなります。

図2 では、道路の車線と車の流れを使って、帯域幅と転送速度の違いをイメージで表しています。設計やIC選定の際には、「通信路の広さ(帯域幅)」だけでなく、「実際に流れるデータ量(転送速度)」の両方を意識することが大切です。

図2:帯域幅と転送速度のイメージ
図2:帯域幅と転送速度のイメージ

プロトコル層の概要

通信は“層”で整理されている

デジタル機器同士がデータをやり取りする際には、単に信号を送るだけではなく、どんな順番で、どんな形式で、どうやってエラーを防ぐかなどのルールが必要です。このルールを役割ごとに分けて整理したものが「プロトコル層(レイヤー)」です。

なぜ層に分けるのか?

通信の仕組みを層に分けることで、設計やトラブル対応がしやすくなるというメリットがあります。たとえば、エラー処理は「この層」、信号の送受信は「この層」と分けておけば、それぞれの層だけを改善・変更できるのです。

よく使われる3つの層

通信プロトコルでは、以下のような3つの層がよく使われます。

・トランザクション層(Transaction Layer)
 通信の目的(読み書きなど)を定義し、データのやり取りの指示を出す層

・データリンク層(Data Link Layer)
 隣接する機器間で、エラーのない通信を保証する層

・物理層(Physical Layer)
 実際の電気信号としてデータを送受信する層

PCI Expressでは、上記の「トランザクション層」「データリンク層」「物理層」の3つの層を使って通信をおこなっています。それぞれの層が担う役割を理解することで、IC がどこに関与するか、どこに注意すべきかが見えてきます。

まとめ:設計に入る前に、言葉の意味を理解しておこう

PCI Express の設計に取り組む前に、まずはよく出てくる用語や考え方をざっくりでも理解しておくと、後の資料や仕様書が読みやすくなります。細かい仕様や設計の話に入る前に、まずは言葉の意味を整理しておくだけでも、PCI Express の世界が少し身近に感じられるはずです。

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