おことわり
本連載では、NVIDIA NemoClawによるIoTセンサーデータ活用をテーマに、デモアプリケーションを通じて全5話で解説します。
NVIDIA NemoClawおよび、そのサンドボックスであるNVIDIA OpenShellは本連載執筆時において、アルファ版リリースであり、機能、信頼性、性能のすべてにおいて、今後、大きな発展が予想されます。従って、本連載の内容も将来において、実際にそぐわない内容になる可能性がありますことご承知おきください。
本連載の概要
NVIDIA NemoClawは、AIエージェントをより安全に、継続的に動かすためのオープンなブループリント群です。NemoClawはOpenClawなどのAIエージェントをサンドボックス内で実行しますが、ここで言うブループリントはサンドボックス環境一式を定義したYAMLパッケージを意味します。
自律型AIエージェントは、単に質問に答えるだけでなく、状況を理解し、計画を立て、必要なツールを呼び出してタスクを実行します。NemoClawは、こうしたAIエージェントを実運用に近い環境で扱うために、実行時のポリシー制御、モデルのルーティング、スキル実行、状態管理、可観測性などを統合し、プロトタイプから統制されたデプロイへ移行しやすくします。
IoTの領域では、センサーから収集される温度、振動、電流、画像、ログなどのデータを、現場の判断や保全活動につなげることが重要です。NemoClawを活用すると、AIエージェントがセンサーデータや関連ドキュメントを参照し、異常の兆候を説明したり、原因候補を整理したり、次に確認すべき項目を提示する構成を設計できます。さらに、データアクセスや外部通信をポリシーで制御しながら動かせるため、工程管理や設備管理のように安全性と説明責任が求められるユースケースにも適しています。
本連載では、NemoClawを「安全に動くAIエージェントの実行基盤」として捉え、IoTセンサーデータの収集、分析、異常検出へ応用する流れを、実験的に構築したデモアプリケーションを用いて段階的に解説します。
第1話では、まずAIエージェントとIoTの関係を整理し、センサーデータをNemoClawに接続するための設計について解説します。なお、NVIDIA NemoClawは、本記事執筆時現在、AIエージェントして、OpenClaw、Hermes、LangChain Deep Agent Code、Pi Coding Agentの4種類をサポートしておりますが、本記事では、OpenClaw版のNVIDIA NemoClawを想定しております。
AIエージェントがIoTデータを理解する仕組み
NemoClawは使用するエージェントやモデルによって、テキストや画像、動画、パワーポイントなどさまざまなファイル形式を処理することができます。もちろん、利用するAIモデルが、それらの形式に対応している必要があります。しかし、IoTセンサーから発せられる温度、湿度、気圧などの環境データや、装置の状態をモニターする振動、圧力などのデータを直接NemoClawが扱うことはできません。そのため、センサーデータをテキストに変換し、AIエージェントが扱える形式にする必要があります。また、IoTセンサーデータはMQTTなどのプロトコルで配信されることが一般的ですが、NemoClawはMQTTなどのIoT分野特有のプロトコルには対応していないため、NemoClawが利用可能なプロトコルへ変換する必要があります。第2話では、MQTTデータをNemoClawで扱う方法を紹介します。
さらに、AIエージェントがデータを正しく理解するには、入力されるデータが何のデータであり、どのように解釈すべきか、ユーザー(人間)からの指示も必要です。
センサーデータをNemoClawに接続するための設計
IoTアプリケーションでは、センサーデータを常時監視し、そのデータから、真の監視対象(製造装置など)の状態変化を検出し、検出された場合は、あらかじめ決められたルールに従い、最適な行動を実行、あるいは、ユーザーに行動を促します。真の監視対象の状態変化に対して、直ちに行動に移る必要がある(リアルタイム)ユースケースと、行動への移行が周期的に到来するタイミングで構わないユースケースが存在します。
周期的タイミングで行動を起こすユースケース(プル型)は第2話と第3話で、リアルタイムなユースケース(プッシュ型)は第4話で、それぞれ取り上げます。
デモ環境
本連載で取り上げる内容は、実際のNemoClaw環境で検証済みです。NemoClawは、多岐に渡る環境で動作しますが、検証に利用した環境は以下のとおりです。
・ NVIDIA DGX Spark™ 互換のGB10搭載コンピューター MSI EdgeXpert 4TB
▹NVIDIA DGX Spark互換機であれば同様に動作すると考えることから、本連載では、DGX Sparkと記載します。
・ NVIDIA NemoClaw(OpenClaw版)
・ vLLMサーバー上で動作する6-35b-a3b-nvfp4モデル(DGX Spark上で動作するローカルLLM)
・ ユーザー通知は、Discordチャネルを利用
本連載でご紹介するデモアプリケーション
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デモ |
内容 |
イベント通知 |
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サイン波観測 |
MQTT でパブリッシュしたサイン波を NemoClaw から観測する |
プル型 *¹ |
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環境データ観測 |
環境センサーデータ(温度、湿度、気圧)をNemoClawで取り扱う |
プル型 |
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IMU活動検出 |
micro:bit IMUセンサーで活動状態の切り替わりを検出する |
プッシュ型 *² |
*1:NemoClawがイベントの発生をポーリングする *2:外部プログラムがNemoClawにイベントの発生を通知する
お問い合わせ
第1話では、AIエージェントとIoTの関係や、NemoClawでIoTデータを活用するための基本的な考え方について解説しました。
第2話では、MQTTで配信されるデータをNemoClawで扱う方法を紹介します。