NXP MCX の「+α の機能価値」とは何か?
その結果、コスト・パッケージサイズ・Core性能のバランスを保ちながら、製品価値を大きく向上できるマイコンとなっています。
単なる性能向上ではなく、マイコン1チップで製品構成を最適化できる点にあります。
これにより、「部品点数削減」、「基板小型化」、「開発工数削減」を同時に実現し、製品全体の競争力を高めることが可能です。
本記事では、MCX が持つ「+α の機能価値」について紹介します。
・①:16bit ADC / DAC / Comparator / OPAMP 内蔵で、部品点数の削減や基板面積の小型化を実現
・②:低コストマイコンでは珍しい、最大5個の32-bitタイマーを搭載し、Input Capture機能のオーバーフローを低減
・③:FlexIOとGUI Guiderを活用することで、LCDディスプレイ制御やHMIを短期間で構築可能
・④:PHY内蔵 Full Speed USB、10/100Mbps Ethernet MAC、最大2系統のCAN FDを搭載し、さまざまな通信機能を構築可能
・⑤:eIQ Tool KitおよびNPU対応により、異常検知などのエッジAI機能をマイコン単体で実装可能
NXP MCX 参考ガイド
①:16bit ADC / DAC / Comparator / OPAMP 内蔵
16bit ADC / DAC / Comparator / OPAMP 内蔵で、部品点数の削減や基板面積の小型化を実現が可能です。
16-bit SAR ADC は高精度測定に加え、コマンドバッファーやトリガー制御、平均化、範囲比較、FIFO連携を組み合わせることで、複数チャンネルの測定・判定・データ取得を自律的かつ低CPU負荷で実行できます。
OPAMP は、入力信号を増幅・バッファー・反転/非反転処理するアナログ信号処理ブロックです。
MCXN ではPGAやバッファーなど複数モードを内蔵し、ゲイン設定やオフセット調整をソフト制御で柔軟に実現できます。
DAC は高分解能(12bit/14bit)とFIFO・ハードウェアトリガー機能により、電圧ステップを細かくかつ一定周期で出力できるため、滑らかで歪みの少ない波形生成が可能です。
DMAやタイマー連携などの自律ペリフェラルによりCPU介入なしで安定した波形生成を実現し、外付けDACや波形生成回路を不要とする高集積・高精度設計が可能です。
Comparator (CMP) は内蔵 8bit DACを用いた可変しきい値によるアナログ比較に加え、ウィンドウ判定やデジタルフィルター機能を備えており、ノイズ耐性の高い信号判定を実現します。
トリガーや割り込みと連携することでCPU介入なしの高速イベント検出が可能であり、低消費電力動作中でも継続して動作するため、リアルタイムかつ省電力な監視機能をMCU単体で実現できます。
これらのペリフェラルは内部で相互接続できるため、信号の生成・調整・判定・測定まで一連のアナログ処理を外付け回路なしで完結でき、高精度・低ノイズなアナログフロントエンドをMCU単体で構成可能です。
その結果、16bit ADC / DAC / Comparator / OPAMPを内蔵することで、部品点数の削減と基板面積の小型化を実現しつつ、設計の簡素化と高機能化を両立できます。
参考情報
AN14190: OPAMP usage on MCXN947 | NXP Semiconductors
[NXP MCX ペリフェラルガイド 9] MCX A3xx 内蔵オペアンプ の基本 – Macnica NXP サポート
[NXP MCX ペリフェラルガイド 4] AN14679 を読み解く!ADC パフォーマンス・ベンチマーク解説 – Macnica NXP サポート
②:低コストマイコンでは珍しい、最大5個の32-bitタイマーを搭載
低コストマイコンでは珍しい、最大5個の32-bitタイマーを搭載し、Input Capture機能のオーバーフローを低減
32bit の CTIMERを搭載することにより、長時間の計測や低周波信号の測定においてもオーバーフローを心配せずに使用することが可能です。
特にInput Capture用途では、周期の長い信号から高速信号までを同一の仕組みで安定して測定できるため、ソフトウェアでの補正や分割処理を大幅に削減できます。
