3レベルインバーターとSiCパワーモジュール

3レベルインバーターとは

直流電圧から交流電圧へ変換する回路や機器のことをインバーターと言います。回路方式には2レベルインバーターや3レベルインバーターなどがあります。2レベルインバーターは、ゼロを中心として+/-VdのPWM波形になります。2レベルインバーターは、例えば三相であれば上下2つのスイッチを3組、計6個のスイッチで構成でき、多くの用途で使われています。

一方、3レベルインバーターではゼロを中心として+/-Vdと+/-Vd/2とのPWM波形になります。波形とトポロジーは下図のようになり回路は少々増えますが、LCフィルターの小型化、効率向上などの面でメリットがあります。従来、3レベルインバーターは、高い電圧を扱うための回路とされてきましたが、電力機器の多様化とともに新たに注目されています。

メリットとデメリット

メリット
・インバーター出力波形がより正弦波に近いものになる。
・2レベルインバーターに比べスイッチング素子にかかる電圧が1/2のため、スイッチング損失が少ない。
・スイッチングノイズも低くなるので、後続に設けるLCフィルターを小さくでき、小型化軽量化が可能になる。
・スイッチング周波数を上げられるため、変換効率を高めやすい。

デメリット
・使用する素子数が増え回路が複雑になる。
・配線等も増えてしまい浮遊インダクタンスが大きくなりがち。

メリットの実現

回路素子が集積されたパワーモジュールならさほど場所も取りませんし、浮遊インダクタンスも小さくできます。Microchipは、3レベルインバーターの回路に適したSiCパワーモジュールとして、NPC方式及び、双方向スイッチ方式に適用可能なSiCパワーモジュールをラインアップしています。

NPC方式:一相分を1モジュールにした製品、耐圧は1200Vと700Vがあります(例: MSCSM120TLM08CAG)。
双方向スイッチ方式:コモンソース接続で2つのスイッチを繋いだ製品、耐圧は1200Vと700Vがあります(例: MSCSM120DUM11T3AG)。
          フェイズレグまたはトリプルフェイズレグのモジュールと組み合わせで、双方向スイッチ方式が可能です。

以下にモジュール製品の例をご紹介します。

品名:MSCSM120TLM08CAG

機能:Three Level Inverter SiC MOSFET Power Module

定格:1200V/333A/7.8mΩ,  外寸:108 x 62 x 17mm

 

品名:MSCSM120DUM11T3AG

機能:Dual Common Source SiC MOSFET Power Module

定格:1200V/254A/10.4mΩ,  外寸:73 x 42 x 12mm

 

品名:MSCSM120TAM11CTPAG

機能:Triple Phase Leg SiC MOSFET Power Module

定格:1200V/251A/10.4mΩ,  外寸:108 x 62 x 11.5mm

ご覧いただきありがとうございました。

他にもMicrochipはパワーデバイス製品をラインアップしていますので、ご興味がありましたら、下記リンクをご参照ください。

※図はMicrochipのデータシートから引用し作成しています。

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