昨今ビッグデータを用いたデータサイエンスという分野が急速に発展し、5Gの普及によりデータは益々増加し多様化する傾向にあります。またクラウドを活用したアプリケーションや共同開発が増加し、データセキュリティを強化する必要に迫られています。肥大化するデータを高速処理するにはデータセンターの資源となる計算リソースや消費電力、設置スペースを拡充しなければなりません。高度なセキュリティ機能に対応させようとすると、その分リソースも必要となります。ただ現在データセンターの資源は拡張の限界を迎えつつあります。

 

これらの課題を解決し5Gの展開を加速させる可能性を持つテクノロジーとなるDPU(Data Processing Unit)が、今後データセンターやエンタープライズなどの分野で非常に重要な役割を果たすことになります。本記事ではDPUとはいったい何か、DPUがあることでどんなメリットがあるのかを解説していきます。

CPU・GPUに次いで登場したDPUとは

GPUの台頭以前は、CPUが本来のアプリケーション動作とそれ以外にも並列計算処理やサーバー間ネットワーク処理、リモートストレージアクセスなどを一手に担っていました。GPUが現れ並列計算を任せられるようになったのがここ数年前からで、その後登場したのがDPUです。

 

DPU(Data Processing Unit)とは、従来ホストCPUが担っていた通信機能をオフロードするためのデバイスです。DPUに近いコンセプトとしてネットワーク処理をオフロードするNIC(Network Interface Card)はすでに存在しました。ただしオフロードをするための命令をホストCPUで実行する必要があったので完全には解放できませんでした。DPUは、NVIDIA Networking(旧Mellanox)製 ConnectXシリーズのNICにARM CPUや周辺デバイスを搭載することにより、これまでのNICによるオフロード機能の制御や、更なる付加機能を実現することができます。これによりホストCPUがアプリケーション処理に専念できる状態を実現できます。

データセンターネットワークで酷使されるCPUリソースの行方

データセンターにおけるサーバー上では、大きく2つの目的でサーバーリソースが消費されます。1つは、各種アプリケーション処理に必要なリソースで、これが本来サーバー上で「ユーザーが実現したいこと」に利用するユーザー領域になります。そして無視できないもう1つが、ネットワーク/ストレージ処理などの「インフラのためのリソース」で、多くの場合はサーバー管理者が利用する領域です。昨今のデータ大容量化や通信帯域の増大に伴い、この「インフラのためのリソース」の割合がどんどん増えてきています。さらには、トレンドの一つであるゼロトラストセキュリティ実現に向けて、セキュリティ機能までもがサーバー上で実現されることが求められつつあり、ますますユーザー領域のためのサーバーリソースが圧迫されてしまいます。

 

ユーザーはアプリケーションの質や数が増加すればそれだけユーザー領域を拡大したくなります。一方、管理者側もSLA(サービス品質保証)の向上の一環としてリソース拡充が必要となり、結果としてCPUリソース不足の深刻化が進みます。

データセンター内CPUリソースの現状と今後

DPUの活用により、限られたサーバーリソース内でせめぎ合っていたユーザー領域と管理者領域を分離し、管理者用リソースをDPU上へ移行することが可能になります。それにGPUへの並列処理も加わり、CPUリソースは完全にユーザーアプリケーションに専念することができます。

DPUによりユーザー領域と管理者領域を分離

DPUで具体的に何ができるのか

DPUが活躍する用途を主に3つの観点で紹介していきます。

ネットワーク

システムの入り口にDPUが追加されることで、CPU・GPUの前段に新たなアクセラレーターという役割を担います。これによりパケットIOにおけるCPU処理を最小化し、より一層の高速処理を実現します。

ストレージ

大容量に対応するためにリモートストレージの活用が広がりますが、そこへのアクセスにおいてホストOSでの処理が必要でした。DPU側でSNAPと呼ばれる機能を活用することで、リモート環境にあるストレージをあたかもローカルストレージかのように取り扱うことができ、高速なデータ転送をサポート可能です。

セキュリティ

DPU上へセキュリティ機能をオフロードすることで、サーバーのCPUやメモリー、さらには上位のアプリケーションとは物理的に完全に分離・保護された状態でセキュリティの処理をすることが可能になります。

活用が期待されるエリア

クラウドコンピューティング
サイバーセキュリティ
HPC&AI
テレコム&エッジ
データストレージ
メディアストリーミング

DPU徹底活用ガイドをダウンロードいただけます

「NVIDIA DPU」は、上記でご紹介したConnectXシリーズのNICに、ARM CPUや周辺デバイスを搭載したアクセラレーションカードです。

従来のシステムだとCPUがネットワークやストレージ、セキュリティ、マネジメント等多くの処理を担当しており、CPUに高い負荷がかかってしまう可能性がありました。しかし、これらをDPU(Data Processing Unit)が代替することで、ホストCPUがアプリケーション処理に専念できる状態を実現できます。

『DPU徹底活用ガイド』では、DPUとは一体何か、具体的にどんな用途で活用ができるのかを解説しています。
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