32bit CTIMERが5個も独立して動作可能である点は、複数の信号をキャプチャーしたい用途では、大きなメリットになります。
CTIMER以外にも用途特化型のタイマーを備えている点も特徴です。
例えば、高度なPWM制御に適したSCTimer/PWMやFlexPWM、低消費電力動作を支える LPTMR や 、周期割り込みに特化した Micro-tick タイマー、長時間管理に適した時刻補正機能付きRTCなどが用意されています。
これにより、汎用用途は CTIMER で柔軟に処理しつつ、高精度制御や低消費電力といった特定用途では最適化された専用タイマーを選択することができ、システム全体としての効率と性能を最大化できる。
このように、「32bitという高分解能」と「5個の独立動作による並列性」、さらに「専用タイマーとの役割分担」を兼ね備えることで、本マイコンは低コストでありながら高度な時間制御を実現できます。
参考情報
ctimer — MCUXpresso SDK Documentation
[NXP MCX ペリフェラルガイド 10] モーター制御の強い味方 FlexPWM の使い方 – Macnica NXP サポート
③:FlexIOとGUI Guiderを活用することで、LCDディスプレイ制御やHMIを短期間で構築可能
GUI Guider を組み合わせることで「GUIレイアウト設計、生成コードによるUI実装(GUI Guider)、LCD駆動(FlexIO + DMA)」をシームレスに統合でき、
「UI設計 → コード生成 → 実機表示」までのフローを一気通貫で開発できます。
FlexIOは、LCD制御に必要な8080パラレルバスを含む各種インタフェースをハードウェア上でエミュレーションできる、高い柔軟性を持つI/Oモジュールです。専用の周辺回路を必要とせず、ピン配置や信号極性、タイミングを自由にカスタマイズできるため、シフターとタイマーを組み合わせることでパラレルデータ転送と制御信号生成をハードウェアで効率的に処理します。
これにより、設計者はデバイス固有の制約に縛られることなくLCDを接続でき、部品点数の削減と設計自由度の向上を同時に実現できます。
データ転送を担うシフター、タイミング生成を担うタイマー、そして柔軟なピン制御を組み合わせることで、8080 LCDインターフェースだけでなく、さまざまなパラレル通信をソフトウェア定義で実現可能です。1〜32bitのパラレル幅に対応し、ダブルバッファー構造による連続データ転送やDMAとの連携によるフレームバッファーからの高速転送を実現するとともに、WR信号などの厳密なタイミング生成もハードウェアで処理します。
SmartDMA と一緒に使用することで、SmartDMA にて RGB565形式からRGB888形式への変換をCPUを介さずに処理ができ、CPU負荷を低減しながらGUI処理やアプリケーション処理にリソースを集中させることが可能となります。
参考情報
Using Kinetis FlexIO to Drive a Graphical LCD
Introduction to the FlexIO module
Using SmartDMA for Graphic on MCX N Series MCU
[NXP MCX ペリフェラルガイド 6] FlexIO 制御方法 ~8080 LCD インターフェース~ – Macnica NXP サポート
[NXP MCX ペリフェラルガイド 7] Arm コアの負荷を軽減する SmartDMA EZH の使い方 – Macnica NXP サポート
[NXP MCX ペリフェラルガイド 8] LCD パネル表示向け SmartDMA ペリフェラルの活用例 – Macnica NXP サポート
④:PHY内蔵 Full Speed USB、10/100Mbps Ethernet MAC、最大2系統のCAN FDを搭載
MCXN には 高性能な通信機能を実現可能なペリフェラルが搭載されています。
NXP MCUXpresso SDK には ドライバーの他に、スタック や FatFS、USB サンプルソフトウェアなど多数用意されており、すぐ機能検証可能です。
■ USB機能
