2025国際ロボット展出展レポート
マクニカはNVIDIAの代理店として、2025国際ロボット展に出展します。
このページでは、本展示会の内容を事前に情報収集したい方・より詳細な説明を聞きたい方・改めて見直したい方に向けた記事となっております。
※本ページは2025国際ロボット展中に、適宜更新いたします(2025年11月27日)
本展示会のテーマ
マクニカは今回、NVIDIAの提唱する「3つのコンピューターによるソリューション」をテーマに展示しています。
3 台のコンピューターによるソリューション: AI ロボットの次の波を推進
この「3つのコンピューター」の詳細は上記サイトをご確認頂ければと思いますが、概要を簡単に説明すると、
①大量のデータを使ってAIモデルを「学習」(トレーニング)
②バーチャル空間でロボットを「試験」(シミュレーション)
③「学習」「試験」した内容をロボット本体に「実装」(デプロイ)
という流れになります。
従来のルールベースによるロボット動作から、AIを活用することでさまざまな用途に対応したマルチタスクを可能にするロボットの実現ができると考えています。
本展示会では、このソリューションについての一端をご紹介します。
AIモデル作成に向けたデータセット生成/拡張
今回の展示では、バーチャル空間でロボットの「試験」を行う上で、バーチャル上でロボットの動きを再現(=データセット生成)し、それを様々な環境下に置いて(=データセット拡張)動かしました。
「データセット生成」としては、バーチャル空間上でロボットや作業環境を再現し、現実の作業シナリオをシミュレーションする形で、Pick&Placeのデモを展示しました。こちらにはNVIDIA Isaac™ Simを用いています。現場では収集が困難なデータも、バーチャル空間であればいつでもどこでも安全・大量に取得することが可能です。
さらに「データセット拡張」として、様々な条件やバリエーションを加えたPick&Placeも展示しており、こちらにはNVIDIA Cosmos™を用いています。
このようにNVIDIA Isaac Sim上でフォトリアルなデータセットの生成だけでなく、そのデータをもとにさらに、さまざまなシチュエーションに富んだ形でのデータ拡張をNVIDIA Cosmosで実現できます。したがって、実際に実機ロボットを使用しなくても仮想空間上でデータ生成・拡張の工数を最小限にします。
デジタルツインを活用したロボット制御
バーチャル空間で「試験」が一段落したら、これを現実空間に戻して確認する作業が必要になります。
これには、NVIDIA Isaac™ Manipulatorを用いました。
Isaac Manipulatorはロボットアームの開発を加速するためのソフトウェアプラットフォームで、マニピュレーションに必要な技術を提供し仮想空間で評価したものをそのまま実ロボットに実装して評価することができます。
本デモ展示では、障害物を避けたPick&Placeを実施しています。
一例として、小売り・流通の現場におけるロボットのPick&Place作業の自動化を想定しますが、このようなモノがたくさん置かれた環境では衝突しない動作経路の生成が求められます。
この実現には、”cuMotion”を使用しました。障害物を加味した目標地点までの最適経路を生成します。
深度測定が可能なステレオカメラを用いて、障害物を含んだ周辺環境を3D空間に再現し、その3D空間情報とロボット構成情報、そしてGoal Poseの情報をもとにcuMotionを活用して、わずか数秒で衝突のない最適経路を生成します。
■参考文献
・Isaac for Manipulation Reference Architecture
https://nvidia-isaac-ros.github.io/reference_workflows/isaac_for_manipulation/reference_architecture.html
・cuRobo
https://curobo.org/
https://curobo.org/reports/curobo_report.pdf
https://github.com/NVlabs/curobo
・cuRobo and cuMotion
https://docs.isaacsim.omniverse.nvidia.com/latest/manipulators/manipulators_curobo.html
AIロボット開発を加速させる基盤モデルを活用したPick&Place
本展示会では、オープンソース・ロボティクス教育・研究プロジェクト LeRobot に対応したロボットアームキットのSO-101を用いた、Pick & Placeのデモも実施しています。
このデモ展示は、30回のテレオペレーションデータのみでデモを作成したことが大きな特長です。
そしてこのデータセットの少なさは、NVIDIA Isaac™ GR00T N1.5により実現しています。
Isaac GR00Tは、NVIDIAが開発した世界初の「ヒューマノイドロボット向けオープン基盤モデル」です。ヒューマノイドロボット向けではあるものの、ロボットアームでも使用することが可能で、汎用性の高い推論能力や大規模データで事前学習を背景に、この少ないデータセットでの実装を実現しております。
ハードウェアには、2025年8月に発売開始した、ロボティクス、生成AI向けのNVIDIA® Jetson Thor™を用いました。
ビデオ分析によるAI異常検知
本展示においては、動画からの異常検知デモも実施しています。
対象の動画をインプットすると、その動画をテキストで要約するのみならず、プロンプトを入力して質問をすると、その動画の内容を分析してテキストで回答を出力することが可能になります。
こちらは、NVIDIA社が提供するVSSエージェントである、”NVIDIA AI Blueprint for Video Search and Summarization”(以下、VSS)を用いています。
従来のビデオ分析ソリューションと異なり、意味理解・因果推論を用いて動画の要約や検証ができること、特定のタグを使用せず自然言語で運用できること、重要部分のみピックアップして検証できること、構築に時間をかけずに素早い導入が可能になることなどが特長です。
これらの特長により、市場投入までの時間を短縮でき、コスト削減による高い費用対効果が見込まれます。
英語の動画になりますが、YouTubeでもNVIDIAのデモ動画がアップロードされておりますので、こちらもご確認ください。(本展示とは別の動画で動作しています)
マクニカとしての今後の取り組み
以上が、今回の出展内容の概略となります。いかがでしたでしょうか?
当社マクニカは、フィジカルAIの社会実装に注力しています。
それに伴い、NVIDIAの一次代理店として製品のサポートを提供するのはもちろんのこととして、皆さまがお持ちの課題解決に向けた伴走支援のサービスも提供しております。
社内でこのようなプロジェクトが走っていて支援して欲しい…といったお悩みベースでも大歓迎です。
当社との協業にご興味がございましたら、是非下記よりお問い合わせください。
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※2025年12月3日公開予定