・ハイスピード(HS)USB 2.0(最大480Mbps、内蔵HS USB PHY)およびフルスピード(FS)USB 2.0デュアルロール(内蔵FS USB PHY)に対応
・ホストモード:ハイスピード/フルスピード/ロースピード対応
・デバイスモード:ハイスピード/フルスピード対応(水晶発振子レス設計をサポート)
・ローカル/リモートウェイクアップ対応の低消費電力モード
・シリアルPHYインターフェースは、双方向/単方向、差動/シングルエンド構成に対応
・充電器検出機能に対応
・組み込みDMAコントローラーを搭載
・デバイスモードでの水晶発振子レス設計をサポート
■ Ethernet(10/100Mbps)
・Ethernet MACインターフェースを搭載
・外部PHYとの接続にMII/RMIIインターフェースをサポート
・IEEE 1588対応のタイムスタンプ機能を内蔵し、産業オートメーション用途における分散ノードの高精度クロック同期を実現
・DMA対応および専用パケットRAMにより高性能を実現
■ FlexCANモジュール
・CANプロトコル仕様 Version 2.0Bを完全実装(標準/拡張フレーム対応)
・最大10Mb/sのビットレートをプログラム可能
・CAN-FD対応(CAN 2.0の拡張)
・データ通信速度を500kb/s(従来)から最大2Mb/s(通常モード)、プログラミングモードで最大5Mb/sまで向上
・ペイロードを8バイトから最大64バイトに拡張し、通信効率を改善
・高速化と大容量化により、暗号化などのセキュリティ強化が可能
■ SD / eMMC インターフェース(uSDHC)
・SD / SDIO規格(Ver.3.0まで)対応
・MMC規格(Ver.5.0まで)対応
・3.3Vおよび1.8V動作に対応
・SD / SDIO:1bit / 4bitモード対応
・MMC:1bit / 4bit / 8bitモード対応
参考情報
⑤:eIQ Tool KitおよびNPU対応により、異常検知などのエッジAI機能をマイコン単体で実装可能
■ 物体検知、人物検知、顔認識/認証
MCXN に搭載している NPU を使用することで、CNN AI モデルをオフロードさせることが可能です。
カメラ機能と組み合わせることで顔認識、物体検知を MCX で実現することが可能です。
参考情報
GitHub - nxp-appcodehub/dm-multiple-face-detection-on-mcxn947
GitHub - nxp-appcodehub/dm-multiple-person-detection-on-mcxn947
■ 時系列データ AI による、状態監視、異常検知
時系列データ AI は CPU Core にて推論させて動作できるため、NPU を搭載していないマイコンでも、eIQ Time Series Studio を使用することで、時系列データ AI を構築することが可能です。
特徴
・さまざまな状態を示すセンサの時系列データを eIQ TSS Tool にインポートすることで、AIモデルを作成可能
・データ収集(Data Logging)、ラベリング、データ加工、学習、評価から MCXへのデプロイまでを実施可能
・最適な異常検知アルゴリズムを自動生成し、精度とRAMサイズを考慮した最適モデルを選定可能
・モーターやポンプ、産業機器などの状態監視・予知保全において、低コストで高精度な異常検知を実現
まとめ
NXP MCUは、高性能・低消費電力に加え、周辺機能の統合によりシステム全体の最適化を実現するマイコンです。
アナログ機能内蔵による部品削減や、複数の32-bitタイマによる高精度制御、FlexIOとGUI GuiderによるHMI開発の効率化、高度な通信機能への対応など、幅広いニーズに応えます。
さらに、eIQ Tool KitやNPUによりエッジAI処理もマイコン単体で実装可能であり、次世代の組み込みシステム開発において重要な役割を担います。
MCU選定は用途や要求仕様に応じた最適なデバイス選定が重要となるため、本記事を参考に、自社システムに最適なMCUの検討に役立ててください。
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